フライアッシュ 蒸気養生・オートクレーブ(石灰,セッコウ存在下におけるフライアッシュのゲル化ならびに硬化特性)
井上憲弘/ 原尚道
1996年6月 九州コンクリート研究会第78回技術研究会 コンクリート粉粒体, 九州 96,173-179
フライアッシュを対象に,ゲル化による軽量建材製造の可能性を検討する目的で,水さいおよびシラスを比較原料として,ゲル化ならびに硬化体製造試験を行い,以下のことを明らかにできた。
(1)フライアッシュからも水さい,シラスと同様に,ガラス相を主成分とするため石灰,セッコウを配合することにより,ゲル化軽量建材製造が可能である。
フライアッシュは,化学成分としてはSiO2の次にAl2O3を多く含むため,軽量化を目的とする場合,エトリンガイト生成量を増やすようにゲル化条件を設定すべきである。
フライアッシュのSiO2含有率はシラスには劣り,また水さいに比べるとCaO含有率は低いので最適石灰配合率は,シラスおよび水さいの中間にとるべきである。
(2)石灰およびセッコウ配合率,ゲル化温度,ゲル化時間,蒸気養生またはオートクレーブ養生と製造条件を変えて実験した結果,フライアッシュ系で,たとえば外割り重量比で石灰15%,セッコウ7%配合で,ゲル化しない場合かさ比重が1.38〜1.34であるのに対して,80℃で4時間ゲル化することで1.15〜1.09までかさ比重を低下できた。
クリソタイル石綿5Rを外割り重量比10%配合したこれらの硬化体の曲げ強度はそれぞれゲル化なしで70.3〜88.3s/p2,ゲル化したものは60.3〜74.8s/p2を示した。
ただし,前者は蒸気養生,後者はオートクレーブ養生で得られた値である。
しかし本実験は,広範囲に選べる実験要因を網らしたわけではない。
したがって,製造条件をさらに適切に選ぶことによって,軽量化性ならびに強度の向上は可能と考えれられる。