受賞・表彰
学会等で受賞・表彰された研究成果の一覧です。
2022年
受賞日:2023年2月7日
第42回(令和4年度)優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰 日本機械工業連合会会長賞
【概要】
高砂熱学工業株式会社、東京電力エナジーパートナー株式会社、石原産業株式会社、森松工業株式会社、日野自動車株式会社 との共同研究で開発した『吸着材蓄熱システム(メガストック®)』 が、「第42回(令和4年度)優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」で日本機械工業連合会会長賞を受賞
高砂熱学工業株式会社、東京電力エナジーパートナー株式会社、石原産業株式会社、森松工業株式会社、日野自動車株式会社 との共同研究で開発した『吸着材蓄熱システム(メガストック®)』 が、「第42回(令和4年度)優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」で日本機械工業連合会会長賞を受賞
【受賞者】
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
(開発担当者)
エネルギープロセス研究部門 エネルギー変換プロセスグループ 倉本浩司、松田聡
地圏資源環境研究部門 鈴木正哉、地圏化学研究グループ 森本和也
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
(開発担当者)
エネルギープロセス研究部門 エネルギー変換プロセスグループ 倉本浩司、松田聡
地圏資源環境研究部門 鈴木正哉、地圏化学研究グループ 森本和也
受賞日:2023年1月19日
2022 Best Paper Awards in Marine and Petroleum Geology
【概要】
「Multiple physical properties of gas hydrate-bearing sediments recovered from Alaska North Slope 2018 Hydrate-01 Stratigraphic Test Well」で受賞
「Multiple physical properties of gas hydrate-bearing sediments recovered from Alaska North Slope 2018 Hydrate-01 Stratigraphic Test Well」で受賞
過去(2021年以前)の受賞はこちら ※『創エネルギー研究部門』(~2020/3/31)の受賞も含みます
2021年
受賞日:2022年2月25日
2021年度日本エネルギー学会 奨励賞(大会部門)
【概要】
「二元機能触媒を用いた低濃度CO2からの直接CH4合成技術の開発」で受賞
「二元機能触媒を用いた低濃度CO2からの直接CH4合成技術の開発」で受賞
【受賞者】
エネルギープロセス研究部門
エネルギープロセス研究部門
【研究概要】
低濃度CO2から高濃度のCH4を直接合成する技術に関する研究開発を行った。発電所やその他産業界から排出されるCO2は、窒素や酸素などで希釈されて濃度が数%〜数十%と希薄であり、CO2の貯留や転換過程の前段階としてCO2分離回収過程を必要とする。アミン吸収などに代表されるCO2分離回収過程は、特にCO2の放出過程で多くのエネルギーを必要とするため、CO2分離回収過程の高効率化やCO2分離回収を必要としない革新的プロセスの開発が必要とされており、本研究では低濃度のCO2を高濃度のCH4に直接変換する技術の開発を行った。CO2を回収する機能をもつNa等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属とCO2を水素と反応させてメタンに転換する機能をもつNiを含む二元機能触媒を開発した。反応器へ導入するガスの切り替えを行い、二元機能触媒を用いて低濃度CO2の触媒中への選択的回収と回収したCO2の水素雰囲気下での炭化水素類への転換を行った。種々の反応条件や触媒作製条件を検討した結果、十数%の低濃度CO2に加えて大気レベルの400ppmのCO2についても効率的にCH4へ転換可能であることを見出した。
低濃度CO2から高濃度のCH4を直接合成する技術に関する研究開発を行った。発電所やその他産業界から排出されるCO2は、窒素や酸素などで希釈されて濃度が数%〜数十%と希薄であり、CO2の貯留や転換過程の前段階としてCO2分離回収過程を必要とする。アミン吸収などに代表されるCO2分離回収過程は、特にCO2の放出過程で多くのエネルギーを必要とするため、CO2分離回収過程の高効率化やCO2分離回収を必要としない革新的プロセスの開発が必要とされており、本研究では低濃度のCO2を高濃度のCH4に直接変換する技術の開発を行った。CO2を回収する機能をもつNa等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属とCO2を水素と反応させてメタンに転換する機能をもつNiを含む二元機能触媒を開発した。反応器へ導入するガスの切り替えを行い、二元機能触媒を用いて低濃度CO2の触媒中への選択的回収と回収したCO2の水素雰囲気下での炭化水素類への転換を行った。種々の反応条件や触媒作製条件を検討した結果、十数%の低濃度CO2に加えて大気レベルの400ppmのCO2についても効率的にCH4へ転換可能であることを見出した。
受賞日:2021年12月3日

2021年度炭素材料学会 研究奨励賞

【概要】
「多孔質炭素材料の蓄電デバイスへの応用に関する研究」で受賞。
「多孔質炭素材料の蓄電デバイスへの応用に関する研究」で受賞。
【研究概要】
多孔質炭素材料の蓄電デバイス用電極としての応用に関する研究を行った。まず、メソ孔に富む材料であるMgO鋳型炭素を電気二重層キャパシタ用電極材料として用いた研究に取り組み、炭素の細孔構造と電極密度、キャパシタ特性の関連性を系統的にまとめた。結果として、少量のメソ孔が出力特性向上に大きな効果を発揮することを見いだし、大きな電極密度と、低抵抗・高出力を同時に実現するためには、ミクロ孔を主とし、全細孔のうち20%程度をメソ孔が占めるような多孔質炭素が有望であることを示した。加えて、メソ孔は、電解液の分解生成物をメソ孔内に堆積させることで、抵抗上昇を抑制できることを明らかにした。また、MgO鋳型炭素をナトリウムイオンキャパシタの負極材料にも応用することで、一般的なハードカーボンに比べて低抵抗化・高出力化することに成功した。これはメソ孔炭素ではナトリウムイオンの炭素層間または閉孔・潜在孔への挿入と電気二重層吸着が組み合わさるためである。さらに、単層カーボンナノチューブの利用研究も行い、活性炭と組み合わせたバインダーフリー複合電極を作製することで、キャパシタの耐電圧・耐久性を向上できることを見いだした。最新の研究では、天然黒鉛を機械粉砕することで比表面積の大きな炭素を合成してキャパシタ電極に応用したところ、現行の活性炭並みの体積比容量を発揮し、活性炭よりも優れた出力特性を示すことを明らかにした。
