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東京大学大学院 本田研究室

研究内容

東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 本田研究室は

東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻・本田研究室は、情報分子工学、タンパク質工学、合成生物学の研究室です。生物物理学、タンパク質科学、進化分子工学、バイオインフォマティクス、分子生物学、構造生物学等の横断的理解を基盤として、メディカル分野での活用を目的とした機能性人工タンパク質の創製やバイオ医薬品関連の基盤技術の開発を進めています。

「わかる」ということ

「理解した」とはどういう状態を指すのでしょうか。医師は「治せること」と言うかも知れません。生物学者は「説明できること」と言うかも知れません。 物理学者は「予測できること」と、化学者は「変えられること」と、工学者は「造れること」と言うかも知れません。そう、立場によって「理解」の定義は変わるのです。そして、私たちにとっての「理解」は工学者の定義になります。ゲノム解析プロジェクトを契機として、現在、生物学は膨大なデータを扱う情報科学に変貌しました。有用なデータを生み出すこと、その意味を解釈すること、それは充分意義ある研究です。しかし、私たちは膨大な情報を手にしても「理解した」気になれないのです。知り得た情報にもとづいて何か新しいものをつくることを試みたとき、意図通りのものが完成したのなら、理解は正しかったと実感できるのではないでしょうか。生命の理解とは、新たな生命を創ってこそはじめて完結するのです。

plan done

「知る」生物学、「操る」生物学、から「創る」生物学へ

膨大な情報をただ眺めていても新たな創造を成すことは出来ません。情報を選別し、吟味し、そこに潜む合理性や普遍性を探り、仮説を立て、論理的な設計図を描き、適切に造形することが必要です。現在、本田研では、生命体の基本素子であるタンパク質に焦点をあて、種々の理論と実験を組み合わせて、自然界に存在しない有益な人工タンパク質の開発や新規な人工細胞の創製を進めています。

創る生物学

タンパク質の階層性-部分と全体

情報からの創造にむけて、私たちが重要な概念と考えているのが生物が有する構造の階層性です(下欄コラム【普遍性と多様性-構造階層性の果たす意味】参照)。人工タンパク質の系では、システムとしてのタンパク質分子の構造階層性を深く理解することが重要と考えています。構造階層性の理解のための手法として私たちが進めているのが、タンパク質分子を細かく分解する方向(トップダウンサイクル)と分解した要素から組み上げる方向(ボトムアップサイクル)の2つのアプローチを有機的に統合することです。現在、トップダウンサイクルとしては、タンパク質を実験的にフラグメントに分割し、その物理化学的性質を評価する分子解剖研究、公共データベースにある膨大な構造座標データをコンピュータ内で断片化し網羅的クラスタリングする分類学的研究などを行っています。一方、ボトムアップサイクルとしては、複数の要素の組み合わせから有用な新規タンパク質を選び出す進化分子工学的研究、統計言語学を基盤としたタンパク質文法体系の構築とそれにもとづく機能改変研究などを進めています。

タンパク質の階層性

極微小人工タンパク質の設計

トップダウンサイクルで培った知識と技術の検証のため、研究室内の理論チームと実験チームが共同し、従来の常識を超える構造体の設計を試みました。その結果、わずか10個のアミノ酸からなる「最小のタンパク質・シニョリン」の創製に成功しました。これまではタンパク質が安定な立体構造を形成するには、30~50個のアミノ酸が最低必要であるとの見方が支配的でした。しかし、独自のアルゴリズムで設計したシニョリンは、この下限を大きく下回るにもかかわらず、水溶液中で安定な立体構造を形成し、昇降温に伴い可逆的かつ協同的に変性/再生するのです。この事実の発見は、タンパク質の構造単位に関する従来の認識に修正を促すものとなり、海外の科学専門誌の表紙を飾る論文となりました。また、シニョリンの存在は、生命起源の研究へも大きな影響を及ぼすことから、新聞等でも広く取り上げられました(下欄コラム【シニョリにみる生命の起源】参照)。いずれにしても、この成果は、私たちの情報分子工学のアプローチが有効なものであることを証明するもので、今後の分子設計研究のさらなる進展を期待させるものです。

理論チームと実験チーム

> 産総研のプレス発表でさらに詳しく

バイオ医薬品-メディカル分野でのタンパク質の利用

ボトムアップサイクルのターゲットとしては、メディカル分野で急速に利用が進んでいるバイオ医薬品、特に治療用タンパク質(pharmaceutical proteins)に焦点を当てています。ゲノミクスの進展に伴い、多くのドラッグターゲットが見出されていますが、そのような流れとともに、タンパク質自身を医薬品として治療や予防に利用する試みが拡大しています。しかし、タンパク質は基本的に不安定な分子であり、また、その生産には大きなコストがかかります。こうした背景から、より安定で、より安価で、かつ安全で効能の高い治療用タンパク質を開発するための新しい発想の技術革新が望まれています。本田研では、これまで蓄積してきた分子デザイン研究のポテンシャルを活かし、これら治療用タンパク質の課題解決のための研究を行っています。

