フライアッシュ富配合セメントの加温養生
井上憲弘/ 恒松修二/ 野間弘昭/ 原尚道
1988年12月 セメント技術年報 42,72-75
石油代替エネルギー資源として石炭が見直され,石炭火力発電所の増加につれて副生するフライアッシュも急増している。
最近の火力発電所は公害対策上,燃焼温度を低くおさえているので,副生するフライアッシュは未燃炭分を多く含み,その有効利用を図る上で,未燃炭分の増加が問題となっている。
フライアッシュの用途としては,セメントの混合材としての利用が一般的であり,関連研究も多くなされている。
しかし,従来の研究を養生温度の面からみると,常温で検討された例が多く,蒸気養生,オートクレーブ養生等の加温条件下における研究は少ない。
さらに,低品質のフライアッシュを取扱った報告は極めて少ない。
本研究では,これらの状況を踏まえ,未燃炭分を多く含んだ低品質のフライアッシュを対象に,フライアッシュの配合率を10〜70%に変えたフライアッシュ混合セメントを調整し,それらの加温養生下(40〜180℃)における硬化挙動を,圧縮強度と水和反応の面から検討したので報告する。