拠点利用による社会実装支援
Integration for Innovation
データ駆動型材料研究開発基盤の整備
日本のマテリアル産業の発展を目指して
本事業の背景
日本の経済を支えていく上でマテリアル産業の役割は大きく、世界からも日本のマテリアル産業の発展は注視されています。このような状況下で、製品特性を左右するマテリアルに求められるニーズは多様化し複雑化する⽅向に進むことから、世界をリードする新しいマテリアル開発基盤の構築が重要になっています。内閣府統合イノベーション戦略推進会議は2021年4月にマテリアル革新力強化戦略を策定し、その中で国際的競争力の高い材料(触媒、セラミックス、セルロースナノファイバー等)を重点領域として定め、日本企業の世界最先端のポテンシャルを維持するために、革新的製造プロセスの開発と社会実装を目指しています。特に新たな競争力を有するマテリアルを開発するためには試作や評価を進めつつ、各処理行程においてもデータを取得・解析してプロセス技術の更なる高度化をデータ駆動型材料研究開発の整備が必要です。こうした背景のもと産総研では、最先端の製造プロセス装置や評価・分析装置群を材料・化学領域のある3か所の研究センターに導入し、マテリアル開発や実装に必要なプロセスデータの取得、技術シーズ・ニーズへの対応や人材育成に関わる機能を総合的に提供するマテリアル・プロセスイノベーション(MPI)プラットフォームの整備を進めています。
⽬的
MPIプラットフォームは以下の2つの目的達成に向けた整備と運営をおこないます。
① 拠点利用による社会実装支援
産業界に対して、拠点に整備した製造・評価装置群を活⽤した研究開発や人材育成を実施することで、開発技術の迅速な社会実装を支援します。
② データ駆動型材料研究開発基盤の整備
製造プロセスデータを収集し活用するための基盤(設備やネットワーク)を拠点に整備し、企業や国プロ等の研究開発で利用することで、データによって製造プロセスを高度化するプロセス・インフォマティクスに関わる基盤技術を創出します。
※ビデオ内での肩書は撮影当時のものです
拠点利用による社会実装支援
MPIプラットフォーム統括挨拶
我が国の素材・化学産業は、国際的にも高い水準を誇り、今後もその競争力を維持しながら、世界をリードする存在であり続けることが期待されています。内閣府が策定した「統合イノベーション戦略2025」では、マテリアルデータ基盤の拡充とその利活用を通じて、データ駆動型の研究開発を加速し、成果創出を促す方針が示されています。また、「知」の橋渡しによるイノベーションの創出に向けて、産学官の多様なプレーヤーが、立場や企業規模を超えて連携することが求められています。
こうした背景のもと、経済産業省は2020年度補正予算において、「オープンイノベーション拠点整備事業」の実施を決定しました。産業技術総合研究所(産総研)では、この事業により整備された最先端の研究装置群を中核とする「マテリアル・プロセスイノベーション(MPI)プラットフォーム」を活用し、以下のような取り組みを進めています。
• データ駆動型材料研究開発の効率化と迅速化
• 企業と連携した先端プロセス技術の開発支援
• マテリアル開発人材の育成
MPIプラットフォームでは、「先進触媒」「セラミックス・合金」「有機・バイオ材料」の三つの重点分野において、データ駆動型材料研究開発を推進しています。原料から製品に至るまでのプロセスデータを、ハイスループット技術で一貫して収集・解析し、製造プロセスの改善と革新につなげるための基盤整備とその活用を図っています。事業開始から数年が経ち、これまで多くの皆様にMPIをご活用いただき、ご好評をいただいております。今後も、MPIを中核とした連携をさらに深めながら、日本の素材・化学産業の持続的な発展に貢献してまいります。
