有機系廃棄物の熱分解ガス化とその利用技術

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新川一彦
1985年9月 北海道通産情報 40(9),54-55

 当所では,工業技術院の行っている国際研究協力事業の一環として,フィリピンの国立科学技術研究所との間で“産業及び都市廃棄物の熱分解による資源化に関する共同研究”を昭和55年度から5か年にわたり実施しました。
 この研究は,フィリピンに多量に存在する未利用の有機系廃棄物を,流動層方式で直接燃料に転換し,その生成物の有効利用を図ろうとする目的で行いました。
 研究の結果,燃料への転換方式として,低温の熱分解による炭化物,油分,ガスの製造よりは,空気吹込みによる高温の熱分解ガス化の方が有利であることなどが明らかになりました。
 このガスは,もちろん直接燃焼してそのまま熱源として利用できますが,フィリピンの国情(石油資源を持たないこと,沢山の大小の島から成り,未電化地域が多く残されている)からみて,ガスエンジン発電機の燃料として利用するシステムの方が適切であろうと考えました。
 そこで,廃棄物から製造されたガスを用いて小型のエンジンテストを実施したところ,低カロリーのガスでも助燃料なしで十分エンジンを安定的に運転でき,発電可能であるという結果が得られましたので,以下にその概要を紹介いたします。