産総研_エネルギー・環境領域 環境創生研究部門_研究カタログ2022
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食品検査等に用いられる高速な透過X線撮影装置(ベルトコンベア速度10~60m/分)に、開発したAI分析ワークステーションを連接させ、インラインでのバッテリー検出を可能にしました。AI分析により、廃製品に搭載されたバッテリー及び、廃棄物(プラスチック・ガラス・金属など)に混入したバッテリーを自動検出できます。今後、対象品目を拡充していく必要がありますが、技術的なプラットフォーム開発は完了しています。AI分析ワークステーションは透過X線装置から独立しているため、様々な透過X線装置に応用展開可能です。AIプログラムの検証では、ほぼ100%の検出精度を確認しました(AP=0.995程度)。右図のように、人間なら見落としそうなバッテリーも、AIにより正しく検出されます。透過X線装置とワークステーションを連接させた実験では、約0.2秒/台で検出が完了し、インラインでのバッテリー検出に使えることを確認しました。リサイクルプラントでの火災防止、省人化、高速化に貢献できる技術です。・本研究はNEDO「高効率な資源循環システムを構築するためのリサイクル技術の研究開発事業」から受託されたものです。担当者:上田高生t-ueda@aist.go.jp環境創生研究部門資源価値創生研究グループ連絡先:エネルギー・環境領域eneenv-ic-ml@aist.go.jpスマホの透過X線撮影(左)、リアルタイム検出(右)廃棄物混入:スマホバッテリー(左)、乾電池(右)─ 4 ─ResearchAchievement▶全国のリサイクルプラントに導入し、火災防止、省人化、高速化▶高速なインラインX線検査が必要な、食品製造業、医薬品製造業に応用展開リサイクルプラントにおいて、廃製品に混入したバッテリーを誤破砕することによる火災が年間数千件発生しており、大きな問題になっています。昨今は様々な製品にバッテリーが内蔵されており、外観からバッテリーの有無を判断できないものも多くあります(電子タバコなど)。そのため、透過X線撮影とAI分析により、廃製品に混入したバッテリーを自動検出するシステムを開発しています。現在リサイクルプラントでは、作業員の経験によりバッテリーの有無を判断し、判断できない物は手解体して確かめていますが、その工程の自動化に繋がります。従来の透過X線ソータでも、輝度の違いにより異物(食品中の金属等)を見つけることはできましたが、輝度値に特徴の無いバッテリーの検出はできませんでした。バッテリーのインライン高速検出約0.2秒で、ほぼ100 %の検出精度Future透過X線とAI分析によるバッテリーの自動検出廃製品内のバッテリー自動検出

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