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【地域トピックス−砂利・砕石などの流通昨今−】

1994(平成6)年7月,旧通産省資源エネルギー庁は採石法に関する2本の行政通達を送致しました.

1本目は,『採石計画における採取期間の延長について』です.
これは,採石法第33条の4に規定される採石採取計画の認可基準において現行の「一応3年程度」を改めて,1995年(平成7年)1月から「5年程度」に延長する,というものです.この通達は砕石業界挙げて歓迎されたようです.同業界は砕石の採取計画に係る認可基準の緩和を長年要望してきており,原石採取期間の現行3年から5年への延長は正に願ったりかなったりだったでしょう.しかし,2本目の通達は砕石業界にとって苦渋を迫られたかも知れません.

2本目の通達は,『ダンプカーによる過積載防止対策の強化について』です(1994年(平成6年)8月施行).
これは旧通産省資源エネルギー庁の『昭和54年版採石技術指導基準書』に追記し,さらに一部の表記を改正するというものです.その内容は,追記部分が砕石を搬送するダンプカーの『過積載の防止等』であり,改正部分が『検量の方法を定め,さし枠装着等の不正改造車には製品や土砂などを積み込まない・積み込ませない(概略)』,とされています.このように2本目の通達は,ダンプカーの交通法規遵守(適正積荷運行)に係る規制強化の側面を兼ね備えていました.

一般に,砂利・土砂や砕石などを砕石場などから中・近距離の消費地へ陸送する輸送手段としてはダンプカーを多用し,遠距離の消費地への搬送には砂利船(砂・砂利・石材専用船)などを使用する海上輸送手段が採られます.しかし,このような従来からの砂利・土砂や砕石などの輸送手段に最近は変化の兆しがみられます.砂利・土砂や砕石などを比較的近距離の消費地へ搬送する際も,砂利船を使用して海上輸送する輸送量が増大しているのです.

大阪府の堺泉北港は横浜港や東京港などと同様の「特定重要港湾」であり,神戸港などと並ぶ西日本の代表的な物流拠点です.堺泉北港の取扱い貨物総量は2000年(平成12年)年間で約7,452万トンに及びますが,これは神戸港の同年間取扱い貨物総量の約8,464万トンと比較しても遜色がありません.この堺泉北港において,砂利・砂などの輸送手段に変化の生じていることを見て取れます.同港からの砂利・砂などの内国移出総量は2001年(平成13年)年間で約3,000トンですが,そのうちの93%に相当する約2,800トンが大阪府内の諸港へ仕向けられています.一方,同港への砂利・砂などの内国移入総量は2001(平成13)年年間で約250万トンに及びますが,その発送県は大阪府に隣接する兵庫県が最も多い約130万トン(52%),次に香川県が約39万トン(16%),岡山県が約24万トン(10%)などとなっており,大阪府内の諸港からも約9万トン(4%)が移入されています(ちなみに遠距離地の九州各県や広島県,山口県などから堺泉北港への移入量は,合算しても7%程度です).このような堺泉北港における砂利・砂などの海上荷動きの特徴は,荷動きの主な対象地が同港から中・近距離地に限定的であるにもかかわらず砂利船が多用されていることです.砂利・砂などの輸送手段に生じた変化の主因は長引く経済不況であり,砂利船の使用により輸送コストの軽減を図れることが挙げられるでしょう.

砂利・砂や砕石などの輸送手段の変化に伴って,砕石場や採土場などの生産・流通システムは大幅な変化を迫られるかも知れません.

(小村 良二,2003.9)

(本記事執筆に当たっては,「日本の港湾2001」(日本海事広報協会編及び「平成12年度貨物地域流動調査・旅客地域流動調査」国土交通省総合政策局情報管理部編を参照しました.)

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