固体無煙燃料工業に関する調査第2報
-カナダにおける低温タール利用の動向-

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館林昌平
1962年1月 北海道工業開発試験所技術資料 4,28-28

 カナダの南Saskatchewanにおける亜炭産出量は年間200万tに及び、大部分は火力発電に消費されているが、これをより有効に利用するため、Saskatchewan Power Corpが研究委員会(Research Council)を結成して、低温乾留による軽油、ガス、さらに高級燃料の製造を検討している。
 昨年、研究委員会は米国鉱山局によって開発された亜炭低温乾留法を採用し、ReginaのIndustrial Minerals Research Branchが生成物の収量、経済性についての研究を、大学が亜炭タールの試験をそれぞれ担当した。 また大規模の中間試験が米国鉱山局の協力のもとにDenverで行われ、実験室の成果を確認するとともに、乾燥および乾留工程に要する経費を66,000KW設備について試算した。
 亜炭タールを1次蒸留で油分(クレオソート)と残渣(ピッチ)に分ける。 亜炭クレオソートはさらにタール酸留分と少量のタール塩基を含む中油分に分留する。 昨年、No.22 York-Scheiber液抽出塔を建設し、タール酸と中性油分の分離効果を検討した。 この抽出塔は中間仕込み-向流-多段接触型でメタノール水とSkelly Fとを抽出液として使用し、亜炭クレオソートを連続処理してタール酸を水溶液層に、中性油留分と炭化水素(Skelly)層に分離する。 タール酸の収量は95〜100%、中性油留分は88〜90%である。 またモノメタノールアミン-Skelly F系の抽出試験および大規模の精密分留試験も行われた。
 直接水蒸気蒸留によって脱水タールの17%が容易に留出し、さらにこの留分から52%のクレゾール酸が取得されている。
 このような過去数年間の研究の結果、Saskatchewan亜炭タールがタール酸(主としてフェノール類)、中性油、塩基性油を製造する原料として経済的に非常に重要であることが認められた。