寒冷地向けヒートポンプの開発
後藤藤太郎
1984年8月 北海道通産情報 39(8),52-53
ヒートポンプは温度が低くて使いものにならない熱,たとえば15℃位の井戸水や空気の熱を利用し,40〜50℃の温水や温風を作る機械であるとされている。
熱い水は時間がたつとぬるくなるのが普通なのに,冷たい水を温水にするとは便利な機械である。
もっとも,電気ヒーターでポットに熱水を沸かすことはできる。
しかし,電気代がかさんで,月末にびっくりすることになる。
ヒートポンプを動かすにも,電気ヒーターと同様,電気が必要である。
電気ヒーターと違うのは,得られる熱が使用した電気の数倍,普通は3〜4倍というのだから恐れ入る。
実質的に電気代が電気ヒーターの3分の1ないし4分の1になる。
これなら,電気ストーブの代りに冬の暖房に使えるかもしれないとの着想がわく。
北開試が昭和59年度の後半から研究開発を予定している寒冷地向けヒートポンプも詰まる所は,以上のような単純な考えから出発している。
しかし,研究員も専門家であるから,現実の技術水準は承知しているし,これを北海道の暖房用に仕上げるには,多くの課題があることも知っている。
あえて,これらの課題に挑戦してみようというわけである。