フライアッシュの性状変動の水熱反応と硬化特性におよぼす影響
井上憲弘/ 恒松修二/ 原尚道
1986年11月 九工試報告 37,2341-2346
筆者らは前報で,フライアッシュはシラス,水さいと同様にガラス相を主体とするため,常圧100℃以下でも石炭,セッコウと水熱反応してカルシウムサルホアルミネート水和物およびケイ酸カルシウム水和物を生成するので,懸濁状における水熱反応,すなわちゲル化を軽量化手段とする建材製造が可能であることを報告した。
しかし,フライアッシュの使用に当っては,燃焼炭の種類,燃焼方法,燃焼条件および捕集方法のちがいからくる性状の変動にいかに対処するかが当然問題になる。
本問題に関する基礎的知見を得る目的で,前報に引き続き,西日本地区の異なった発電所から副生する性状の異なった5種類のフライアッシュを対象に石灰およびセッコウの存在下における水熱反応性およびゲル化物の硬化特性を調べ,さらに鉱物組成と化学成分との関係についても検討を加えたので,ここに報告する。