選鉱用水の循環使用に関する実験的考察(第1報)-閉回路系連続操業試験-

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関口逸馬/ 藤垣省吾/ 山口義明/ 高森隆勝
1984年2月 日本鉱業会誌 1152,79-85

 本研究でいう閉回路系選鉱法とは用水に対して閉じられた系統であって,用廃水の循環使用による選鉱法をさす。 これの理想は放流水量が零であり,付着水,蒸発水のみが系外に出る系統である。 これに対して従来は用水を使い捨てる開回路系である。
 クローズド化によって生ずる問題は多く,またそれは対象とする鉱種と処理方法によって多種多様であるので十分に研究され,体系化される必要がある。 また,現状において用水をクローズド化することは,起こり得る問題に対する対策が具体的に把握されていない以上,実行することはできないことである。
 この場合に共通する問題は,1)蓄積成分がプロセスの性能を低下させる恐れがある,2)プロセス内の流量バランスの確保など,系全体として最も効率よく安全な操業条件の解明が必要である,3)新たに生産系とのかかわりにおいて循環水処理を考える必要がある。 このような未知の効果とかシステム工学的な問題についての検討は連続的な処理のできる実験系によって長時間の連続実験で確めることが必要である。 また,このような問題解決に関する研究は少なく,用廃水をクローズド化するための検討する手立てと,見通しを得る観点からその意義は極めて大きいと考える。
 以上のことから本研究は北海道南白老に産するカオリン鉱を実験例とし,その中に随伴する硫化鉄,石英などを除き製紙用カオリンを回収する閉回路系の実験プラントを作製し,廃水を循環使用した。 そしてこのことによって生ずる問題の究明と,カオリン鉱閉回路系選鉱法の可能性について検討を行なった。
 本報告はこのうち系統を閉回路化して連統操業した試験結果について述べるが,閉回路化によって系内に蓄積する物質の経時的な変化と,それのプロセス性能に与える影響,ならびに循環の最適化については後述する予定である。