界面活性剤水溶液中におけるニッケル(II)イオンと2-(2-チアゾリルアゾ)-4-メチルフェノールとの錯形成反応
伊藤三郎/ 原口謙策/ 山本篤夫/ 林謙次郎
1982年1月 日本化学会誌 1982,142-144
水に難溶な錯形成剤と金属イオンとの錯形成反応の機構を速度論的に調べる手法として,界面活性剤を共存させて水に難溶な錯形成剤を溶解した水溶液をつくり,ストップドフロー装置を用いて金属イオンを含む水溶液と混合し,生ずる反応の進行を連続的に追跡し,解析を行なう方法をさきに提案した。
本報はこの手法によりニッケル(II)イオンと2-(2-チアゾリルアゾ)-4-メチルフェノール(以下TACと略記する)との錯形成反応機構の解析とミセル相と水相の間におけるTACの分配定数の測定を行ない,溶媒抽出速度の解析から得られた結果と比較検討した結果,さきに提案した方法が有効であったので報告する。