ガラスビーズを用いた湿式ボールミルによるカオリンのアトリッションに関する研究

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山口義明/ 関口逸馬
1980年8月 日本鉱業会誌 1110,541-545

 著者らは,北海道工業開発試験所の特別研究課題として,「非金属資源の高度利用技術に関する研究」を1977年度から4か年計画で実施してきているが,この研究には,いくつかある研究課題のうちの1つとして,北海道白老郡白老町字森野にある近藤鉱業(株)南白老バライト鉱山が産出しているカオリンの品質と収率の向上を目的とした課題をとりあげた。 一方,近藤鉱業は,カオリンの選別に関する技術指導を,1977年度から数回にわたって当所に申請した。 このように,特別研究の実施と,技術指導の申請によって,北海道内では,今や貴重な資源となったカオリンの選別に関する一連の試験研究を実施することになった。
 カオリン鉱石の鉱物組成,粉砕粒度と鉱物組成,サイクロン分級試験,脱パイライトの浮選試験,オゾンによる漂白試験,オートクレーブ処理試験,超音波処理試験,選鉱水の溶存物質と廃水との関係など,広範囲の試験を行ない,それらの結果はすでに数回にわたって発表した。 以上の試験は,南白老産カオリンの品位と収率の向上を目的とした選鉱条件を解明するために行なわれたものであるが,その結果,得られた製品の粒度規格が必ずしも満足されるものでなかった。 そこで,この点に着目して,ガラスビーズを用いた湿式ボールミルによるカオリンのアトリッション試験を実施した。 そして,この試験によれば,1)コート用カオリンの粒度規格が上昇する。 2)フィラーカオリンの処理によるコート用カオリンの増収がはかれる。 3)フィラーカオリン(パルプ)のハンドリングが非常に容易になる,などの好結果を得た。 ここにアトリッション試験の結果をとりまとめて報告する。