バイオ医薬品

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タンパク質のデザイン

タンパク質は生命現象を支える分子であるとともに、近年ではバイオ医薬品の創薬・製造・品質管理プロセスにおける機能性分子としても中核的役割を担う。そこで、当研究室は、バイオ医薬品関連産業を推進する機能性タンパク質創出を目指した独自のタンパク質デザイン技術の開発を進めている。

タンパク質の物理的必然性と歴史的偶然性

タンパク質は生命システムを担う精緻な分子機械である。したがって、その分子構造にはタンパク質が動作し機能するための物理学的原理が備わっているはずである。この意味で、タンパク質分子には「必然性」が記されているといえる。一方、タンパク質は生命システムが原始より絶えることなく変化しかつ保存してきた進化の所産でもある。したがって、その分子構造には進化の過程でたまたま選ばれた変異が蓄積しているはずである。この意味で、タンパク質分子には「偶然性」が刻まれていると言える。医療や産業用途にむけて、天然のタンパク質をより適した分子に改良するために、我々は、このタンパク質の物理的必然性と歴史的偶然性を共に深く理解し、両側面を有機的に統合的することが重要であると考えている。即ち、物理学的原理の理解に立脚する従来のタンパク質工学に加えて、本来的に進化しうる能力を有しているタンパク質を「育てる」ことを重視した新たなデザイン技術の開拓に取り組んでいる。

進化しうる能力~Evolvabilityとは

evolvabilityは、生物の進化に関する一つのコンセプトで、ダーウィン的理解にもとづくものです。ダーウィンの自然淘汰による進化論によれば、植物、動物および他の生命体には、親より生存環境に対してより適応する子孫を時々は生産する能力が必要です。生き残り繁殖し続けるのは、このようなより適応した子孫です。そして、この適応した特性が子孫へとさらに受け継がれる場合、適応した特性の数は増加していきます。もし、子孫に見いだされる変異が有害なものだけであったのなら、適応進化は起こらないでしょう。「evolvability」とは、即ち、適応進化を可能にするうえで必要な十分な有益な変異体を生産する能力のことです。

Wagner(2005)は、evolvabilityについて、以下に要約される2つの定義を考案しました。「生命システムは、それが保持する特性が継承可能な遺伝的変異性を示し、かつ自然淘汰がそれらの特性を変更することができる場合、進化することができる」「生命システムは、遺伝的変異によって新規の機能を獲得し、その機能が生命体の生存と繁殖を助けるものであるとき、進化することができる」。これらの定義は、すべてのレベルの生物学的構成物(高分子から哺乳動物にまで)に適用することができます。ただし、この2つの定義は同義ではありません。最初の意味で進化できるシステムがすべて、第2の意味で進化できるとは限らないからです。
(en.wikipedia.orgより翻訳して引用)

低リスクのタンパク質工学~非線形システムとしてのタンパク質分子

タンパク質工学は、Ulmerの提唱から既に20年余の歴史があり、商業的な成功を含む多くの研究例がある。しかし、それが土木工学、電気工学、機械工学らと比肩できるほど成熟し、社会に認知されている技術かと問われれば、否と答えざるを得ない。いわゆる「工学」としての確実性、汎用性、実用性はまだまだ不充分である。未成熟の一因は、「工学」の対象たるタンパク質分子の複雑さであろう。タンパク質は、他の生物システムと同様に、非線形なシステムである。即ち、全体(タンパク質分子)を構成する要素(アミノ酸やセグメント)の線形和として全体(特に構造)を記述できない。要素自身の状態が全体のコンテクストに依存し、ゆえに全体に対する要素の寄与は全体から影響を受ける。単離した短鎖のセグメントが、ほとんどの場合、分子内での構造を保持しないことは、その端的な例である。このような非線形なシステムとしてのタンパク質分子の存在を認めたうえで、我々はさらに以下の推考を進めた。

  1. タンパク質分子内のすべての要素が一様に非線形な応答を示しているわけではない。
  2. 全体のコンテクストに依存しない(または依存度が低い)要素~自律要素と呼ぶ~の全体に対する寄与は線形に扱える。
  3. 自律要素の最適化は全体から独立して考えることができる。

この全体と要素の関係に関わる推考が正しいとするとならば、自律要素を変異の対象と限定することで、非線形性に起因する予測困難なリスクを軽減しつつ、要素の改善を全体に反映させることができるに違いない。そこで、この仮説の検証とあらたなタンパク質工学手法の開拓を目的として、以下のステップを含む分子設計法を開発した。

(ステップ1)
構造座標データからタンパク質分子内の自律要素となる短鎖セグメントを特定する。
(ステップ2)
特定した短鎖セグメントの主鎖構造を安定化する配列プロファイルを統計データベースを用いて決定する。
(ステップ3)
野生型の配列とプロファイルの比較から、変異体配列を設計する。

開発した手法を、現在メディカル分野で実用化されているある産業用タンパク質に適用したところ、合成したすべての変異体は、実用化されている野生型に比べて、熱安定性、変性剤耐性、プロテアーゼ耐性がすべて向上した。フォールディング機構の解析から、これらの安定化の主因はエントロピー効果であることが明らかになった。また、変異体の結晶構造解析から変異残基以外の原子の座標の変位はほとんどなく、抗体結合性も野生型に比べて同等以上であることが確かめられた。以上、開発した本手法は、タンパク質工学をより確実な技術分野と高めるための低リスクのアプローチとして期待されるものである。

