流動層技術
-二段流動層によるガスの吸着-
本間専治
1978年3月 北海道工業開発試験所技術資料 7,48-49
一般にガス吸着には固定層が用いられているが,それに対して,流動層による吸着は次のような利点,欠点をもっている。
1) 同一風量の処理に対して,より小容量の装置で完全に吸着することができる。
その反面,吸着剤の使用量が少ないから,交換時期は早くなる。
2) 固定層に用いる活性炭は,通気抵抗の関係から,大粒あるいは球状のものが用いられるが,流動層では水処理などに用いられる比較的安価な1〜2mmφの破砕炭でよい。
3) 固定層では吹抜け(ガス通路が偏る)が生じ易い。
このことは,活性炭が充分に利用されないということだけでなく,反応熱の蓄積によって,発火,爆発の危険がある。
流動層の場合は層内が均一に混合されているから,このような懸念はない。
4) 反面,流動層の欠点は,混合のため,活性炭が摩粍して,微細粉が系外に飛び出すことである。
以上のような概観のもとに,できるだけ長所を生かし,かつ短所を補って,簡易な吸着塔を考えることとし,二段流動層を設計した。