多孔質炭素材料の蓄電デバイス用電極としての応用に関する研究を行った。まず、メソ孔に富む材料であるMgO鋳型炭素を電気二重層キャパシタ用電極材料として用いた研究に取り組み、炭素の細孔構造と電極密度、キャパシタ特性の関連性を系統的にまとめた。結果として、少量のメソ孔が出力特性向上に大きな効果を発揮することを見いだし、大きな電極密度と、低抵抗・高出力を同時に実現するためには、ミクロ孔を主とし、全細孔のうち20%程度をメソ孔が占めるような多孔質炭素が有望であることを示した。加えて、メソ孔は、電解液の分解生成物をメソ孔内に堆積させることで、抵抗上昇を抑制できることを明らかにした。また、MgO鋳型炭素をナトリウムイオンキャパシタの負極材料にも応用することで、一般的なハードカーボンに比べて低抵抗化・高出力化することに成功した。これはメソ孔炭素ではナトリウムイオンの炭素層間または閉孔・潜在孔への挿入と電気二重層吸着が組み合わさるためである。さらに、単層カーボンナノチューブの利用研究も行い、活性炭と組み合わせたバインダーフリー複合電極を作製することで、キャパシタの耐電圧・耐久性を向上できることを見いだした。最新の研究では、天然黒鉛を機械粉砕することで比表面積の大きな炭素を合成してキャパシタ電極に応用したところ、現行の活性炭並みの体積比容量を発揮し、活性炭よりも優れた出力特性を示すことを明らかにした。
【関連情報】炭素材料学会ホームページ
受賞日:2021年4月2日


【概要】
「Pressure-core-based reservoir characterization for geomechanics: Insights from gas hydrate drilling during 2012-2013 at the eastern Nankai Trough」で受賞。
石村理事長から表彰されました。
「Pressure-core-based reservoir characterization for geomechanics: Insights from gas hydrate drilling during 2012-2013 at the eastern Nankai Trough」で受賞。
石村理事長から表彰されました。
【関連情報】産総研論文賞2020
2020年
受賞日:2020年2月26日
2019年度(令和元年度) 日本エネルギー学会 進歩賞 (学術部門)
【概要】
「重質油の高効率転換法に関する研究」で受賞。
日本エネルギー学会 第95回定時総会(2020年2月26日、東京 学士会館)にて表彰されました。
「重質油の高効率転換法に関する研究」で受賞。
日本エネルギー学会 第95回定時総会(2020年2月26日、東京 学士会館)にて表彰されました。
【受賞者】
創エネルギー研究部門 未利用炭素資源グループ 森本 正人
創エネルギー研究部門 未利用炭素資源グループ 森本 正人
2019年
受賞日:2019年11月15日
公益社団法人日本金属学会「第6回水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」優秀賞
【受賞の概要】
公益社団法人日本金属学会「第6回水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」で優秀賞を受賞しました。
【研究業績の概要】
近年の再生可能エネルギー導入拡大に当たり、電力の需給バランスを制御するためには発電時に生じた余剰電力で水素を製造・貯蔵し、電力需要に応じて燃料電池によって発電・給電することが有効と考えられている。小刻みに変動する供給と需要とのバランス調整には蓄電池により対応可能であるが、長周期あるいは大規模の変動ほど、水素利用が有効である。 このような背景の中で我々は、マグネシウムは高水素貯蔵密度かつ低材料コストであることから、既述の課題を克服できる可能性を有していると考え、材料開発研究を行ってきた。現状では水素化物MgH2の安定性が高すぎるため、水素の放出に300℃程度以上の高温を要することが第一の課題であり、作動温度低下が必要である。そこで本研究では、平衡状態図により既知の合金を基に材料開発を行うのではなく、敢えてマグネシウムとは混ざりにくい金属も使用して特殊なナノメートルオーダーの金属組織を創生し、作動温度低下に成功した。
本研究は、経済産業省「革新的なエネルギー技術の国際共同研究開発事業」による支援を受け行われた。
公益社団法人日本金属学会「第6回水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」で優秀賞を受賞しました。
タイトル:Altering the thermodynamic stability of MgH2 by utilizing the immiscibility of metals with Mg(Mgと非混合性金属を用いたMgH2の不安定化)
【研究業績の概要】
近年の再生可能エネルギー導入拡大に当たり、電力の需給バランスを制御するためには発電時に生じた余剰電力で水素を製造・貯蔵し、電力需要に応じて燃料電池によって発電・給電することが有効と考えられている。小刻みに変動する供給と需要とのバランス調整には蓄電池により対応可能であるが、長周期あるいは大規模の変動ほど、水素利用が有効である。 このような背景の中で我々は、マグネシウムは高水素貯蔵密度かつ低材料コストであることから、既述の課題を克服できる可能性を有していると考え、材料開発研究を行ってきた。現状では水素化物MgH2の安定性が高すぎるため、水素の放出に300℃程度以上の高温を要することが第一の課題であり、作動温度低下が必要である。そこで本研究では、平衡状態図により既知の合金を基に材料開発を行うのではなく、敢えてマグネシウムとは混ざりにくい金属も使用して特殊なナノメートルオーダーの金属組織を創生し、作動温度低下に成功した。
本研究は、経済産業省「革新的なエネルギー技術の国際共同研究開発事業」による支援を受け行われた。
【受賞者】
創エネルギー研究部門
創エネルギー研究部門
水素材料グループ Lu Yanshan, 浅野 耕太, Kim Hyunjeong, 榊 浩司
物質計測標準研究部門
精密結晶構造解析グループ 治村 圭子, 林 繁信
デルフト工科大学
Herman Schreuders, Bernard Dam
2018年
受賞日:2018年11月21日
公益社団法人日本金属学会「第5回水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」優秀賞
【概要】
公益社団法人日本金属学会「第5回水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」で優秀賞を受賞しました。
タイトル:水素吸蔵金属を用いた中温作動型燃料電池のための電極開発
公益社団法人日本金属学会「第5回水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」で優秀賞を受賞しました。
タイトル:水素吸蔵金属を用いた中温作動型燃料電池のための電極開発
【研究業績の概要】
