石炭系アスファルテンの化学(I)
吉田諒一
1981年12月 燃料協会誌 60(12),960-967
アスファルテンには石油系アスファルテンPetroleum Derived Asphaltene(PDA)と石炭系アスファルテンCoal Derived Asphaltene(CDA)とがあるが,これらのアスファルテンは取り扱いを困難なものにしている共通の性質を有している。
つまり,(1)溶剤に対する可溶性の欠乏,(2)強い分子間会合,(3)高分子量および(4)低揮発性である。
このため,石炭液化においてはアスファルテンが液化生成物の粘度などに大きく影響することが報告されている。
さらに,これらの性質並びにその化学的組成は,(イ)いかに処理し,いかに分離したか,および(ロ)いかなる物質から得たか,により変化し,明確な同定を困難なものとしている。
本稿では,著者らが今まで行ってきた石炭系アスファルテンに関する研究結果を中心に,併せて海外の研究者などによる結果をも紹介する。