抗体医薬品コスト

抗体医薬とは、抗体が抗原を特異的に認識し排除/破壊する性質を利用して、この抗体を、病気に関連する因子だけに結合するように人為的に改変合成した医薬品のことを指す。がん細胞などの標的細胞だけに結合し、患部をピンポイントで攻撃することができるので、 低分子化合物を利用する従来タイプの医薬品とは異なり、副作用を劇的に低減することができると言われている。

一方で、抗体医薬の解決すべき問題の一つは低価格化である。高度な開発や高品質生産に巨額の投資が必要なため、現在の抗体医薬の薬価は非常に高価である。例えば、2001年に認可された抗ガン剤のグリベックは、1錠約3000円で、一ヶ月の治療費は27万円にのぼる。同様に、乳がん治療薬のハーセプチンは1バイアルあたり7万8千円、関節リウマチの治療薬のレミケードは1バイアルあたり11万円と非常に高価である。このような価格が普及の妨げとなっていることは事実であり、また、医療費の公的負担増大の一因ともなっている。

抗体医薬の製造コストの内訳は、培養等のアップストリーム工程が約20%、分離精製等のダウンストリーム工程が約40%、これらの工程を設計、設置するためのプロセス開発費が約30%を占めるといわれている。これら個々の工程に用いられる要素技術を飛躍的に革新し、それらの統合による抗体製造イノベーションにより、抗体医薬の製造コストを大きく低減させることが医療関連技術行政の急務の課題として認識されている。

バイオ医薬品の先進的品質評価技術の開発

バイオ医薬品は、生体による生合成過程を生産に利用していることから、分子構造上、不均一なものが産生される可能性が本質的に存在する。バイオ医薬品の有効性や安全性に及ぼす有効成分の分子不均一性の影響については未解明の部分も多いが、生じた凝集体や非天然型糖鎖等に副作用を惹起するリスクが潜在することが指摘されている。米国食品医薬品局(FDA)を中心とする各国規制当局や内外専門家間の共通理解として、現行の分析技術レベルでは不十分であり、かつ今後重要となる品質評価項目として、バイオ医薬品の立体構造変化による不均一性、会合凝集による不均一性および糖鎖修飾による不均一性が挙げられており、これらの政策課題に応えるための先進的品質評価技術の開発が期待される。

  1. バイオ医薬品の立体構造変化に伴う不均一性評価技術の開発
    バイオ医薬品は、有効成分が固有の立体構造を形成することで特徴的な治療効果を発揮するが、一般に立体構造の物理化学的解析には長期間を有するため、その恒常性や異常構造の混入を高精度で迅速に評価する実用的な分析手法はない。そこで、製薬の品質管理工程で活用可能な実用的な不均一性評価技術の提供を目指し、バイオ医薬品の立体構造恒常性の高感度検出技術と専用分析装置等の開発を行う。
  2. バイオ医薬品の会合凝集に伴う不均一性評価技術の開発
    バイオ医薬品の有効成分は、本来的に不安定な生体分子であることから、生産・保存・運搬等の過程で様々なストレスにより容易に会合凝集する。生じた会合凝集体は、バイオ医薬品の効能低下のみならず不測の副作用を起こす可能性があることから、製薬中の会合凝集体の混入は限りなく小さいことが望ましい。そこで、製薬の品質管理工程で活用可能な実用的な不均一性評価技術の提供を目指し、バイオ医薬品中の会合凝集体の高感度検出技術と専用分析装置等の開発を行う。
  3. バイオ医薬品の翻訳後修飾に伴う不均一性評価技術の開発
    バイオ医薬品の有効成分には、翻訳後修飾により糖鎖が付加されていることが多いが、その糖鎖の付加パターンや糖鎖の分子構造は均一ではない。糖鎖修飾に代表される翻訳後修飾に伴う不均一性評価は、バイオ医薬品の同等性評価において重要な項目であるが、作業工程も多く専門的であることから日常的な品質評価業務で分析されることは少ない。そこで、製薬の品質管理工程で活用可能な実用的な不均一性評価技術の提供を目指し、バイオ医薬品の糖鎖付加パターンや糖鎖分子構造など翻訳後修飾を迅速に解析できる汎用技術と専用分析装置等の開発を行う。

