機能性食品素材特別研究チーム
研究内容

1.核内受容体活性化評価による食品素材の機能性解析と応用

 核内受容体は、リガンド(受容体タンパク質と特異的に結合する物質)依存的に遺伝子発現を調節する転写因子タンパク質です。核内受容体は、糖尿病や高脂血症といった代謝異常症、薬物代謝、あるいは、癌細胞の増殖などに関与していることから、創薬ターゲットとして以前から注目されています。一方、古くから、あるいは、経験的に体に良いと知られている食品成分にも核内受容体のリガンドとして作用する物質が多く含まれていると考えられます。そこで本研究では、機能性が期待できる農林水産品をはじめとする食品素材について、核内受容体活性化能を評価することによって、付加価値を付けた機能性食品素材としての可能性を見出すことを目的としています。

核内受容体評価の図

2.機能性脂質生産法の開発と応用

機能性脂質生産法の図

 ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6)とエイコサペンタエン酸(EPA、20:5)のような高度不飽和脂肪酸(PUFA)は食餌による必須栄養素の1つです。これらPUFAは冠状動脈性心臓病の危険を減少させて、炎症性の病気を軽減することが知られています。ある種の微細藻類や海洋性微生物には、これらのPUFAが非常に多く含まれており、魚油に替わるPUFAの供給源として研究が進められています。
 私たちは、PUFAを生産する微生物のPUFA生産性を向上させることに取り組み、効率良くPUFAを取得するための技術開発を行っています。また、微生物や藻類から高度不飽和脂肪酸合成関連遺伝子を取得し、これらを利用した高度不飽和脂肪酸含有脂質生産法の開発を目指しています。
 DHAやEPA等のPUFAは、その薬理効果から健康食品や製薬原料としての利用が期待されて います。しかしながら、現在魚類からの粗抽出物は、においを有する夾雑物が混在しやすく、精製が必要です。微生物や微細藻類を利用することで、これらの欠点を克服でき、食品等への添加も充分可能になると考えられます。また、乾燥した菌体(藻体)をそのまま利用することで、DHAやEPAに加え、蛋白質やビタミン等を摂取できる食品としての利用も期待できます。また、DHA等を豊富に含有する家畜飼料や養殖飼料等への新たな餌資源としても活用できると思われます。

微生物代謝工学による機能性脂質生産の図

3.非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の進行予防を目的とした食品素材の探索(北海道大学との共同研究)

 肝臓内に中性脂肪の貯まった状態を脂肪肝といいますが、アルコールをほとんど飲まない人に起こる脂肪肝を非アルコール性脂肪肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)と呼んでいます。NAFLDには、進行せず良性の経過をたどる単純性脂肪肝と肝硬変、肝癌へと進行する可能性のある非アルコール性脂肪肝炎(Nonalcoholic Steatohepatitis:NASH)が存在します。
 これまで肝癌発生の多くは、B型肝炎やC型肝炎ウイルスに感染している患者が90%程度を占めてきましたが、近年肝炎ウイルスに感染していない肝癌患者が増加傾向にあります。これらの原因としてNASH由来の肝癌が疑われています。
 最終的に肝癌にまで進行することを考えると、治療の面からではなくNASHの予防に最善を尽くすことが求められています。本研究では、NASH予防・進行防止のための機能性食品素材・成分の探索を行っています。


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