産友会メールマガジン第8号 【レアアース(希土類金属)関連技術】

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   産総研中国センター友の会(産友会)メールマガジン
        【第8号/ 2012.08.30発行】
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【特集】レアアース(希土類金属)関連技術
 HVや電気自動車など次世代エコカーの製造に欠かせないレアアースの賦存量は地域的に偏っており、最近、我が国の産業で必要な量を確保することが困難な状況になってきたことから、リサイクルや新規な鉱床の発見についても関心が高まってきています。産総研では、これまでに高性能磁石や蛍光体に含まれるレアアースを対象として、回収技術の研究開発を行ってきました。今回は、先端的な産業技術に不可欠なレアアースに関わる研究開発動向をご紹介致します。
 
■スクラップ磁石からのネオジム金属の直接抽出と回収
 この論文では、温度を維持して、抽出媒体としてマグネシウムを循環させることにより、磁石スクラップからネオジムを抽出するための環境に配慮したプロセスを考案しています。MgとNdの合金からMg再抽出し、酸化させることなく磁石のスクラップから97.7%のNd金属を回収することが出来たとしています。
 
■酸性溶液からのネオジムの回分式生物学的吸収
 この論文では、生物学的吸収法を酸性溶液からのネオジム回収に応用しています。pH1.5における最も高いバイオ吸収係数は微細藻類Monoraphidium SPを用いた場合の菌体1gあたり511 mgとなり、パン酵母では菌体1gあたり313 mgとなりました。
 
■レアアース元素を含有するスラッジからのレアアースの回収
 千葉工大の斎藤等によるこの論文では、化学的なリサイクル過程によるネオジム含有三酸化ホウ素系からのネオジムナトリウム硫酸塩水和物あるいは水酸化ネオジムとしての抽出法について記述されています。
 
■資源問題に直面するモータ用永久磁石の研究動向と課題
 この和文の総説では2010 年 6 月 17 日に総説された「東北モータ磁石イノベーション戦略会議」での議論を参考に、モータ用永久磁石の研究動向と課題について紹介されています。特にNd― Fe― B 系磁石を代替する新規永久磁石の開発(新規永久磁石開発)や今後の永久磁石の基礎・基盤研究の進め方についても言及されています。
 
■米国のレアアース鉱山関連記事
 日経産業新聞の2012年8月7日号16面に米国カリフォルニア州のレアアース鉱山関連の記事が掲載されています。
 
■希土類鉱床のタイプとその特徴
 産総研では世界中の希土類鉱床について資源ポテンシャルの評価を行い、希土類鉱床をカーナタイト鉱床、アルカリ岩関連鉱床、熱水性鉄鉱床からなる火成鉱床とカーボナタイト起源ラテライト鉱床、イオン吸着型鉱床、漂砂鉱床からなる風化鉱床の6種類のタイプに分類しました。世界最大の希土類鉱床である中国のバイユンオボ鉱床は熱水性鉄鉱床であることを紹介しています。
 
■レアアース資源を供給する鉱床タイプ
 産総研では希土類鉱床をその生成条件に基づき火成岩関連鉱床と風化鉱床に大別し、バイヤンオボ鉱床の寄与が大きいこと、豪州のマウントウェルド鉱床に代表されるカーボナタイトの風化(ラテライト)鉱床が高品位・大規模であることなどを紹介しています。また、将来の需要に見合う希土類資源を確保するためには,ジルコンなどの難溶解性鉱物から希土類元素を分離・生成する環境負荷の少ない技術の開発が今後の課題となることなどを指摘しています。
また、この論文では、広く採取可能な個別のレアアース資源について、写真や地質図を使って具体的に解説するとともに、将来進むべき方向について提案しています。レアアース資源の安定供給のためには、“脱バイユンオボ鉱石”を早急に進める必要があると指摘しています。
 
■希土類資源調査
 産総研では我が国の磁石業界や自動車業界からの希土類資源調査の要請を受け、中国外での新たな資源確保を目指して、希土類元素別資源DBの作成と希土類資源の調査を開始しています (DBは2008年に完成)。中国外の希土類供給源の調査としてイオン吸着型鉱化作用について紹介するとともに、ボーキサイト層の下部に存在する希土類元素について指摘しています。
 
