塩化亜鉛存在下における赤平炭,赤平炭分解抽出物の水素化分解
-水素化分解反応速度-

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森田幹雄/ 広沢邦男/ 大内公耳
1978年9月 燃料協会誌 57(9),765-772

 石炭や石炭抽出物の水素化分解反応を速度論的に取り扱った報告は数多くあり,外国炭については,Weller,Pelipetz,Falkum,Storch,らが,国内炭では,石井らが行なっている。 これらは石炭が平均的に均一であり反応性にも変化がないと見なして,主に工業速度論的立場で解析している。 一方,物性が反応過程で大きく変化することから,反応性の変化を考慮に入れて反応機構を論じようとする立場がある。 この立場での報告は,熱分解や分解抽出での例はあるが,水素化分解を扱った例は見られない。 ただし,Struckらは,石炭や抽出物が容易に分解される成分と分解困難な成分との反応性の異なる2成分から成るとの概念を導入し水素化分解反応速度を論じている。
 本報文では,回分式オートクレーブを用いて赤平炭と赤平炭分解抽出物を塩化亜鉛存在下,180〜200kg/cm2の反応条件下で水素化分解し,生成物の性状の変化を調べるとともに,反応性の変化を考慮に入れて水素化分解反応速度を解析しようと試みた。