含油スラッジ廃棄物の資源化および無公害処理の研究
出口明
1985年1月 北海道通産情報 40(1),37-39
石油備蓄タンクの大きなものは容量が15万klにもなり,その大きさは高さが22.6m,直径が約100mで,内部だけでも後楽園球場の広さほどもある巨大なものです。
これらの備蓄タンク類は,安全性の面から消防法によって5年に一度の定期的な開放点検が義務付けられており,この開放点検時にはタンク底から鉄サビや砂泥を含んだワックス状のスラッジ,すなわち含油スラッジが多量に排出されます。
このほか,原油タンカーの船底や製油所,火力発電所などのタンク底からも含油スラッジが排出され,これらが廃棄物となります。
そこで私達は,資源の有効利用の観点から,含油率の高いスラッジを熱分解して油分を回収し,また,含油率の低い劣質なスラッジと油分回収後の残渣物を流動燃焼法によって無公害燃焼して熱エネルギーを回収することを考え,このような熱分解・油分回収プロセスと無公害燃焼・熱回収プロセスを組み合せた総合的な含油スラッジ処理システムの研究を進めています。
以下,その概要についてご紹介します。