石炭灰の燃焼過程における残渣の活性化処理技術に関する研究
-序章-

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伊藤三郎/ 佐山惣吾/ 鈴木良和/ 鶴江孝/ 武田詔平/ 山田勝利/ 鵜沼英郎
1985年12月 北海道工業開発試験所報告 37,1-2

 我が国における石炭エネルギーの利用は,昭和30年代から始まる高度成長期には石炭から石油へのエネルギー転換が行われ減少したが,昭和48年の第一次石油危機,昭和54年の第二次石油危機を経て,石油入手事情の困難,原子力開発の伸び悩みなどによって再び急速に増大するものと予測がなされている。 これに伴って石炭灰が排出され,昭和60年度378万トン,昭和65年度498万トンに達すると予測されている。 これらのうち,現在約30%が主にセメント関係に利用され,残りの大部分は埋め立て廃棄処理されている。 しかし近年石炭灰の大量投棄と長期にわたる埋め立てに対して,種々の社会環境的制約が厳しくなり,その増大に関し,石炭灰の処理対策が強く望まれるようになってきた。
 本研究は,石炭を燃焼する過程において添加物を加え燃焼エネルギーを利用して,珪酸カリ肥料,ガラス質建材等の素材に加工することにより有効利用を図り灰処分地の確保難に対処し,石炭利用増大に係る障害の排除に努めようとするものである。
 肥料化ならびにガラス材料化のいずれの研究も,火力発電所等から排出された不活性な石炭灰を対象とするだけでなく,石炭のエネルギー転換である水素,一酸化炭素などへ素原料化する際のガス化プロセス中において処理を行い,より省エネルギー的に性能の良い珪酸カリ肥料の製造法開発を研究の一つの大きな目標とした。 また,石炭灰を建築や土木材料として利用し得るガラス質新原材料の省エネルギー的製造法開発研究を加え,将来石炭利用に伴い,急増する石炭灰の処理利用拡大の基礎の確立を目標としている。