300℃程度の中温域で作動可能な燃料電池(Intermediate temperature fuel cell : ITFC)によって、脱Pt触媒、熱や水分管理の容易化などから、低コストで簡素な燃料電池システムが構築できると期待されている。さらに我々は、ITFCの排熱を高重量密度で水素吸蔵可能なマグネシウム系合金の脱水素化反応へ供給することで、従来よりも軽量・コンパクトな水素貯蔵材料との組み合わせによる高効率な水素利用システムを構築できると考えている。本研究では、ITFC用の電解質材料として近年開発したプロトン伝導性リン酸塩ガラスへ適応可能な電極材料の探索を目的として、水素の解離・吸収・放出特性を有する水素吸蔵金属による研究を行った。Pd単体の電極を用いた場合と比較して、Mgを中間に挿入したPd/Mg/Pd積層構造の電極とすることで、Pdの使用量を低減し、かつ、電極抵抗を低減することに成功した。
本研究は、経済産業省「革新的なエネルギー技術の国際共同研究開発事業」による支援を受け行われた。
300℃程度の中温域で作動可能な燃料電池(Intermediate temperature fuel cell : ITFC)によって、脱Pt触媒、熱や水分管理の容易化などから、低コストで簡素な燃料電池システムが構築できると期待されている。さらに我々は、ITFCの排熱を高重量密度で水素吸蔵可能なマグネシウム系合金の脱水素化反応へ供給することで、従来よりも軽量・コンパクトな水素貯蔵材料との組み合わせによる高効率な水素利用システムを構築できると考えている。本研究では、ITFC用の電解質材料として近年開発したプロトン伝導性リン酸塩ガラスへ適応可能な電極材料の探索を目的として、水素の解離・吸収・放出特性を有する水素吸蔵金属による研究を行った。Pd単体の電極を用いた場合と比較して、Mgを中間に挿入したPd/Mg/Pd積層構造の電極とすることで、Pdの使用量を低減し、かつ、電極抵抗を低減することに成功した。
本研究は、経済産業省「革新的なエネルギー技術の国際共同研究開発事業」による支援を受け行われた。
受賞日:2018年11月2日
16th International Symposium on Metal-Hydrogen Systems , Excellent Poster Award
【概要】
16th International Symposium on Metal-Hydrogen Systems で Excellent Poster Award を受賞しました。
タイトル:Designing jack up tool using hydrogen storage alloy as pressure source
16th International Symposium on Metal-Hydrogen Systems で Excellent Poster Award を受賞しました。
タイトル:Designing jack up tool using hydrogen storage alloy as pressure source
【研究業績の概要】
地震などの自然災害では生き埋めや閉じ込めが多く発生し、閉じ込められた人の救出や救助空間の確保が災害発生直後から求められる。レスキュー隊の到着までに被災住民や地域コミュニティによって行われる救助活動を支援するため、我々は水素吸蔵合金(以下、MH合金)を圧力源とした災害救助支援用ジャッキの研究開発に取り組んでいる。MH合金は冷却・加熱によっても可逆的に水素を吸収・放出することができる。そのため、MH合金を用いれば、
・騒音・振動が発生しない
・電力やポンピング作業がなくとも熱源があれば駆動可能である
などのメリットを持つジャッキが構築可能となる。
本研究では、MH合金LaNi4.45Co0.5Mn0.05を圧力源、薄く柔軟なゴムバッグをエンドエフェクタとするジャッキを構築した。また、使用するMH合金の質量を変化させたときのジャッキの応答を計測し、合金質量と速度の関係について評価した。実験の結果、わずか 6g の MH合金を用いるだけで、100 kgのおもりを 10 mm以上の高さまで 1分以内にジャッキアップできること、質量を増やすほど応答速度が上がることを確認した。
地震などの自然災害では生き埋めや閉じ込めが多く発生し、閉じ込められた人の救出や救助空間の確保が災害発生直後から求められる。レスキュー隊の到着までに被災住民や地域コミュニティによって行われる救助活動を支援するため、我々は水素吸蔵合金(以下、MH合金)を圧力源とした災害救助支援用ジャッキの研究開発に取り組んでいる。MH合金は冷却・加熱によっても可逆的に水素を吸収・放出することができる。そのため、MH合金を用いれば、
・騒音・振動が発生しない
・電力やポンピング作業がなくとも熱源があれば駆動可能である
などのメリットを持つジャッキが構築可能となる。
本研究では、MH合金LaNi4.45Co0.5Mn0.05を圧力源、薄く柔軟なゴムバッグをエンドエフェクタとするジャッキを構築した。また、使用するMH合金の質量を変化させたときのジャッキの応答を計測し、合金質量と速度の関係について評価した。実験の結果、わずか 6g の MH合金を用いるだけで、100 kgのおもりを 10 mm以上の高さまで 1分以内にジャッキアップできること、質量を増やすほど応答速度が上がることを確認した。
【詳細情報】
http://www.mh2018.cn/
http://www.mh2018.cn/
受賞日:2018年9月12日
第10回国際メソ構造材料シンポジウム ベストポスター発表賞(The Best Poster Presentation)
【概要】
第10回国際メソ構造材料シンポジウム(10th International Mesostructured Materials Symposium, http://www.chem.ucla.edu/IMMS10/, 2018年9月10日~9月13日@UCLA)にて、 『アンモニア合成触媒の開発・評価』で受賞しました。
第10回国際メソ構造材料シンポジウム(10th International Mesostructured Materials Symposium, http://www.chem.ucla.edu/IMMS10/, 2018年9月10日~9月13日@UCLA)にて、 『アンモニア合成触媒の開発・評価』で受賞しました。
【受賞者】
創エネルギー研究部門 エネルギー触媒技術グループ
主任研究員 陳 仕元、研究員 西 政康、主任研究員 望月 剛久、グループ長 高木 英行
創エネルギー研究部門 エネルギー触媒技術グループ
主任研究員 陳 仕元、研究員 西 政康、主任研究員 望月 剛久、グループ長 高木 英行
【研究業績の概要】
タイトル:Preparation of the Cs-Ru/SBA-15 Nanocomposite Materials for Sustainable Ammonia Synthesis
