植物分子工学研究グループ
成果発表

【1】ゲノム編集を応用した有用物質生産のための基盤植物の開発

 当研究室では、植物のRNAサイレンシング機構に関わる遺伝子をCRISPR/Cas9法を用いたゲノム編集によりノックアウトすることでRNAサイレンシング機構の働きを抑え、外来遺伝子の高発現が可能な植物の開発を実施しています。
 研究の一環としてRNAサイレンシング機構の主要遺伝子であるRNA-dependent RNA polymerase 6(RDR6)をノックアウトしたNicotiana benthamiana植物体(ΔRDR6植物体)を作出しました。GFPの一過性発現試験の結果、ΔRDR6植物体は遺伝子操作をしていない植物体(野生型植物体)に比べ大量のGFPを生産可能であることが明らかとなりました(下図) (1)。以上の結果から、植物において物質生産効率を向上させる手段として、RNAサイレンシング機構を抑制することは非常に有効であることが明らかとなりました。 [科研費挑戦的萌芽研究「高効率物質生産植物体の開発」(16K14833)による成果]

  1. Matsuo K, Atsumi G. CRISPR/Cas9-mediated knockout of the RDR6 gene in Nicotiana benthamiana for efficient transient expression of recombinant proteins. Planta. 250 (2019) 463-473.


【2】イヌインターフェロン-α生産イチゴの開発

 国内では成犬の8割以上が歯周病に罹患しているとの報告があり、有効な治療薬が望まれています。当研究室では、イヌ歯周病に対する治療薬として期待されるイヌインターフェロン-α(サイトカインの一種)を生産する遺伝子組換えイチゴの作出に成功し、イヌインターフェロン-αを生産するイチゴ粉末を直接イヌに経口投与(口内に塗布)することで、歯肉炎の治療効果があることを証明しました。本研究は、製薬企業との共同で行っています。


【3】植物ウイルスベクターを用いた植物代謝系遺伝子のメチル化制御技術の開発

 植物ゲノムのDNAメチル化では、RNA-directed DNA methylation(RdDM)機構が重要な役割を果たします。当研究室では、キュウリモザイクウイルス(CMV)ベクターを利用して、植物ゲノム中の狙ったDNA配列に対して人為的にRdDMを誘導し、DNAのメチル化を導入する技術の開発を進めています。現在までに植物の代謝系遺伝子への迅速なDNAメチル化導入に成功しており、さらなる効率化を目指して研究を進めています。


【4】養液栽培技術の開発

 機能性を有する天然の二次代謝産物を生産するハーブや薬用植物の栽培技術の開発を行っています。例えば、水耕栽培によりラベンダーの生育を促進し、開花までに要する栽培期間を短縮する技術を開発しました。通常の露地栽培では播種後3年目の初夏に初めて開花しますが、本技術では播種2か月後より開花を開始し、その後継続的に開花させることが可能となります。


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