はじめに
産業技術総合研究所 新型コロナウイルス感染リスク計測評価研究ラボでは、新型コロナウイルスの感染リスクやマスク着用等の各種対策の効果について、より直感的に理解をしやすくするために、小規模室内における新型コロナウイルスの感染リスク評価のオンラインツールを開発しました。
モデル概要
このツール(評価モデル)は、Murakami et al.,(2021) および Yasutaka et al.,(2022) などをベースとした環境暴露モデルを用いて4つの感染経路(直接暴露、直接吸引、環境表面接触、空気経由)からのウイルス暴露量および感染リスクを対象として、各種対策効果の評価が可能です。
排出するウイルス量や用量反応関係のパラメータについては個人差や不確実性があるため、対策の効果を見る観点からは、ウイルス曝露量での評価を推奨しております。
以下の利用登録(ユーザー名とパスワード)が必要ですので、よろしくお願いいたします。
利用登録
現状、ベータ版の公開のため、ご使用を希望される方は、利用登録をお願いいたします。以下をクリックください。Microsoft Formsに飛びます。利用登録をしていただきますと、ユーザー名とパスワードが送信されます。
評価条件
小規模の室内(実効床面積45m2(=6m×7.5m)、天井高3m)に、無症状の感染者1名と非感染者1名が、所定の時間分だけ滞在するとした場合に、時間的・空間的な違いによってウイルス暴露量や感染リスクがどのように変化するのかを確認することができます。また、感染予防対策の一環でもある「マスク着用」の効果についても、その素材を考慮した評価を行っています。
結果の表示
ウイルス暴露量や感染リスクの結果は、本評価条件において最もリスクが高い条件である
「滞在時間:60 分、会話頻度:0.50、感染者との距離:0.5 m、感染者・非感染者ともにマスクなし」
という条件の暴露量、感染リスクを100としたときの相対値で表示してます。
以下に入力画面と結果の表示画面を示します。
- 本評価は、上記の詳細な暴露評価モデルにいくつかの不確実性を有しています。ウイルス暴露量や感染リスクの数値については、参考としてお取り扱いください。
- 多くのパラメータに確率分布を入れているため、結果については1万回のシミュレーションの平均値の数値で比較しています。
- 唾液中のウイルス量はアルファ株相当と仮定しています。
- 不織布95%と99%の違いは、吐き出される大粒子の飛沫をカットする性能の違いを想定しています。
お問合せ
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
新型コロナウイルス感染リスク計測評価研究ラボ 事務局
Eメール:
参考文献
- Murakami, M., Miura, F., Kitajima, M., Fujii, K., Yasutaka, T., Iwasaki, Y., ... & Imoto, S. (2021). COVID-19 risk assessment at the opening ceremony of the Tokyo 2020 Olympic Games. Microbial risk analysis, 100162.
https://doi.org/10.1016/j.mran.2021.100162 - Yasutaka, T., Murakami, M., Iwasaki, Y., Naito, W., Onishi, M., Fujita, T., & Imoto, S. (2022). Assessment of COVID-19 risk and prevention effectiveness among spectators of mass gathering events. Microbial risk analysis, 100215.
https://doi.org/10.1016/j.mran.2022.100215 - 保高徹生, 内藤航, 大西正輝, 藤田司, & リヒンキ. (2022). 小規模室内における新型コロナウイルスの感染リスク評価ツールの開発. 第35回日本リスク学会年次大会, 講演要旨集