石炭の流動燃焼に関する研究
-第2章 単段流動層による基礎研究-

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富田稔/ 平間利昌/ 安達富雄/ 山口弘
1984年2月 北海道工業開発試験所報告 32,20-39

 Avedesianらの測定結果によれば,石炭チャー粒子の流動層内での燃焼完結時間(Burnout time)は,層温度が1,173Kのとき,粒径が0.65mmで約50秒,2.6mmで約330秒である。 同じく,Chakrabortyらによれば,4.4mmのチャー粒子で約350秒である。 これに対して,石炭の流動層燃焼の場合,燃焼灰や脱硫剤を含めた流動媒体の平均滞留時間は通常,数時間以上,長い場合には10時間以上に設計されるので,燃焼炉から飛び出す微粉を除いては燃焼に十分な時間が確保される。 したがって,流動層燃焼法にとっては,微粉炭の飛び出しと未燃ガスによる損失や環境汚染物質の排出を抑制するための装置ならびに操作条件の適切な設計が大きな課題の1つになる。
 流動層燃焼法の中でもっとも簡単な燃焼装置形式は,常圧型の単段流動層による燃焼装置(以下,単段燃焼装置(法)と略称する)である。 この方式では,燃焼用空気の全量が分散板底部から供給され,脱硫が必要な場合には石炭とともに脱硫剤も流動層内に供給される。
 本節ではまず,単段燃焼法による未燃分の排出量とNOx発生量に対する空気比と層温度ならびに燃焼負荷(発熱密度)の影響を把握することを目的として,直径0.1mの装置により空気不足条件を含めた広い範囲の条件下で燃焼実験を行った。 また,装置設計ならびに排出される灰中に含まれる未燃分濃度を予測するための基礎資料を得ることを目的として,簡単なモデルを使って実験結果を解析し,流動層内での総括的な燃焼速度定数と飛び出し速度定数を算出する。 実験に使用した石炭は,灰分が多く低カロリーな太平洋炭の粉炭(釧路2号粉)であり,灰処理が困難な炭種の1つである。