要約:Ammonia has recently attracted significant attention as a potential medium of energy carrier and fuel because of its high hydrogen content (17.6 wt%) and nearly no emissions of carbon dioxide, toxic gas and particulate matter to the atmosphere after burning. However, the conventional ammonia synthesis is an energy inefficient process, which largely releases CO2 gas into the atmosphere and therefore causes global warming. To improve energy efficient and to reduce the impacts of ammonia synthesis on environments, new catalytic strategies are required to synthesize ammonia sustainably by an environmental friendly and energy-efficient. The pioneer studies had shown that the Ru catalysts were able to catalyze the ammonia synthesis under relatively mild reaction conditions, in comparison to the conventional Fe-based catalysts. It is special noted that the Ru-catalyzed ammonia synthesis can be performed in short warm-up and shutting-down periods, that is an opportunity to be a sustainable CO2-free process using hydrogen synthesized from electrolysis of water by the renewable electricity with high variability generated from solar cell, wind power and biomass.
In this study, the Cs-Ru/SBA-15 nanocomposite materials with various Ru loadings of 2 or 10 wt% and a Cs/Ru molar ratio of 2.5 were prepared by wet impregnation method and calcined in a N2 atmosphere, followed by using in CO2-free ammonia synthesis under mild conditions (400-500 oC, < 1 MPa). The Ru particles were determined by a pulse chemisorption method using CO as a probe molecule. The results showed that the Ru particle sizes of the Cs-Ru/SBA-15 catalysts were around 12-18 nm, disporprotional to the Ru loadings. For the CO2-free ammonia synthesis, the activity of the Cs-Ru/SBA-15 as a function of the reaction temperature in ammonia synthesis gave a volcano curve, which was a consequence of the equilibrium between the formation and decomposition of ammonia. The maximum activity appeared at a reaction temperature of 430-460 oC, which were netatively related to the Ru loading and Ru sizes. Notably, our results clealry showed that the Cs-Ru/SBA-15 catalysts are able to catalzye ammonia synthesis under mild conditions, in comparison to the conventional Fe-based catalysts.タイトル:Preparation of the Cs-Ru/SBA-15 Nanocomposite Materials for Sustainable Ammonia Synthesis
要約:Ammonia has recently attracted significant attention as a potential medium of energy carrier and fuel because of its high hydrogen content (17.6 wt%) and nearly no emissions of carbon dioxide, toxic gas and particulate matter to the atmosphere after burning. However, the conventional ammonia synthesis is an energy inefficient process, which largely releases CO2 gas into the atmosphere and therefore causes global warming. To improve energy efficient and to reduce the impacts of ammonia synthesis on environments, new catalytic strategies are required to synthesize ammonia sustainably by an environmental friendly and energy-efficient. The pioneer studies had shown that the Ru catalysts were able to catalyze the ammonia synthesis under relatively mild reaction conditions, in comparison to the conventional Fe-based catalysts. It is special noted that the Ru-catalyzed ammonia synthesis can be performed in short warm-up and shutting-down periods, that is an opportunity to be a sustainable CO2-free process using hydrogen synthesized from electrolysis of water by the renewable electricity with high variability generated from solar cell, wind power and biomass.
