水蒸気による炭化水素の改質
-脂肪族炭化水素と水蒸気との反応-
小谷川毅
1976年3月 北海道工業開発試験所技術資料 6,2-8
飽和炭化水素と水蒸気との反応は総括的に次式によって表すことができる。
CmHn + mH2O = mCO + (m+n/2)H2・・・・・・・・・(1)
CmHn + 2mH2O = mCO2 + (2m+n/2)H2・・・(2)
合成ガスの製造には反応(1)が,水素ガスの製造には反応(2)が望ましい。
これらの反応を無触媒で行うには反応温度は1,000℃以上となるため原料の炭化反応が進行し目的とする反応(1)および(2)への選択率は極めて低くなる。
この問題を解決するために,主に,ニッケル系触媒が用いられている。
山本らは,高アルミナ質の中性担体触媒(触媒I,NiO 4.76%,Al2O3 64.0%,Si02 27.7%,Fe2O3 3.6%)とドロマイトアルミナ系の塩基性担体触媒(触媒II,NiO 4.5%,Mg0 36.1%,CaO 20.6%,Al2O3 36.2%,Si02+Fe2O3 3%)上でパラフィン系およびナフテン系炭化水素と水蒸気との反応を行っている。
その結果,反応温度は少くとも800℃以上必要であり,炭化水素に対する水蒸気量の影響は,水/炭化水素(cc/cc)が1のとき有効変成率は最大になる。
これは式(1)に対応する理論値に最も近い。