選鉱用水の循環使用に関する実験的考察(第2報)-蓄積とプロセス性能-

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関口逸馬/ 藤垣省吾/ 山口義明/ 高森隆勝
1984年3月 日本鉱業会誌 1153,241-246

 選鉱・選炭工場における用水の節約と無公害化は重要なことであり,その問題に対して直接的に対応する対策の一つに用廃水の循環使用が考えられる。 しかしこのことに関する研究は少なく,用水のクローズド化によって起こり得る問題に対する対策が把握されていない。 このため実操業における実行は気軽に進められない現況にある。
 本研究はこのことに関連する実験を行なったものであるが,北海道南白老に産するカオリン鉱を対象例として,閉回路系の選鉱系統を作製し,用廃水を循環使用して連続操業試験を行なった。 そして循環使用によって生ずる問題を確かめ,解析して,閉回路化の最適な条件について検討した。 さらにこの研究を通じて他種鉱石の選鉱プロセスを閉回路化するための見通しと手立てを得ることを目標に研究を進めた。
 前報はこのうち連続操業試験結果について述べた。 これは廃水の循環使用率を約50%(実験(I))と約90%(実験(II))にして試験した結果についてである。
 廃水の循環使用率が50%程度では選別に与える影響が軽微で,開回路系で行なったと同様の操業状態と品質の精鉱が得られた。 しかし循環率が高くなると精鉱をはじめとする各工程で影響が現われ始めた。
 このことから本報告は前報で述べた実験で廃水の再使用によって系内に蓄積する成分の経時的な変化と,そのことによって各工程に与える影響の変化を調べ,検討した結果について述べる。