固体無煙燃料工業に関する調査第2報
-米国における低温タール利用の動向-

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館林昌平
1962年1月 北海道工業開発試験所技術資料 4,34-49

 米国において大石炭会社が石炭化学に進出を企画している好例としてPittburgh Consolidation Coal., Coの計画を見逃すことができない。 この計画は工場建設予定地であるCresap(West Virginia州)の名を取ってCresap計画と呼ばれている。
 Pittburgh Consolidation Coal., Coは米国第一の瀝青炭業者で、既に15年程前から石炭の有効利用に関して組織的な研究を行ってきた。 本計画は石炭-電力-アルミニウムのコンビナートで、計画が実現すれば綜合石炭化学工場が建設されることになり、業界の住目をあびていたものである。
 本計画の当初の見通しでは1958年に工場建設に着手することになっていたが、その後子会社であるPitt-Consol社がクレゾール酸市場を詳細に検討した結果この計画を棚上げした。 同社のスポークスマンは“事実この計画は無期延期されている、現下の経済事情ではこの計画を実行しても役立たない”と指摘した。
 棚上げ決定の根拠は、1957-58年の経済事情から、このような大規模の計画を進めるのは時期尚早であるということにある。 研究従事者は新用途の開発に努力を重ねてきたが、生産能力に即応する販路を保証する程の成果が得られなかった。 次に、1956年にさかのぼって同社が実行しようとした計画について述べる。