有機系水溶液の発熱量測定

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三浦正勝/ 西崎寛樹
1985年3月 北海道工業開発試験所報告 35,20-23

 都市ごみを,部分酸化や乾留して貯蔵可能な燃料油および固型燃料を回収する熱分解油化の研究開発が行われ,これによって都市ごみの再資源化と同時にごみ処理問題を解決しようとしている。 ごみの熱分解油化によって製造される新液体燃料には,大別して,プラスチック系油(P油)とセルロース系油(C油)がある。 P油の低位発熱量は約8,000kcal/kg,C油は約1,800kcal/kgで重油などとの混焼によって燃料として使用できるとされている。
 可燃物質を燃料として利用するには発熱量を正確に知ることが重要である。 しかし,水分を多量に含む溶液の発熱量を正確に測定することは燃焼不良などがあって困難である。 また,水溶液の発熱量の測定に関し,実測した文献はみあたらない。
 本報告では,水分が多く自燃は困難であるが重油などと混焼が可能な有機系水溶液の発熱量測定法について,ボンブ熱量計を使用して実験的検討を行った。
 難燃物質の発熱量測定には助燃剤の添加が必要とされ,その量は誤差を極力少なくするため少ない方が望ましく,流動パラフィンで0.1g以内,安息香酸では0.2g以内,ゼラチンカプセルでは0.1g前後が適当とされている。
 本実験では,ゼラチンカプセルを助燃剤とした時,さらに他の助燃剤を添加した時の標準試料の発熱量を実測し,文献値から求めた理論値と比較して助燃剤の効果を検討した。 また,植物の炭化によって得た水分50%以上のセルロース系油の発熱量を測定し,水分の影響と助燃剤を添加して測定することの必要性を検討した。