■カルシウムアルミノケイ酸塩を用いた青色応力発光体の開発
 産総研では 外部からの機械的な応力に対して、弾性変形領域内で繰り返し発光する性質を有する応力発光体に関連して、カルシウムアルミノケイ酸塩を母体とする新規応力発光体の開発に成功しました。さらにカルシウムアルミノケイ酸塩の応力発光強度の向上を目指して、希土類イオン(La, Nd, Sm, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu)の共添加がカルシウムアルミノケイ酸塩に与える効果についても検討しています。
 
■土類元素を含有する蛍光体を用いた超音波振動の検出法
 島根県工業技術センターでは長残光性蛍光体溶射皮膜を用いて、超音波振動加熱による熱ルミネッセンス性を備えた面上の発光体による超音波振動の可視化方法について検討しています。引用資料の中には類似の材料として17ページに産総研の「メカノルミネッセンス材料およびその製造方法」が紹介されています。
 
■レアアース関連の研究所
 ドイツのデュッセルドルフ(Duesseldorf)にあるレアアース・レアメタル研究所(Institut fuer seltene Erden und Metalle e.V.)は、下記ホームページでレアアースに関する様々な情報を発信しています。
 
■世界のレアアース関連データ
 ドイツのエコ研究所(Oeko-Institut e.V.)によるこの資料は、レアアースに関して、世界各国の埋蔵量、2009年における国別供給量、輸入量のEU各国比率、利用分野、2001年から2010年にかけての価格変遷などを紹介しています。
 
■使用済みハードディスクドライブからネオジム磁石を回収
 産総研では使用済みハードディスクドライブからネオジムやジスプロシウムなどの希土類(レアアース)を含有するネオジム磁石を脱磁せずに物理選別する技術を開発しました。今回開発した試作機は3.5インチHDD専用であるが、将来的には2.5インチHDDや他の磁石含有製品にも適用できる可能性があり、広くネオジム磁石のリサイクルに貢献することが期待されています。
 
■希土類元素のリサイクル
 産総研ではいったん製品となって市中に出た磁石のリサイクルについて、物理的手法を用いた一次濃縮技術ならびに濃縮された対象物を水溶液に溶解し、希土類元素を抽出分離する技術を研究しています。さらに蛍光体についても多孔質のシリカガラスを用いて、希土類使用量の少ない高効率蛍光材料や希土類以外の金属を使用した高効率蛍光体の開発にも着手しています。
 
■重希土類を使わない希土類磁石
 産総研ではパルス通電焼結法によって荷重をかけながら短時間で焼結することにより、Sm-Fe-Nの分解を抑えながら緻密な焼結磁石を製作することを試みました。加圧力を高くして、焼結密度を上げることによって、最大磁気エネルギー積を高くできるため、製造コストの低減と量産化に適した粉末の製造から焼結までの研究開発を行っています。
 
■ポータブルNMRの開発
 産総研ではネオジム磁石を用いたNMRにより、建造物の中にひそむ空隙などを探し当てる装置を試作しています。このNMRでは、コイルが磁石の中ではなく、外側にあります。この装置を用いて2cm離れたところにある試料内の空隙にあるプロトンからのシグナルを捉えることに成功しました。将来的にはトンネル内の内部約5cmくらいにある空洞を20秒くらいでスキャンできるようにしたいと考えているとのことです。
 
■希土類金属水素化物の結晶構造の一般則を確立
 希土類金属は金属原子1個当たり最大3個もの水素原子を吸収して超高濃度水素化物となるため、高性能水素貯蔵材料の構成元素として注目されています。産総研ではすべての希土類金属水素化物に共通する希土類金属水素化物が水素濃度によって取りうる結晶構造の一般則を、大型放射光施設SPring-8の高輝度X線を用いて世界で初めて確立致しました。
 
■レアアースを含む蛍光体を種類ごとに分離する技術
 産総研では希土類(レアアース)を含む蛍光体が複数混合しているために再利用が難しい蛍光ランプ(蛍光灯)などの蛍光体を、種類ごとに分離して再利用する技術を開発しました。 この技術は、蛍光体の種類ごとに磁化率が異なっている点に着目し、汎用の高磁場勾配磁選機を用い、蛍光体を分散させた液の添加剤を工夫することで、連続的に蛍光体を種類ごとに分離できる技術です。高効率照明に使用されるテルビウム(Tb)やユーロピウム(Eu)などの希土類を含む蛍光体の使用量低減に貢献することができます。
 
■レアアース(希土類元素)に関する図表が総合的にわかるホームページです。
 
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