活性炭に担持した溶融塩化亜鉛触媒の水素化分解活性ならびに活性変化
広沢邦男/ 森田幹雄/ 佐藤俊夫/ 大内公耳
1982年9月 日本化学会誌 1982,1523-1530
石炭分解抽出物などの歴青質を軽質化するための有効な水素化分解触媒を探索する目的で,活性炭に担持した溶融塩化亜鉛触媒の活性ならびに活性変化を回分実験により検討した。
その結果,担体活性炭自体もアントラセン,石炭分解抽出物,石油減圧蒸留残油の水素化分解に対して高活性を示し,とくにヤシ殻CT活性炭は試験した中で最高活性を示し,シリカ-アルミナ触媒よりも高活性であった。
CT活性炭に担持した溶融塩化亜鉛触媒は担体単独触媒やシリカ-アルミナ担持溶融塩触媒よりも上記歴青質の水素化分解,水素化脱硫に高活性であり,効果的に軽質油化することが確かめられた。
一方,触媒活性の経時変化は試験した時間内では認め難かったが,触媒上に顕著な亜鉛,硫黄の固定が確認された。
水素化分解活性が高いこと,触媒再生上の利点も予想されることから,活性炭担持溶融塩触媒はシリカ-アルミナ担持溶融塩触媒よりも好ましいと判断した。