主鎖環状型サイトカインのデザイン

    タンパク質は、低分子で代替できない優れた特異性や親和性を示す。その有用性の高さから最近ではバイオ医薬品としての利用も拡大している。一方で、タンパク質には構造安定性やコロイド安定性が低いという問題がある。非天然構造のタンパク質は、保管安定性や生体内安定性の低下に加え、患者身体への悪影響を導く可能性もある。安全で有効なバイオ医薬品を製造するためには、これらの心配が不要となるような構造安定性とコロイド安定性の高いタンパク質が求められる。タンパク質のN末端とC末端が近い場合、主鎖環状化がタンパク質の安定性を上げる手法として有効である。主鎖環状化は配列の改変を最小限に抑えたまま構造安定化できるため、予期せぬ構造変化や免疫原性惹起のおそれが少ないという利点がある。しかし、主鎖環状化を用いたタンパク質の合理的な設計手法は確立されていない。構造安定性の高い主鎖環状化タンパク質を設計するためには、主鎖環状化がタンパク質に与える効果を正確に理解する必要がある。我々は、主鎖環状化タンパク質の設計手法の確立に向けて、主鎖環状化がタンパク質に与える安定化効果の解明を研究目的とした。対象タンパク質として、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte-colony stimulating factor; G-CSF)を用いた。G-CSFは好中球数を維持させる役割を持ち、好中球減少症の治療薬として使用されている。しかし、構造安定性とコロイド安定性が低いため、これらの安定性の向上が課題の一つとなっている。G-CSFはN末端とC末端が近接しており、かつ末端がG-CSF受容体結合部位と離れているため、主鎖環状化に適していた構造である。そこで、主鎖環状化を用いたG-CSFの構造安定性とコロイド安定性の向上を目指した。
  • Miyafusa, T., Shibuya, R., Nishima, W., Ohara, R., Yoshida, C., Honda, S.: Backbone circularization coupled with optimization of connecting segment in effectively improving the stability of granulocyte-colony stimulating factor. ACS Chem. Biol., 12, 2690-2696 (2017).
  • Miyafusa, T., Shibuya, R., Honda, S.: Structural insights into the backbone-circularized granulocyte colony-stimulating factor containing a short connector. Biochem. Biophys. Res. Commun., 500(2), 224-228 (2018).
  • Shibuya, R., Miyafusa, T., Honda, S.: Stabilization of backbone‐circularized protein is attained by synergistic gains in enthalpy of folded structure and entropy of unfolded structure. FEBS J., 287(8), 1554-1575 (2020).
  • Shibuya, R., Miyafusa, T., Imamura H., Ooishi, A., Honda, S.: Effect of backbone circularization on colloidal stability: Compaction of unfolded structures improves aggregation resistance of granulocyte colony-stimulating factor, Int. J. Pharm., 605, 120774 (2021).

structure of designed protein

ヒト抗体の凝集化メカニズム

    多くのバイオ医薬品の有効成分はタンパク質であるが、タンパク質は低分子化合物に比べ不安定であり、物理的にも化学的にも劣化しやすい。なかでも変性に伴う凝集は、薬効の低下のみならず免疫原性を示す可能性があることから、バイオ医薬品の品質管理上の懸念事項となっている。さらなる高品質生産に向けて、タンパク質凝集に関する分析法の高度化、メカニズムの包括的な解明、実用に資するモデルの構築が望まれている。しかし、バイオ医薬品の凝集は、長期の緩和過程を伴う非平衡系、濃度依存を示す非理想系、添加剤の影響を受ける多成分系での反応であり、理論化学の対象として手強い相手である。 タンパク質の場合は、さらに配列依存性や構造変化の影響もある。平衡論的に微量な、あるいは速度論的に短寿命な変性状態の分子が重要な役割を果たす。これらを統一的に理解することが困難なことは想像に難くない。我々は、抗体を酸性溶液に一定時間さらし中和(pH シフト)すると凝集が発生し、時間と共に凝集が成長するメカニズムの解明に挑んだ。pHシフトは、アフィニティークロマトグラフィー精製の際など、実際の抗体医薬品の製造工程で 行われる操作である。
  • Imamura H, Honda S: Kinetics of Antibody Aggregation at Neutral pH and Ambient Temperatures Triggered by Temporal Exposure to Acid. J. Phys. Chem. B, 120(36), 9581-9589 (2016).
  • Imamura, H., Sasaki, A., Honda, S.: Fate of a stressed therapeutic antibody tracked by fluorescence correlation spectroscopy: Folded monomers survive aggregation. J. Phys. Chem. B, 121(34), 8085-8093 (2017).
  • Senga, Y., Imamura, H., Ogura, T., Honda, S.: In-solution microscopic imaging of fractal aggregates of a stressed therapeutic antibody. Anal. Chem., 91(7), 4640-4648 (2019).

antibody aggregation

> 抗体の凝集メカニズム:スモルコフスキー凝集速度式によるモデリング (生物物理)

小型バイオ医薬品創薬を支援するリサーチツール

    この発明は、がん抗原などの標的に対して高い親和性と特異性を示す小型の人工タンパク質を創製する技術です。25~60アミノ酸からなる短いポリペプチドでありながら安定な立体構造を形成する能力を付与できるので、安価な製造と高い標的識別能を両立させることが可能です。抗体代替分子創製技術の一つに相当します。この発明の特徴は、あたかも粘土細工のように部分を段階的に組み上げていくことで、低親和性ペプチドを高親和性タンパク質に変化させる点です。バイオ医薬品や検査診断薬開発のためのリサーチツールとしての活用を想定しています。
  • Watanabe, and H., Honda, S. "Adaptive Assembly: Maximizing the Potential of a Given Functional Peptide with a Tailor-Made Protein Scaffold." Chemistry and Biology, 22(9), 1165-1173 (2015).

