13C NMRによる石炭液化油の構造解析

問合わせ ひとつ戻る DB入口へ トップページへ PDF(イメージ)を見る

吉田忠/ 前河涌典/ 内野洋之/ 横山晋
1985年3月 北海道工業開発試験所報告 36,26-34

 従来の1H-NMR法にかわって13C-NMRによる石炭液化油の構造解析法を検討する目的で,標準試薬の化学シフトデータと液化油の液体クロマトグラフィー分別物のスペクトルから各タイプの炭素の帰属を行った。
 芳香族炭素は水素化芳香族炭素(Protonated),内部炭素(Bridgehead),置換炭素(Substituted)の3グループに分割でき,これら炭素の化学シフト範囲はそれぞれ(115.0)〜129.2ppm,129.2〜132.5ppm,132.5〜149.2ppmであった。 これら炭素の面積強度比から,Brown-Ladner法の概念に基づいて各構造指数(fa,Hau/Ca,σ)の新たな算出法を導いた。 この方法は,仮定を必要としないので得られる各構造指数値はBrown-Ladner法よリも正確であり,更に芳香族部分の骨格構造についてよリ詳しい構造的知見を与えた。 またα位脂肪族炭素の帰属,定量が可能となリ. その結果,液化油の芳香族部分の骨格構造のみならずアルキル側鎖やナフテン環などに関する知見も得られ,液化油分子の平均化学構造をより詳細に推察できるようになった。