フライアッシュの水熱反応と硬化特性
井上憲弘/ 恒松修二/ 原尚道
1983年12月 セメント技術年報 37,49-52
筆者らは,これまでにガラス相を主体とする火山噴出物「シラス」および高炉水砕スラグ(以下水さいと略称する)を対象に,石灰,せっこう存在下,100℃以下での水熱反応,すなわちゲル化を軽量化手段とする建材製造について報告し,また,フライアッシュもシラス,水さいと同様にガラス相を主体とすることに注目し,フライアッシュの本法に対する原料適性を評価するために,シラス,水さいとの比較試験を行い,軽量建材化が可能であることを明らかにした。
フライアッシュは燃焼炭の種類,燃焼方法,燃焼条件および捕集方法のちがいにより異なった性状を示すことが知られている。
筆者らは前報に引き続き,西日本地区の異なった発電所から出る5種類のフライアッシュを対象に,石炭,せっこう存在下における水熱反応性およびゲル化硬化体特性に及ぼす効果を調べ,さらに鉱物組成と化学成分との関係についても検討を加えた。