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炎の出ない燃焼のお話

幡野さん
今日は炎の出ない燃焼のお話をしますが、まず、物が燃えることや燃やした経験について思いつくことを何でも話して下さい。
台所のガスコンロやカセットガスコンロです。
キャンプファイヤーでまきを燃やしたよ。炎の先か ら、火の粉が飛んで行ってきれいだったわ。熱くて近くに寄れなかったし、明るかったわ。
僕はバーベキューだ。熱いし、炎や煙が出るよ。
でも、そのうちに炎が無くなったような気がする。ある人が、炎がない方がおいしく焼けるんだよと話していたわ。 そうか、これが、炎の出ない燃焼?
そうだね。二人ともよく知っているね。 もう少し、考えて見よう。他には?
ローソク!これは炎がずっと出ているか。そうだ!お線香や蚊取り線香は火を付けると炎が出るけど 振って消したりすると後は赤くなって煙が出るんだよ。
そうだね、色んな物があるね。
うちは台所でIH調理器や電子レンジを使っているけど、これも炎が無いのに熱くなるから燃焼?。 でも、どこが燃えているのかしら?
いいところに目を付けたね。でも、これは熱くなるけど実は燃焼ではないんだ。 実はね、燃焼というのは化学反応で酸素と結び付くものを指すんだよ。
授業で習ったわ、でもそれは酸化反応ではないの?
正解! 燃焼というのは酸化反応のことだけど、爆発するほど速くなく、熱さや光を感じない程遅くはない酸化反応に、 特別につけた名前なんだよ。
そういえば、鉄のさびは空気中の酸素と反応して出来るって聞いたけど、これも酸化反応だよね。
熱くないから燃焼ではきっとないんだわ。
その通り、でも熱くなることを利用している商品があるんだけど、知っているかな?
使い捨てカイロ!
 大正解! さっき出てきた炭火も炎が出ない燃焼だけど、使い捨てカイロのように最近は金属を使った燃焼の研究が増えているんだよ。
今日は、こちらの金属を使った炎の出ない燃焼について説明しようと思います。
そうすると、使い捨てカイロ燃焼かな?
 ははは、それも分かりやすくて良い名前だね。 使い捨てカイロは、人を暖めるためのものだからヤケドをしないように温度を下げるいろんな工夫をしているんだよ。
反応のさせ方を工夫すると、発電が出来るくらいに高い温度にも出来るよ。
これは化学ループ燃焼と呼ばれているんだけど、実は、この名前を つけて発電することを考えたのは日本人なんだよ。
へぇ、そうなんだ。
ところで、使い捨てカイロは、使い終わった後はゴミ箱に捨てているよね。もったいないと思わない?
ええ、だって中身はさびた鉄の粉なんでしょう?もう使えないんでしょ。でも、ただ捨てるのはもったいないわ。
 たしかに、使い終わると『さび』とも言われる酸化鉄になるんだけど、粉なんだからそれを別の場所に集めることが出来るんだ。
そして、天然ガスと反応させると、 酸化鉄の中の酸素と反応してまた使えるようになるよ。それから、天然ガスは二酸化炭素と水に変わるんだ。
空気中で天然ガスを燃やすと酸素と反応して二酸化炭素が出るけど、 まだ、空気中の窒素という化学反応が起きにくいガスが残ったままなんだ。 今、問題になっている二酸化炭素だけを取り出そうとすると、この窒素と二酸化炭素を何とか分けなくてはいけないんだ。
それには大変なエネルギーが必要なんだよ。 だけど、金属の粉にしたら空気中の酸素と反応して熱が出て酸化金属(酸化鉄)になるよね。
これを別の場所に移して天然ガスと反応させると金属の粉と二酸化炭素と水が出来るんだ。
でも、気体の中には窒素は入っていないから冷やすと液体の水になって二酸化炭素だけが取り出せるんだよ。
へぇー そうするとニュースで言ってた地球温暖化の原因になる二酸化炭素を簡単に集めることが出来るのね。
 そうなんだ、だからさびた金属は不要な廃棄物ではなくて、空気から酸素を分離した貴重な資源ともいえるから大切にしなくてはね。
集めた二酸化炭素をどうしたら大気の中に出さないようにするか、まだ100点の答えはないので、 みんな一生懸命になって研究しているんだよ。
この反応がうまく使えれば二酸化炭素を安く集めることが出来るから、 大気中に出さない方法が見つかれば地球温暖化問題は解決するかも知れないね。
それから、この反応は600℃くらいの低い温度でも行わせることが出来るんだけど、 その時に熱を吸うんだ。そして、1000℃とかそれ以上の温度で酸化するんだけど、
その時に、600℃で吸った熱も一緒に出すことが出来るから、天然ガスが持っているエネルギーより たくさんのエネルギーを出すことが出来るんだ。つまり、600℃の熱を1000℃以上の熱に変換することが出来るんだよ。
すごく得なんだね。でも、この反応は天然ガスしか使えないの?
 良いところに気がついたね。酸化金属と反応させる温度で気体になっていれば、どんな燃料でも使えるんだよ。
ただ、燃料によってはイオウとか塩素などが含まれているんだ。 金属がそれらと反応するとそれ以上反応が進まなくなることもあるんだよ。
それから、また、話は変わるけど、さっき炭火(おき火燃焼)の話をしたけど、 たき火やバーベキューの残った炭に水をかけたらどうなるか覚えているかな?
ボン と破裂するような音がしたわ
 これは、水が炭によって水素と酸素に分解され、また、すぐに反応しておきる音なんだよ。 一種の爆発なんだけど。
実は、金属は水を分解して水素を作り、自分は酸化金属になるという反応を起こすことも出来るんだよ。 この反応と、燃料との反応をうまく組み合わせると、二酸化炭素を集めながら、水素を取り出すことも出来るんだよ。
今日は炎の出ない燃焼のお話に関連して色んなことを駆け足で紹介したけど、分かったかな?
はぁーい 良く分かりました。今日は面白いお話をどうも有り難うございました。

幡野博之博士
(独)産業技術総合研究所
エネルギー技術研究部門

ご専門・・・
化学工学・流動層工学

ご略歴・・・
工業高専を卒業後、大学に編入し、大学院に進学、博士課程修了後大学に勤めた後、産総研の前身の研究所に異動