adaptive assembly

> 小型バイオ医薬品創薬を支援するリサーチツール

アルブミン結合性ヒト型タンパク質のデザイン

    血清アルブミン結合タンパク質であるFinegoldia magna由来GA moduleとヒト血清アルブミン(HSA) の複合体結晶構造をもとに、下記の方法によって、新規の血清アルブミン結合性ヒト型タンパク質を設計した。(1)HSAへの結合に寄与するGA moduleの2本のへリックス構造と類似した部位をもつヒトタンパク質の検索、 (2)ヒトタンパク質の側鎖の溶媒露出面積 (ASA) 比の解析、変異導入によるフォールディング自由エネルギー変化の予測、(3)前記に基づくヒトタンパク質の変異導入箇所の決定とHSA接触残基の導入。設計したヒト型タンパク質hAC_15mはHSAに対し特異的な結合活性を示し、13残基の変異導入にも関わらず、二次構造が変異導入前と同様であることが確認された。さらに、HSA結合残基を2つ追加したhAC_17mは、HSAに対しより高い親和性を示した。結合阻害試験の結果から、hAC_17mはGA moduleと同様のHSA結合部位をもつことが確認された。また、熱力学的解析から、hAC_17m-HSA間結合にはエンタルピー・エントロピーの双方が結合に寄与しており、この熱力学的特徴はGA module-HSA間結合においても同様であることが確認された。これらの結果は、タンパク質複合体の結合界面、結合界面を模倣する足場となるヒトタンパク質の側鎖のASA比、変異導入による安定性変化の予測などの情報を活用することで、本来の二次構造を維持しながらGA moduleのHSA結合界面・結合様式をヒトタンパク質上で模倣させることに成功したことを示している。
  • Oshiro S, and Honda, S. : Imparting Albumin-Binding Affinity to a Human Protein by Mimicking the Contact Surface of a Bacterial Binding Protein. ACS Chemical Biology, 9, 1052-1060 (2014).

molecular grafting

> 細菌由来血清アルブミン結合タンパク質の結合様式を模倣したアルブミン結合性ヒト型タンパク質のデザイン

タンパク質の論理的分子デザインプログラム

    タンパク質工学分野における効率的研究開発を支援する技術。コンピュータを用いたアミノ酸の合理的改変により、立体構造が既知の任意のタンパク質を低リスクで安定化することができる。本技術は、産総研で考案された「自律要素最適化アルゴリズム」を基盤とするもので、変異すべき部位を特定するプログラムと置換するアミノ酸の種類を選択するプログラムから構成されている。同様の目的の従来手法に比べて、安定化の成功率が高く、アミノ酸置換が及ぼす機能と構造の変化を最小限に抑えることができる。本技術を、治療用抗体の生産コスト低減に寄与することが期待される、抗体結合性タンパク質・プロテインGに適用したところ、本来の抗体結合機能を全く損なわずに、熱安定性、変性剤に対する化学的安定性、および蛋白分解酵素に対する耐性が向上した変異型タンパク質の合成に成功した。

protein design program

世界最小タンパク質の分子設計と結晶構造

    独自のアルゴリズムに基づいて、10個のアミノ酸で構成される新規のペプチド・シニョリンを設計・合成し、このペプチドが水溶液中で安定な立体構造を形成すること、及び、昇降温に伴い可逆的かつ協同的に変性/再生することを証明した。また、シニョリンの配列を最適化した安定化変異体・スーパーシニョリンも開発し、その結晶構造の決定にも成功した。これらのペプチドは、自然界に現存するタンパク質に比べて極端に小さい。しかし、固有の立体構造と協同的な構造転移は、タンパク質が機能するための不可欠な要件であることから、この2点で判断すれば、合成したペプチドを最小のタンパク質と呼ぶこともできる。この研究成果により、タンパク質の安定化機構、フォールディング、分子設計研究の進展が今後加速するとともに、生命起源の研究へも大きな影響を及ぼすことが期待される。
  • Honda S, Yamazaki K, Sawada, Y, Morii H: 10-residue folded peptide designed by segment statistics. Structure, 63, 22-28 (2004).
  • Honda, S., Akiba, T., Kato, Y.S., Sawada, Y., Sekijima, M., Ishimura, M., Ooishi, A., Watanabe, H., Odahara, T. and Harata, K.: Crystal Structure of a Ten-Amino Acid Protein. Am. Chem. Soc., 130, 15327-15331 (2008).

chignolin

> 最小のタンパク質を創る (AIST Today)

chignolin crystal

> タンパク質のミニマムデザイン (生物物理)

ProSeg-タンパク質局所構造データベース

    タンパク質分子の部分構造を網羅的に分類、整理したデータベース、PrpSegを開発しました。7万以上のセグメントが主鎖の構造類似性にしたがって数千個程度のクラスタに分類されています。ユーザーは任意の構造情報をを入力することによって、最近接のクラスタを検索することが出来ます。人工タンパク質の設計研究等に有用な基盤情報を提供することが期待されます。
  • Sawada, Y., Honda, S.: ProSeg: a database of local structures of protein segments. J. Comput. Aided Mol. Des., 23(3), 163-169(2009).