2017年
受賞日:2017年5月24日
地球環境保全およびエネルギーセキュリティの観点から、石油系および非石油系炭素資源からクリーンな燃料を製造するため、以下5つの触媒技術開発に取り組んだ。
① 天然ガスや石炭、バイオマス等から炭化水素燃料の製造可能なFischer-Tropsch(FT)合成用のコバルト(Co)触媒の開発に取り組み、キレート剤を用いてSiO2担体上に生成するCo粒子径を制御する手法を開発した。Co含浸液へのニトリロ三酢酸などのキレート剤の添加および適切な焼成温度の選択で、高分散なCo種を形成させることでFT合成触媒の活性を大幅に向上させることに成功した。触媒調製過程におけるキレート剤とCo種およびSiO2表面OH基との相互作用がCo種の分散性向上の要因であることを明らかにした。
② 軽油の超深度脱硫反応や芳香族水素化反応に高い性能を示す希土類添加Pd-Pt/USY触媒について、希土類添加効果の発現メカニズムをモデル化合物の反応や触媒のキャラクタリゼーションによって明らかにした。
③ USY担体へのYb等の希土類添加により、USY上の強酸点の減少による芳香族の吸着阻害の緩和や、Pd-Pt粒子の高分散化および実反応条件下でのPd-Pt粒子と硫黄化合物との親和性の低下が、触媒の脱硫活性(耐硫黄性)、芳香族水素化活性の向上に寄与していることを見出した。
これら活性種の粒子径制御や担体の酸性質制御による触媒の高性能化に関する知見は、④ ジャトロファ等の非食料系バイオマスの急速熱分解反応へのUSY等のゼオライト触媒の適用や ⑤ 熱分解で得られるバイオオイルの脱酸素反応へのCo系触媒やPt、Pd系貴金属触媒の適用といった触媒の探索、改良、開発にさらにつながった。
2016年度(平成28年度) 石油学会 奨励賞(出光興産賞)
【概要】
「クリーン燃料製造のためのFT合成および軽油・バイオオイルの水素化精製に有効な触媒の開発」で受賞、
石油学会 第66回研究発表会(2017年5月24日、東京 タワーホール船堀)にて表彰されました。
【研究業績の概要】「クリーン燃料製造のためのFT合成および軽油・バイオオイルの水素化精製に有効な触媒の開発」で受賞、
石油学会 第66回研究発表会(2017年5月24日、東京 タワーホール船堀)にて表彰されました。
地球環境保全およびエネルギーセキュリティの観点から、石油系および非石油系炭素資源からクリーンな燃料を製造するため、以下5つの触媒技術開発に取り組んだ。
① 天然ガスや石炭、バイオマス等から炭化水素燃料の製造可能なFischer-Tropsch(FT)合成用のコバルト(Co)触媒の開発に取り組み、キレート剤を用いてSiO2担体上に生成するCo粒子径を制御する手法を開発した。Co含浸液へのニトリロ三酢酸などのキレート剤の添加および適切な焼成温度の選択で、高分散なCo種を形成させることでFT合成触媒の活性を大幅に向上させることに成功した。触媒調製過程におけるキレート剤とCo種およびSiO2表面OH基との相互作用がCo種の分散性向上の要因であることを明らかにした。
② 軽油の超深度脱硫反応や芳香族水素化反応に高い性能を示す希土類添加Pd-Pt/USY触媒について、希土類添加効果の発現メカニズムをモデル化合物の反応や触媒のキャラクタリゼーションによって明らかにした。
③ USY担体へのYb等の希土類添加により、USY上の強酸点の減少による芳香族の吸着阻害の緩和や、Pd-Pt粒子の高分散化および実反応条件下でのPd-Pt粒子と硫黄化合物との親和性の低下が、触媒の脱硫活性(耐硫黄性)、芳香族水素化活性の向上に寄与していることを見出した。
これら活性種の粒子径制御や担体の酸性質制御による触媒の高性能化に関する知見は、④ ジャトロファ等の非食料系バイオマスの急速熱分解反応へのUSY等のゼオライト触媒の適用や ⑤ 熱分解で得られるバイオオイルの脱酸素反応へのCo系触媒やPt、Pd系貴金属触媒の適用といった触媒の探索、改良、開発にさらにつながった。
受賞日:2017年5月23日
スマートプロセス学会 Best Review 賞
【概要】
論文「噴流床炉を用いたバイオマスガス化-液体燃料(BTL)合成に関する研究 -日本の現状と将来-」で受賞しました。
(掲載誌:スマートプロセス学会誌, Vol. 5, No. 2, pp. 102-107, 2016)
スマートプロセス学会 春季総合学術講演会(2017.5.23、大阪大学)にて、小木 知子・テクニカルスタッフが受賞記念講演を行いました。
【論文の概要】
バイオマスをガス化し、生成ガスから液体燃料(BTL:Biomass-to-Liquid)を製造するプロセスは、高いGHG(温室効果ガス)削減効果、既存のシステムへ直接代替可能等の観点からも有望で、2030年頃の実用化を目指し国の重点政策の一つに掲げられている。バイオマスガス化は、石炭のガス化の応用で発展したが、バイオマスと石炭ではガス化特性が異なってくるので、その特性に応じた反応特性の把握が必要である。ガス化の形式は、ガス化圧力/温度、ガス化剤、ガス化炉形式等に応じて分類され、多種にわたり、原料と用途に応じて使用される。バイオマスガス化-液体燃料製造は、ガス化発電に比べ生成ガスの組成制御やガス精製に厳しいレベルが要求されるが、精密制御・精密精製を得て得られたガス(合成ガス)を原料にして、多くの有用な物質を製造することが可能である。液体燃料(BTL製造)のためのガス化炉としては、流動床(+改質炉)か噴流床が適している、と言われている。本稿では、BTL製造の技術の解説と研究例、特に当研究室で行ってきた研究例を紹介する。
論文「噴流床炉を用いたバイオマスガス化-液体燃料(BTL)合成に関する研究 -日本の現状と将来-」で受賞しました。
(掲載誌:スマートプロセス学会誌, Vol. 5, No. 2, pp. 102-107, 2016)
