fNIRS

近赤外脳機能計測法(fNIRS)は、同様な脳活動計測手法である fMRI や PET に比較して簡便で安全性の高い手法であり、特に拘束下での計測が難しい乳幼児や、リハビリによる回復過程の計測など、他の手法では計測が困難と思われる分野での利用が期待されています。しかし fNIRS は、その計測原理に本質的に由来する次のような問題も抱えており、高い計測信頼性を有する計測を実現するためには、これらの課題を解決することが重要です。

頭部表層組織における血流変動
fNIRSは、照射光プローブを用いてレーザー光を頭表から頭組織へ注入し、頭組織を経由して空間中に出てくる光の強さを、照射プローブから数cm離れた位置に設置された検出プローブで計測することにより、脳組織中での血流変化に伴う光量変化、ひいては血流変化を惹起した脳活動変化を計測しようとするものです。計測光は頭部の表層組織を必ず経由するため、そこでの血流変化に由来する変動を受けます。このような血流変化は姿勢変化、呼吸変化、実験課題遂行等に伴って生じ、計測結果にモーションアーティファクトなどの問題を生じさせます。特に、実験課題遂行に伴う表層組織での血流変化は脳活動に由来する信号だと誤解されるため、注意が必要です。

プローブ装着の不良

計測プローブの頭表への装着が適切でなかった場合、それは計測光の変動を生じます。特に、課題遂行時の体動によって生じる計測光の変動は脳活動に由来する信号だと誤解される場合があります。計測プローブに用いられる光ファイバの直径は数ミリ程度であり、一方、毛髪は通常 1mm 程度の間隔で生えていると言われますので、プローブは必ず毛髪の上に装着されることになります。このため、体動下でも安定なプローブ装着状態を実現することはそれほど容易ではありません。

我々は、これらの課題の解決のため、次のような手法を開発しました。国内では連続光NIRScontinuous wave NIRS)装置が既に広く普及しているため、これらの手法は、そのような装置の計測信頼性向上をターゲットとして開発されています。

1.
頭部表層組織の血流変動による影響の除去
  1.1 プローブ多重配置法
  1.2 血流動態分離法

2.
プローブコンタクトの安定化
 2.1 新型プローブホルダ
 2.2 プローブ装着不良の検出