都市ゴミの発熱量について

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西崎寛樹/ 三浦正勝/ 細田英雄
1982年3月 北海道工業開発試験所技術資料 9,1-11

 都市ごみの発熱量は,ごみ質の把握のために重要な値であるが,ごみ焼却炉の設計や運転管理上も不可欠なものである。 また,最近では流動層焼却炉,高温熔融ガス化炉,熱分解装置,ボイラーなどの新しい技術開発を進める上で,基本的に必要な数値とされている。 特に再資源化プラントを評価する上では,原料ごみ性状の測定が非常に重要である。
 発熱量を求める方法には,推算式,熱量計による測定,焼却炉熱収支式からの計算法がある。 都市ごみの発熱量はいずれの方法を用いても一致した値は得られにくく,一応,JISによる測定値が基準になっている。 しかし,都市ごみのような高水分で,多成分系の固型物は試料の採取から粉砕・縮分等の調整プロセス等に誤差が入る可能性が多く,石油や石炭等の燃料とは同一に扱えないと考えられている。 厚生省の指導では、ごみ質の表示値として簡単な推算式が提示されている。 この式をベースにボンブ熱量計によって測定した値に近ずけるように補正した式,熱収支による値に近ずくように補正した式などさまざまな式がある。
 燃焼炉の設計や運転管理には,測定値や推算値ではなく熱収支から得られた実績値を用いている。 熱収支式の立て方も近似的なものであり,炉負荷に安全率を加味したかなり巾広い値を用いて設計を行っているのが実情である。
 ごみ発熱量の様々な求め方の相関を知るには,1)サンプリング,縮分,粉砕,乾燥等の調整,2)水分,灰分,可燃分,ごみ組成,元素分析等の分析方法,3)ボンブ熱量計の使用条件,4)推算式の適用性,5)焼却炉の熱収支式と測定値,6)相互比較のための基準のとり方(分析のフローと焼却炉内の測定点フローチャートとの相違)などを検討してみなければならない。
 このように,焼却炉,再資源化(熱分解等)プラントを設計,評価,建設していく上でバラバラに使用されている数値を統一的に整理し,それぞれの特長や問題点について検討したので報告する。
 本報では,推算方法とボンブ熱量計の使用法およびそれらの適用性について述べる。