スマートプロセス学会 春季総合学術講演会(2017.5.23、大阪大学)にて、小木 知子・テクニカルスタッフが受賞記念講演を行いました。
【論文の概要】
バイオマスをガス化し、生成ガスから液体燃料(BTL:Biomass-to-Liquid)を製造するプロセスは、高いGHG(温室効果ガス)削減効果、既存のシステムへ直接代替可能等の観点からも有望で、2030年頃の実用化を目指し国の重点政策の一つに掲げられている。バイオマスガス化は、石炭のガス化の応用で発展したが、バイオマスと石炭ではガス化特性が異なってくるので、その特性に応じた反応特性の把握が必要である。ガス化の形式は、ガス化圧力/温度、ガス化剤、ガス化炉形式等に応じて分類され、多種にわたり、原料と用途に応じて使用される。バイオマスガス化-液体燃料製造は、ガス化発電に比べ生成ガスの組成制御やガス精製に厳しいレベルが要求されるが、精密制御・精密精製を得て得られたガス(合成ガス)を原料にして、多くの有用な物質を製造することが可能である。液体燃料(BTL製造)のためのガス化炉としては、流動床(+改質炉)か噴流床が適している、と言われている。本稿では、BTL製造の技術の解説と研究例、特に当研究室で行ってきた研究例を紹介する。
受賞日:2017年4月21日
Outstanding Paper Award of 2016 (化学工学会)
【概要】
論文「Shear-Induced Microbubble Generation at High Pressures」で受賞しました。
掲載誌:Journal of Chemical Engineering of Japan, Vol. 49, No. 6, pp. 519-525, June 2016)
【研究の概要】
数MPaの高圧水中におけるメタンガス気泡群がターボポンプ等での強乱流により流体せん断を受けると多量のマイクロバブルが生成されることを実験的に確認した。さらに、気泡径分布関数を詳細に解析することで、マイクロバブル発生メカニズムを解明した。この結果は、海洋メタンハイドレートの生産坑井管内におけるメタンハイドレート再生成挙動の把握や気液分離器等の構成機器の混相流現象の理解にとって重要な知見である。
化学工学会第49回秋季大会(2017.9.20~22日、名古屋大学)にて、受賞講演と表彰が行われました。
論文「Shear-Induced Microbubble Generation at High Pressures」で受賞しました。
掲載誌:Journal of Chemical Engineering of Japan, Vol. 49, No. 6, pp. 519-525, June 2016)
【研究の概要】
数MPaの高圧水中におけるメタンガス気泡群がターボポンプ等での強乱流により流体せん断を受けると多量のマイクロバブルが生成されることを実験的に確認した。さらに、気泡径分布関数を詳細に解析することで、マイクロバブル発生メカニズムを解明した。この結果は、海洋メタンハイドレートの生産坑井管内におけるメタンハイドレート再生成挙動の把握や気液分離器等の構成機器の混相流現象の理解にとって重要な知見である。
化学工学会第49回秋季大会(2017.9.20~22日、名古屋大学)にて、受賞講演と表彰が行われました。
【受賞者】
創エネルギー研究部門
創エネルギー研究部門
メタンハイドレート生産システムグループ 研究員(現・神戸製鋼所) 清水 努
メタンハイドレート生産システムグループ グループ長 山本 佳孝
副部門長(メタンハイドレートプロジェクトユニット代表) 天満 則夫
メタンハイドレート生産システムグループ グループ長 山本 佳孝
副部門長(メタンハイドレートプロジェクトユニット代表) 天満 則夫
受賞日:2017年2月28日
2016年度(平成28年度) 日本エネルギー学会 進歩賞 (学術部門)
【概要】
「水素を利用したエネルギー技術に関する触媒反応システムおよび材料の研究」で受賞、
日本エネルギー学会 第92回定時総会(2017年2月28日、東京 学士会館)にて表彰されました。
「水素を利用したエネルギー技術に関する触媒反応システムおよび材料の研究」で受賞、
日本エネルギー学会 第92回定時総会(2017年2月28日、東京 学士会館)にて表彰されました。
【受賞理由】
触媒を用いた水素化反応システムに関する研究に取り組み、極性溶媒中でも温和な条件下で高い触媒活性が発現する新しい反応系を開発した。この反応系を用いることで、極性溶媒にしか可溶化しない重質系炭化水素化合物の芳香環構造の水素化が可能であることを見出すとともに、溶媒に可溶化した石炭の水素化改質を行うことで、石炭の熱分解反応性が著しく向上することを明らかにしている。
また、水素等エネルギー貯蔵材料の開発に関する研究に取り組み、炭素および多孔性材料に対して、精度の高い水素貯蔵量評価技術を確立し、材料の構造と水素貯蔵量との関係を明確に示すとともに、スピルオーバー水素の炭素表面における吸着(結合)状態を解明した。
さらに、経済産業省資源エネルギー庁が事務局を担当する「水素・燃料電池戦略協議会」に関わり、また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「水素利用等先導研究開発事業/トータルシステム導入シナリオ調査研究」の代表者(2014~2015年度)を務めるなど、政策立案や国が実施するプロジェクトに対しても貢献しており、水素エネルギー技術の分野を担う次世代の研究者として活躍している。
触媒を用いた水素化反応システムに関する研究に取り組み、極性溶媒中でも温和な条件下で高い触媒活性が発現する新しい反応系を開発した。この反応系を用いることで、極性溶媒にしか可溶化しない重質系炭化水素化合物の芳香環構造の水素化が可能であることを見出すとともに、溶媒に可溶化した石炭の水素化改質を行うことで、石炭の熱分解反応性が著しく向上することを明らかにしている。