proseg

タンパク質セグメントはべき乗則に従い分布する

    タンパク質の短鎖セグメントの構造多様性を網羅的なクラスタリングと統計言語学的手法により解析した。これは、短鎖セグメントをタンパク質の「単語」と見立てて、これに自然言語学分野の統計情報論的分析手法を適用することで、短鎖セグメントの頻度、分布、相関、内部構造等を解析し、「単語」に相当する断片と「文」に相当する分子全体との関係を理解し、ロバストな配列-構造-安定性相関を導くことを目指すものである。具体的には、公共データベースから得られるタンパク質の構造データをコンピュータ内で仮想的に分断し、得られる数十万の短鎖セグメントをそれらの構造類似度にもとづいて分類するクラスタリング手法の開発とプログラミング、多次元空間に位置する各分類データを可視化するための主成分分析をもちいた投影法の開発と構造空間へのマッピング、分類データの頻度および分布の解析、各々の分類クラスタの配列特性および構造特性の解析等を行った。それらの結果、存在するセグメントの構造は、セグメントが作りえる広大な構造空間のごく一部にしか存在しないこと、その分布の状態は、宇宙における銀河の存在のように粗密な状態であること、存在の頻度分布はべき乗則に従うことなどが明らかになった(下図)。非常に興味深いことに、これらの特徴はすべて、自然言語の構造体系と酷似するものであった。この発見は、タンパク質の構造形成(フォールディング)は「作文」と同じ要領で実現し、加えてタンパク質の安定性の向上は「作文」の上達と同様の手法で導くことが可能であることを示唆している。
  • Sawada, Y., Honda, S.: Structural diversity of protein segments follows a power-law distribution. Biophysical J., 91(4), 1213-1223(2006).
  • Tomii, K., Sawada, Y., Honda, S.:Convergent evolution in structural elements of proteins investigated using cross profile analysis. BMC Bioinformatics, 13, 11 (2012).

power low in protein structure

シングルドメインタンパク質・プロテインGの構造階層性

    哺乳類の免疫グロブリンに結合活性を有するプロテインG-B1の分子解剖解析により、N端側の40残基フラグメントPGB1(1-40)とC端側の16残基フラグメントPGB1(41-56)が特異的に会合することを発見した。会合により生じた複合体は、元のプロテインG-B1と同様の二次構造を形成していること、少なくとも部分的な三次構造も同様であることを明らかにした。さらに、この複合体を構成する個々のフラグメントについて構造熱力学的検討を行い、短鎖のPGB1(41-56)が単独でβヘアピン構造を形成し、その構造変化過程が一次相転移現象であることを明らかにした。一方、鎖長の長いN末側のPGB1(1-40)では、同様の解析において規則的構造の形成の痕跡は見出せなかった。元のプロテインG-B1のPGB1(41-56)に相当する部分はβヘアピン構造であることから、この結果は、プロテインG-B1が折りたたまれる際に、まずC端側のセグメントが独立に天然と同じ構造を形成し、ついで残りのセグメントと相互作用し全体構造が形成されるという階層的構造形成機構を示唆した(PGB1(41-56)の特性に鑑み、このフラグメントをあらたにGペプチドと命名)。
  • 本田真也 "ドメイン下層のタンパク質階層性 -プロテインGとGペプチドのフォールディング研究から-", 生物物理, 42(4), 174-178 (2002).

fragment complementation

> ドメイン下層のタンパク質階層性 (生物物理)

本田研で学べること

本田研では、理論と実験の両面から、さまざまな技術を駆使して研究を進めています。このため、研究室には、生物学をはじめとして物理学、化学、薬学、情報科学などの多彩なスタッフが従事しています。また、実用化を目指した民間企業との共同研究も進行中です。このようなプロの研究者が働く環境で大学院生活を送ることは、広範な知識と技術を習得するための最良の選択になるでしょう。本田研は「遺伝子操作もプログラミングも出来るマルチディシプリンな研究者」への成長を強力に支援します。

習得できる主な知識と技術

  • 生物物理学、物理化学、分析化学、タンパク質科学、生化学、分子生物学、統計学
  • タンパク質工学、進化分子工学、抗体工学、組み換えDNA技術、タンパク質発現精製技術、タンパク質構造解析技術、安定性解析技術
  • Unix操作、プログラミング、データマイニング、多変量解析、バイオインフォマティクス、分子シミュレーション
> 主な研究設備

研究テーマ

研究テーマは与えられるものではありません。テーマの選定は、よい研究を行うための大切なステップです。本田研の研究テーマ設定は、まず学生が自ら企画・立案することから始まります。これを研究室メンバーにプレゼンし、意義や実現性などについて議論します。最後に教官と協議し、承認を得ます。最初から適切なテーマ設定ができる学生は稀ですが、そのための第一歩として、背景の正しい理解と充分な調査に自ら努力することが必要です。

