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  4. 人間情報研究部門の紹介

人間情報研究部門の紹介

人間情報研究部門では、人間の脳から感覚、身体、行動、社会参加に至るまでの人間機能を理解し、その個人差を把握した上で、製品・サービス・社会を人間中心視点で構成するための研究を推進します。人が身に付けるものや、使用するものがネットワークに繋がる時代―IoT時代―は、人間工学にも大きな変化をもたらします。いままで実験室でしか測れなかった人間機能の一部が、現場で計測されネットワークを通じてビッグデータとして蓄積される時代が来つつありますが、その一方で、身体内部や認知心理の深い情報が欠落しているため、現場で計測された人間機能ビッグデータが最終的な価値に繋がらないケースも多く見られます。人間情報研究部門では、少数でも品質の高いデータ(ディープデータ)を蓄積してモデル化し、それをビッグデータと連係することで、安全・快適、未病・回復、社会参加と社会認知という価値を生み出す製品・サービス開発の研究を行っています。戦略的にディープデータを蓄積し、関係性を科学的に解明してモデル化し、製品・サービスとして社会に提供する―そして、それが社会の中で経済的に持続して価値とデータを産み続けるプロセスを「社会実装」と位置付け、そこまでが研究のライフサイクルであると考えています。これらの研究活動を通じ、平均的な人間機能ではない人々(子ども、高齢者、障がい者など)が普通に暮らせる社会を生み出すための製品・サービスが、経済的に持続できる産業構造の構築を目指しています。

持丸正明の画像
研究部門長
持丸正明

人間生活工学・脳科学

人間生活工学・脳科学について説明する図

持続可能な社会の中で健康かつ安全・安心で質の高い生活の実現を目指し、脳科学、心理学、生理学、生体医工学、人間工学、数理科学などの知識や知見を結集・融合することにより、人間や生活環境についての科学的理解を深め、それに基づいて、人間機能や生体特性と適合性の高い製品や生活環境を創出するための研究開発を行っています。

人間機能を計測し、その仕組みを知ることで、1) 人間が持つ認知機能などを評価・支援する技術、2) 心身適応力向上のための心身機能評価・支援技術、3) 生活自立支援のための身体機能回復技術、4) 高齢者・障害者にも対応した製品・環境の評価・設計支援のための技術を開発し、規格化(JIS/ISO)等を推進しています。そして、人間生活及び医療福祉機器関連産業等への技術橋渡しにも貢献します。

これまでに、内視鏡下鼻内手術トレーニング用モデル・システムを開発する(有)サージ・トレーナーや、3D触力覚技術を応用し世界初のデジタル「体感」技術を確立し展開する(株)ミライセンス等の産総研技術移転ベンチャーを創出してきました。また、セラピー用アザラシ型ロボット「パロ」は世界の介護福祉施設への導入が進んでいます。

現在は、神経科学的な作用機序に基づく「ニューロリハビリテーション技術」、脳と機械を結ぶ「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)による意思伝達技術」、「治療機器・医療情報ネットワークのIoT化実現に向けた基盤技術」等の研究開発を推進しています。

デジタルヒューマン工学

デジタルヒューマン工学について説明する図

デジタルヒューマン工学とは、生活空間と情報空間を橋渡しするためのインタフェース技術の総称です。人間情報研究部門におけるデジタルヒューマン工学研究の目標とは、健康かつ安全で持続可能な社会を実現するために、生活者に感覚刺激や付加価値の高い製品・サービスを提供し、行動・生活・社会を変容させることです。これを達成するために、感覚、身体、行動、生活、さらには社会に至るまで、様々なレベルでの人間機能を、実験室で収集した質の高いデータに基づきモデル化する技術、このモデルを用いて、生活者の人間機能データを大規模に計測し、モデルを更新する技術、そして、計測したデータとこのモデルを用いて、生活者に介入するための技術を研究しています。この生活空間と情報空間の間の相互作用こそが、デジタルヒューマン工学をインタフェース技術と位置づける所以です。これには、計測したデータを用いてデザインした感覚刺激による即時的な行動の変容から、計測・蓄積したデータを用いてデザインした製品・サービスによる長期的な生活・社会の変容まで、様々な時間スケールでの相互作用が含まれています。このような相互作用を持続的に駆動するには、製造業、サービス産業、そして自治体などとの連携が重要になります。人間情報研究部門では、様々な企業や外部機関との連携を通じて、人間機能のモデル化、生活者の計測、そして生活者への介入に関する具体的な事例を解決しながら、デジタルヒューマン工学研究を確立していきます。

サービス工学

サービス工学について説明する図

サービス工学とは、いまやGDP・雇用において日本経済の7割を占めるサービス業の効率向上や、新しいサービスの創出を行うための工学技術です。少子高齢化等の社会構造変化、観光業・都市見守り等の新しい産業分野の振興、業務効率化のためのアウトソーシングや製造業のサービス化によりサービスへの需要は拡大しており、これらのニーズに応えるために、サービスの効率向上と新規サービスの創出のための工学的アプローチの方法を示すのが、当部門におけるサービス工学研究の目的です。そのために、サービス現場においてデータに基づいて仮説を立て、それを検証しながらサービスの効率向上と新規サービス創出を行うという「サービスの最適設計サイクル」を廻すことを目標としています。サービスにおいては、ものづくり以上に「人」の関わりが重要であり「人」やそれを取り巻く「環境」の機能のモデルが重要であると考えています。現場での人の行動・環境の状況とサービスプロセスの観測、その分析によるサービスプロセスのモデル構築、シミュレーション検証により、効率的なサービスの設計ならびに再設計を行い、その結果を現場に適用するという設計サイクルを繰り返すサービス工学を推進しています。実現場からのニーズとサービス工学のシーズとの橋渡しが本質的に重要であり、企業・自治体・各種団体との連携を通じて実際のサービス現場で具体的研究を推進しながら、幅広いサービス産業に展開可能なサービス工学要素技術の研究開発を進めています。