暖房システム調査研究報告書

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暖房システム調査研究委員会編
1984年10月 北海道工業開発試験所技術資料 10,1-109

 北国における暖房の対象として戸建住宅のような小規模のものから,集合住宅,事業所ビル等,さらに,地域を対象とした大規模のものまで拳げられる。 北海道の民生用エネルギーの需要状況は昭和54年度を例にとると,エネルギー総需要量の36.6%を占めており,暖房用エネルギーは民生用エネルギーの35.4%とされている。 したがって,北海道のエネルギー総需要量に占める暖房用エネルギーの割合は約13%に達しており,国内の他の地域に比べて著しく高いのが特徴である。
 一方,北海道における暖房用のエネルギー源は,他の地域と同様に,その大部分を石油に依存している。 エネルギー資源の開発利用は生活水準の向上,産業の振興を図るために欠くことのできない問題である。 我が国のように,エネルギー資源の殆どを海外に依存している国にとって,今後,価格の上昇や供給の不安定が予測される石油から,可能な限り脱却することが求められている。 したがって,地域に賦存し,かつ,在来のエネルギー供給システムに必ずしも乗りにくい,いわゆるローカルエネルギーの利用拡大を図り,これを通じて地域社会におけるエネルギー供給の安定度を高める必要がある。 そのためには,近い将来において,地域社会のエネルギー需要実態に即応した暖房方法が確立されなければならない。 このような事情から,北海道における暖房に関して,今後より一層の省エネルギーを図ると同時に,石油系エネルギーに代り得る暖房用エネルギー源の開発,利用が必要となる。
 本調査報告書は,こうした社会的要請に応えるべく,北海道の気候に適した合理的な暖房システムについて検討を加え,その実現に必要な技術開発課題を摘出し,今後開発すべき暖房システムの提言を取りまとめたものである。