流動層技術
-流動燃焼による悪臭除去-
三浦正勝
1978年3月 北海道工業開発試験所技術資料 7,46-48
実用規模における悪臭除去方法としては,数種の方法があるが,今後,悪臭処理に限らず公害処理対策は,処理廃棄物等による二次公害を防止することが重要である。
悪臭公害対策の基本は,Weber-Fechnerの法則からも明らかなように悪臭物質量を,ほぼ完全に取り除かなければならない。
これらの観点から燃焼脱臭法に着目して検討を進めた。
燃焼法によって悪臭成分を酸化分解するには,温度650℃,0.3sec以上の接触時間が必要とされている。
流動燃焼装置は,従来行われている直炎処理装置等に較べ,不必要な局所高温部および低効率の原因となっているコールドスポットが存在せず,必要とする温度の制御が容易である。
また,触媒活性を有する流動粒子の使用によって処理温度を下げ除去効率を上げることも可能と考えられる。
以上のことから,流動燃焼法による悪臭除去の基礎的検討を行うとともに,活性を有する流動粒子の探索を進めた。
脱臭試験物質には,悪臭防止法の規制物質であるトリメチルアミンとメルカプタンを用いた。
これらは,主に水産加工場やクラフトパルプ工場より発生し,水洗では取り除くことが困難であり,さらに,閾値(臭気限界濃度)が非常に低濃度であるため広域に悪臭公害をおよぼしているものである。