EPMAによる分析法とその応用例

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鈴木良和/ 奥谷猛
1985年3月 北海道工業開発試験所報告 36,8-18

 EPMAはElectron Probe X-ray Micro-Analyserの略であり,フランスのCastaingによって1949年にこの原理が発表され,最初に静止型のX線マイクロアナライザーが世に出された。 この後,走査型のX線マイクロアナライザーがイギリスのCosslettやDuncumbらによって1956〜1957年頃に開発され,更に改良が加えられた。
 我が国では,国産製品が試作されたのは1960年であり. 主として,金属,冶金学の分野で実用化されるようになリ,数年後の1966年頃に地質学,鉱物学の分野にも導入されるに至った。
 当初では,1967年(昭和42年)に島津-ARLがはじめに購入され,金属材料,鉄鉱石や鉱物の組成分析にその威力が発揮された。 その実績を基に,1972〜1973年(昭和47〜48年)には,更に日本電子-50Aの本体と分光器が2年がかりで購入された。 これは,微小領域でのSEM像(〜×10,000)と対応させながら定性,定量分析ができる画期的なもので,従来以上に,所内での利用の外,依頼分析,技術指導,研究生の受け入れ等で利用が増し,現在に至っている。
 本装置の主な利用分野では,金相学的な分析手段として,析出物や介在物の組成決定,元素の拡散,偏析,溶接部や表面酸化層の調査等があり,金属や合金の研究で大きな成果がみられる。
 また,岩石や鉱物中の微細組成の判定,ガラスやセラミックスの分野,更には,木材や生物体の試料中の元素の検出に利用され,その応用分野は多岐にわたっている。
 従って,ここでは,EPMAの特徴とその利用方法についての概要を示し,今後利用する方々の参考になれば幸いと思い,筆者らがこれまで用いた実例も含め応用例をいくつか紹介する。