高分子材料の耐久性に関する研究
[熱可塑性プラスチックシートの耐候性-屋外暴露した熱可塑性プラスチックのシャルビー衝撃値]
西村興男/ 窪田大/ 鈴木智
1981年3月 北海道工業開発試験所報告 24,145-152
プラスチックの衝撃特性は,一般にシャルピー衝撃法やアイゾット衝撃法で測定され,それに関する報告やデータは豊富である。
しかし,暴露した試験体の衝撃特性に関してはABSについて数報があるにすぎない。
一方,衝撃特性と静的力学特性の相関を論じたものとして数報ある。
一般に,衝撃特性と静的特性の相関を論ずることは,負荷速度や破壊機構の相違から見て問題が多い。
しかし,屋外暴露試験や促進劣化試験を行って耐候性を調べる場合,充分な試料を確保することは難かしく,特に多数の試験片を要する衝撃試験を行うことが困難なことが多い。
そのような場合,衝撃特性と静的力学特性の間に簡単な関係が存在することがわかれば実用的な面でメリットは大きい。
本報告では、3か年間にわたって屋外暴露した6種の熱可塑性プラスチックシートのシャルピー衝撃値を測定し,それらの経年変化を求め,さらにシャルピー衝撃値と静的力学特性との相関についても検討を加えたので,その結果を報告する。