主な研究テーマ

バイオ医薬品の創薬技術関連
  • 低親和性ペプチドを高親和性タンパク質に変身させる分子創製技術
  • 医療用サイトカインの主鎖環状化による薬物動態向上
  • 薬物動態を向上させるための血清アルブミンバインダーの開発
  • 先回り進化による薬剤耐性菌の耐性メカニズムの解明
バイオ医薬品の精製技術関連
  • 抗体医薬品向けのアフィニティリガンドの開発
  • 凝集化を抑制できる凝集前駆体除去技術の開発
バイオ医薬品の製剤技術関連
  • IgGの凝集化反応の分子機構の解明と凝集化予測理論の構築
  • 抗体医薬品の保存可能期間シミュレーション技術と保存安定性向上のための製剤技術の開発
  • 実験計画法によるバイオ医薬製剤技術の最適化
バイオ医薬品の品質管理技術関連
  • 物理化学的ストレスを受けた構造劣化抗体を特異的に識別する化学プローブの開発
  • 微量の構造劣化抗体を検出する高感度分析装置の開発
進化分子工学技術関連
  • 進化分子工学による構造と機能の共創出
  • 新規ペプチドライブラリの開発
  • 次世代シーケンサーとバイオインフォマティクス活用によるスクリーニング確度の向上
  • 無細胞合成技術活用による候補分子特定の迅速化
タンパク質工学技術関連
  • 極微小人工タンパク質シニョリンの構造設計
  • アミノ酸配列設計ソフトウエアの開発
  • 自律要素仮説にもとづくタンパク質の安定化改変
  • 自然言語構造を模した人工タンパク質のデザイン
  • 無機能タンパク質のデザイン
  • 自然界に存在しない立体構造を形成する人工タンパク質のデザイン
タンパク質基礎科学関連
  • タンパク質局所構造の多様性解析
  • タンパク質分子の収斂進化の解析
  • アミノ酸配列設計ソフトウエアの開発
  • 新たなバイオインフォツール(クロスプロファイル法)の開発
合成生物学技術関連
  • 酵母の性を転換させる自己倍数化抑制技術
  • ヒト膜タンパク質受容体阻害剤スクリーニング技術

合成生物学

合成生物学は、生物の既知の構成成分(遺伝子やタンパク質)を用いて、それらをより次元の高い階層・ネットワークへと人工的に統合することにより、新規の生物学的機能またはシステムの設計・構築を目指す、新しい科学と工学の融合研究領域です。システムバイオロジーに次ぐ、生物学のトレンドとして現在注目されています。本田研では、細菌を対象とした合成生物学実験を進めています。また、人工タンパク質分子の改良・創製研究も、タンパク質分子という多数の原子で構成されるシステムを対象とした合成生物学であるとして展開しています。

普遍性と多様性-構造階層性の果たす意味

生物は多様です。そして、その多様性のサイズは莫大で未だに不明なことも少なくありません。例えば、この地球上にいったい何種類の生物が存在するかという基本的な問いに対しても、正確な数値は明らかにはなってません。500万種とも3000万種とも言われますが、観察手段や分析方法の進展に伴って、その推定値は増加するばかりです。一方、生物は普遍的でもあります。遺伝子の暗号表は、ほんの一部の例外を除き全生物に共通です。細胞は化学物質で構成され、個々の要素の作動原理に非天然物の物理化学法則と異なるものはありません。生物は多様であると同時に普遍的な実体なのです。そして、この一見背反する二つの属性「普遍性と多様性」を併せ持つことが生物の本質なのです。生物というシステムに対する私の基本的な興味は、この普遍性と多様性の関係です。本田研では、この二属性を包括的に理解するためのキーワードとして、生物の「構造階層性」に着目しています。

よく知られるように、生物は多重の構造体を有する存在です。その連なりは、遺伝子から、オルガネラ、細胞、組織、器官、個体、種へと続きます。このミクロからマクロに至るあらゆる実体と事象に、普遍的な側面と多様な側面が織りなして観察されるます。私たちは、このミクロからマクロに至る間の構造の階層性こそが生物の普遍性と多様性を創出する根源ではないかと考えています。一般的に、分子レベルの事象はより普遍的で、個体や集団レベルの事象はより多様です。普遍的な事象は、決定論的で、記号論的で、デジタルな情報を伴っています。そして、この情報を規定するメカニズムに特定の構造が関与しているのです。例えば、遺伝子の複製では、情報は核酸塩基対が相補的な結合を形成することで規定されており、DNAの二重らせん構造がそれを可能にしているわけです。ところで、ここで規定されている情報は、そのままの品質で伝達され続けるわけではありません。ここに書き込まれた情報は、生物の階層性を介して、確率論的で、記述的で、アナログなものへと段階的に変換していくのです。いわば、階層的な構造は、この質的変換を媒介するコンバーターとなっているのです。私たちは、この変換が繰り返されて生物の多様性が増加拡大していくのだと認識しており、従って、構造階層性の理解が生物の普遍性と多様性の関係解明に重要で、かつ多様なシステムを創り上げるための鍵だと考えています。