また、水素等エネルギー貯蔵材料の開発に関する研究に取り組み、炭素および多孔性材料に対して、精度の高い水素貯蔵量評価技術を確立し、材料の構造と水素貯蔵量との関係を明確に示すとともに、スピルオーバー水素の炭素表面における吸着(結合)状態を解明した。
さらに、経済産業省資源エネルギー庁が事務局を担当する「水素・燃料電池戦略協議会」に関わり、また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「水素利用等先導研究開発事業/トータルシステム導入シナリオ調査研究」の代表者(2014~2015年度)を務めるなど、政策立案や国が実施するプロジェクトに対しても貢献しており、水素エネルギー技術の分野を担う次世代の研究者として活躍している。
(出典:日本エネルギー学会機関紙えねるみくす Vol. 96, Number 3, May 2017)
【関連情報】平成28年度 日本エネルギー学会 各種表彰受賞者
http://www.jie.or.jp/files/libs/309/201706221456367904.pdf
http://www.jie.or.jp/files/libs/309/201706221456367904.pdf
2016年
受賞日:2016年11月28日
第36回水素エネルギー協会大会 学生優秀発表(ポスター)賞
【概要】
ポスター「アンモニア合成用Ru触媒における担体および助触媒の影響」で受賞しました。
(2016年11月28・29日@タワーホール船堀)
【研究の概要】
従来の天然ガス原料からのアンモニア合成に代わるCO2フリー水素を原料としたアンモニア合成プロセスの研究開発が進められている。従来のアンモニア合成は高温・高圧(>400℃、>20 MPa)の条件を必要とするため、この条件を緩和することができれば、アンモニア合成設備の小規模化や変動電源への対応等が期待できる。
本研究では、従来の鉄系触媒に比べ、より低温・低圧条件下において高い活性を発現することが報告されているルテニウム(Ru)系触媒)に着目した。触媒担体として細孔構造の異なるカーボン材料を選定し、また、助触媒としてBaあるいはCsを担持した。調製した触媒を用いてアンモニア合成試験を行い、アンモニア合成活性に対するカーボン担体の細孔構造の影響及び助触媒の効果を検討した結果、助触媒の種類によって触媒活性に対する担体の細孔構造の影響が異なることがわかった。
ポスター「アンモニア合成用Ru触媒における担体および助触媒の影響」で受賞しました。
(2016年11月28・29日@タワーホール船堀)
【研究の概要】
従来の天然ガス原料からのアンモニア合成に代わるCO2フリー水素を原料としたアンモニア合成プロセスの研究開発が進められている。従来のアンモニア合成は高温・高圧(>400℃、>20 MPa)の条件を必要とするため、この条件を緩和することができれば、アンモニア合成設備の小規模化や変動電源への対応等が期待できる。
本研究では、従来の鉄系触媒に比べ、より低温・低圧条件下において高い活性を発現することが報告されているルテニウム(Ru)系触媒)に着目した。触媒担体として細孔構造の異なるカーボン材料を選定し、また、助触媒としてBaあるいはCsを担持した。調製した触媒を用いてアンモニア合成試験を行い、アンモニア合成活性に対するカーボン担体の細孔構造の影響及び助触媒の効果を検討した結果、助触媒の種類によって触媒活性に対する担体の細孔構造の影響が異なることがわかった。
【受賞者】
筑波大学 大学院 システム情報工学研究科
筑波大学 大学院 システム情報工学研究科
修士課程2年 平良 有紗、
助教 花田 信子、
教授 石田 政義
産総研 創エネルギー研究部門 エネルギー触媒技術グループ
グループ長 高木 英行、
主任研究員 望月 剛久、
研究員 西 政康、
主任研究員 陳 仕元
受賞日:2016年6月3日
第5回JACI/GSCシンポジウム GSCポスター賞
【概要】
ポスター「均一系触媒を用いたギ酸分解による水素の大量発生」で受賞しました。
【研究の概要】
環境低負荷型社会を実現するため、新たなエネルギー媒体として水素が注目されている。しかしながら、水素は爆発性を有し、また、常温常圧でガスであることから、物理的な貯蔵や輸送には改善の余地がある。そのため、水素を化学貯蔵物質へと変換する手法が注目されており、その一つとして、ギ酸が候補として挙げられる。ギ酸は、人体・環境への負荷が低く、常温常圧下において液体であり、また、水素を4.3wt%保管できる。Fig 1.に示すギ酸を水素キャリアとするサイクルは、水中、かつ、均一系にて達成が可能であり、Ir触媒を用いた反応系が盛んに研究されている。本研究では、高耐久性かつ高活性触媒を開発し、これまで報告例の無いギ酸からの大量水素製造を達成したため、その内容について報告する。
当研究室においては、触媒活性を向上させる手法として、金属中心の電子密度を高めることが有効であることを既に報告している。そこで、高い電子供与性効果が期待される新規配位子を有するIr触媒を合成した。新規触媒を用い、ギ酸分解反応を水中にて行ったところ、従来のピリジンやイミダゾールを配位骨格とする触媒に比べ、高活性を示すことが明らかとなった。また、同触媒を用い、耐久性試験を行ったところ、非常に高い耐久性を示すことを明らかにした。具体的には、[HCOOH] = 10 M、 [cat] = 10 µM、 50 ℃、 1Lスケールにてギ酸分解を行ったところ、約2週間にわたり活性を示し続け、最終的に 1 m3 のガスを発生させることに成功した(Fig 2.)。途中、ギ酸を追加したが、失活することなく反応は完了した。
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ポスター「均一系触媒を用いたギ酸分解による水素の大量発生」で受賞しました。
