独立行政法人産業技術総合研究所 生物機能工学研究部門では蛋白質デザイン研究グループを中心として、これまでの蛋白質工学関連研究を通じて得られた知識と技術の集積をバイオ産業の発展に役立てるべく「バイオプロセス・パイプライン構想」を提唱し、活動を展開しています。コストや安全性に厳しい抗体医薬品等の次世代大型バイオ医薬品の大量製造技術を支える「細胞大量培養」・「分離精製」・「分析・管理」等の高度バイオプロセス技術の国内支援企業群への集積とその医薬品製造産業との効果的連携の双方により達成される「バイオプロセス・パイプライン」は、21世紀型医薬とも言われるタンパク質バイオ医薬品の製造に不可欠な高度産業技術の集大成であり、既に欧米では多数の高度技術と潤沢な資金をもったベンチャー企業を中心とした企業間ネットワークにより急速に確立されつつあります。転じて我が国においては、医薬品製造企業やベンチャー企業を取り巻く経済環境、産学官連携による産業化技術開発推進の立ち後れ等により、高度バイオプロセス技術を伴った国内支援企業群の育成は進んでおらず、国境を越えた技術競争の中で生じる国内技術空洞化状態が我が国の医薬品製造企業に与える影響が懸念されています。「バイオプロセス・パイプライン構想」では、その空洞化を回避しつつ真に国際競争力を持った次世代の医薬品製造産業を我が国において確固としたものとするために、産学官の総力を結集させることを目指しています。

 この構想を実現させるための第一歩として財団法人バイオインダストリー協会(JBA)と共同し、関係企業の協力のもと「バイオロジカルズ(タンパク医薬)製造技術研究会」連絡会を発足させ、バイオプロセス・パイプラインの我が国における確立を目指した活発な議論・提言の場とすべく研究会を主催する活動を始めました。願わくは研究会活動を通じて多くの関係者の方々に構想を共有化して頂き、より優れたものへ昇華させつつ、実現に至ることができますことを念願しております。