トリチウム除去および重水濃縮用疎水性触媒に関する研究
-第1編第2章 疎水性白金触媒の調整法-
大越純雄/ 高橋富樹/ 佐藤俊夫
1984年3月 北海道工業開発試験所報告 34,9-12
これまで,塩化白金酸の溶媒としてエチルアルコールを使用してきた。
これは,アセトンのような低沸点の溶媒を用いると蒸発が早すぎて,塩化白金酸が担体に不均一につきやすいと判断したからであるが,この点を検討する必要があった。
また,作りたての塩化白金酸-エチルアルコール溶液を使用した時,得られた触媒の活性は同じ溶液を長時間保存し,使用した場合に比し半分以下となった。
そこで,この現象についても検討する必要が生じた。
また,還元が余りに早く進行すると白金粒子が成長し良い触媒活性が得られないと考えられ,一方,塩化白金酸の水素還元反応で生成される塩化水素を水素ガス中に添加すれば,還元過程における白金粒子の結晶成長を抑え,結果として白金の良い分散が得られる可能性があると考えた。
また,塩化白金酸は結晶水を含み潮解しやすいので,溶液中の水分の影響と,水素還元における水蒸気添加の効果が考えられる。
本章では以上の点について検討した。