【研究の概要】
環境低負荷型社会を実現するため、新たなエネルギー媒体として水素が注目されている。しかしながら、水素は爆発性を有し、また、常温常圧でガスであることから、物理的な貯蔵や輸送には改善の余地がある。そのため、水素を化学貯蔵物質へと変換する手法が注目されており、その一つとして、ギ酸が候補として挙げられる。ギ酸は、人体・環境への負荷が低く、常温常圧下において液体であり、また、水素を4.3wt%保管できる。Fig 1.に示すギ酸を水素キャリアとするサイクルは、水中、かつ、均一系にて達成が可能であり、Ir触媒を用いた反応系が盛んに研究されている。本研究では、高耐久性かつ高活性触媒を開発し、これまで報告例の無いギ酸からの大量水素製造を達成したため、その内容について報告する。
当研究室においては、触媒活性を向上させる手法として、金属中心の電子密度を高めることが有効であることを既に報告している。そこで、高い電子供与性効果が期待される新規配位子を有するIr触媒を合成した。新規触媒を用い、ギ酸分解反応を水中にて行ったところ、従来のピリジンやイミダゾールを配位骨格とする触媒に比べ、高活性を示すことが明らかとなった。また、同触媒を用い、耐久性試験を行ったところ、非常に高い耐久性を示すことを明らかにした。具体的には、[HCOOH] = 10 M、 [cat] = 10 µM、 50 ℃、 1Lスケールにてギ酸分解を行ったところ、約2週間にわたり活性を示し続け、最終的に 1 m3 のガスを発生させることに成功した(Fig 2.)。途中、ギ酸を追加したが、失活することなく反応は完了した。
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【受賞者】
創エネルギー研究部門 とエネルギー触媒技術グループ 尾西 尚弥 産総研特別研究員
創エネルギー研究部門 とエネルギー触媒技術グループ 尾西 尚弥 産総研特別研究員
受賞日:2016年4月12日
日本化学会第96春季年会 優秀講演賞(産業)

【概要】
講演題名「ギ酸の脱水素化による水素の大量製造」で受賞しました。
講演題名「ギ酸の脱水素化による水素の大量製造」で受賞しました。
【受賞者】
創エネルギー研究部門 エネルギー触媒技術グループ 尾西 尚弥 産総研特別研究員
創エネルギー研究部門 エネルギー触媒技術グループ 尾西 尚弥 産総研特別研究員
2015年
受賞日:2015年12月3日
2015年度 炭素材料学会 学術賞
【受賞者】
創エネルギー研究部門 エネルギー変換材料グループ 曽根田 靖 主任研究員
創エネルギー研究部門 エネルギー変換材料グループ 曽根田 靖 主任研究員
【研究業績】
ナノカーボン材料の組織制御と高性能蓄電電極材料への展開
ナノカーボン材料の組織制御と高性能蓄電電極材料への展開
受賞日:2015年10月20日
平成27年 日本熱物性学会賞 奨励賞
【受賞者】
創エネルギー研究部門 メタンハイドレート生産システムグループ 室町 実大 研究員
創エネルギー研究部門 メタンハイドレート生産システムグループ 室町 実大 研究員
【研究業績】
セミクラスレートハイドレートの熱力学的安定性に関する研究
セミクラスレートハイドレートの熱力学的安定性に関する研究
受賞日:2015年9月15日
2015年度 日本雪氷学会 平田賞
【受賞者】
創エネルギー研究部門 メタンハイドレート生産技術グループ 木田 真人 研究員
創エネルギー研究部門 メタンハイドレート生産技術グループ 木田 真人 研究員
【研究業績】
ガスハイドレートのガス包蔵性と安定性に関する研究
ガスハイドレートのガス包蔵性と安定性に関する研究
受賞日:2015年7月30日
平成27年度 国土技術開発賞 最優秀賞
【受賞者】
創エネルギー研究部門 炭素資源転換プロセスグループ 鈴木 善三 上級主任研究員
創エネルギー研究部門 炭素資源転換プロセスグループ 鈴木 善三 上級主任研究員
【研究業績】
過給式流動燃焼システム
公共インフラである下水道システムでは、下水処理の過程で余剰汚泥が大量に発生し、そのほとんどは減容化・安定化のため焼却処理されており、エネルギー多消費型のプロセスがほとんどである。これに対して「過給式流動燃焼システム」では流動層形式を維持し、焼却炉を0.15MPaG程度の加圧条件で、燃焼で生じる排ガスを過給機に導入した。これにより、送風・排気ファンが不要となり、電力使用量が60%以上削減された。また、加圧条件のため焼却炉が小型となり熱損失が低下し、補助燃料も大幅に削減可能となった。加えて、高温燃焼により、温暖化ガスであるN2Oの排出量がこれまでの 1/2 ~ 1/3 となった。省エネルギーと環境対策を両立した新しい焼却システムとすることができた。本システムは、すでに東京都などの自治体に導入され、4基が稼働中で、業界でも高い評価を受けている。
過給式流動燃焼システム
公共インフラである下水道システムでは、下水処理の過程で余剰汚泥が大量に発生し、そのほとんどは減容化・安定化のため焼却処理されており、エネルギー多消費型のプロセスがほとんどである。これに対して「過給式流動燃焼システム」では流動層形式を維持し、焼却炉を0.15MPaG程度の加圧条件で、燃焼で生じる排ガスを過給機に導入した。これにより、送風・排気ファンが不要となり、電力使用量が60%以上削減された。また、加圧条件のため焼却炉が小型となり熱損失が低下し、補助燃料も大幅に削減可能となった。加えて、高温燃焼により、温暖化ガスであるN2Oの排出量がこれまでの 1/2 ~ 1/3 となった。省エネルギーと環境対策を両立した新しい焼却システムとすることができた。本システムは、すでに東京都などの自治体に導入され、4基が稼働中で、業界でも高い評価を受けている。
最終更新日:2023. 2.13