シニョリンにみる生命の起源

極微小タンパク質・シニョリンの創製は、生命の起源論にも影響を及ぼすものです。地球上の生物の起源に関しては、大別して三つの考え方が存在します。第一は、超自然現象として説明するもので、例えば神の行為を考える説。第二は、地球上の物質の状態変化の結果と考える説。第三は、地球外から飛来したと考える説。一般的には、二番目の化学進化説が支持されています。さらに化学進化説は、生命はタンパク質から始まったとする考えと核酸から始まったとする考えの二つの説に大別されます。後者の説(特にRNAワールド)が現在有力ですが、この説においても核酸とタンパク質が対になって共進化する段階が次に続くとされており、いずれにしてもタンパク質の出現は生命の起源と深い関わりを持っていたと考えられています。

現在、私たちの周りにあるタンパク質は進化の産物です。多くの研究から、突然変異を含むさまざまなメカニズムによって、現在の姿に徐々に変化してきたことが明らかになっています。しかし、遡って最も始めの原始タンパク質がどのようなもので、どのように作られたのかについては全くの謎です。現在のタンパク質より単純でサイズの小さい分子であったと想像されていますが、証拠はまったく存在しません。一般に、生命の誕生以前に非生物的な作用で原始タンパク質が出現した過程を化学進化といい、生命誕生以降にタンパク質が徐々に変化していった過程を分子進化と呼んで区別していますが、本田研で創製したシニョリンの存在は、タンパク質が高度に機能するための不可欠な要件である固有の立体構造と協同的な構造転移という属性を化学進化の段階で獲得し得ることを示しています。

研究室ライフ

研究室の日常

本田研があるのは、つくばキャンパス内の「つくば中央第六事業所・6-1棟の5階」です。5階はすべて本田研ですので、ほとんどの実験をフロア内で行うことができるなろ、快適かつ効率的に研究が可能です。以下、研究室の日常を簡単に紹介します。

リサーチミーティング

毎週月曜日の午後に、各人の研究の進捗確認を目的として行っています。基本的に先生と二人で個別に行います。研究ノートを示しながら、進捗状況の説明、問題点の整理、今後の方針の確認を短い時間で効率的に行います。これらの作業は、ミスコンダクト対策のための研究トレーサビリティの確認の意味もあります。

ジャーナルクラブ

毎週水曜日の午前中(10:00~12:00)に、主に文献紹介を目的として行っています。研究室のメンバー全員参加です。当番の学生は、インパクトのある最新の論文を選ぶことが望まれます。各自のセンスが問われるところです。

セミナー

内外の専門家を招待して適宜講演会を開いています。自分の研究テーマのみならず、広く先端の知識を理解することは重要です。他の研究室主催のセミナーに参加することも良いでしょう。つくばキャンパスは広大ですので、常にどこかでセミナーが開催されているはずです。

学会発表

研究は研究室内だけでは完結しません。得られた成果を社会に還元することが重要です。そのための第一歩が学会での発表です。本田研が主に参加する学会は「日本蛋白質科学会」、「日本生物物理学会」、「The Protein Society (USA)」 です。

論文作成

一人前の研究者になるためには論文を執筆する能力が不可欠です。その習得には、実際に論文を書いて学ぶしか方法はありません。大学院の在学中に出来るだけ多くの論文を書いて、先生や先輩の批評してもらうことが上達の近道です。

研究環境

本田研究室の実験設備、分析装置等を紹介します。最適の研究環境で円滑な研究を進めることができます。

1人1台の実験台
1人1台のデスクとPC
精製用液体クロマトグラフィー装置
精製用液体クロマトグラフィー装置
表面プラズモン共鳴測定装置
表面プラズモン共鳴測定装置
円二色性分光測定装置
円二色性分光測定装置
蛍光分光測定装置
蛍光分光測定装置
分析超遠心装置
分析超遠心装置
動的光散乱装置
動的光散乱装置
赤外分光測定装置
赤外分光測定装置
光学顕微鏡
光学顕微鏡
自動分注装置
自動分注装置
分析用液体クロマトグラフィー装置
分析用液体クロマトグラフィー装置

在学生ひとこと

本田研は学生に比べて研究員の方が多く、落ち着いた環境で研究がすすめられます。わからないことがあったら研究室の方々に質問すれば、豊富な経験に基づいた丁寧なアドバイスを頂けます。また、本田先生とのミーティングが毎週あり、研究内容について頻繁に議論することができます。研究設備も整っていて、便利で自然豊かな環境の下、充実した研究生活が送れます。興味のある方は、研究所や研究室の様子を見るために、ぜひ一度本田研を訪問してみてください。(Y.Y.)

社会人に囲まれた環境に身を置くことで、日々成長を感じています。研究室の方々は皆優しく、分からないことがあれば丁寧に教えて頂けますし、本田先生と定期的にミーティングを行うことで、直接アドバイスを頂くこともできます。研究室の雰囲気や充実した研究環境を実感して頂く上でも、少しでも興味があれば見学することをおすすめします。(J.H.)

産総研は敷地がとても広く、研究者をはじめ、たくさんの職員が働いていらっしゃいます。守衛さんや食堂の職員の方などが、いつも快く挨拶をしてくださいます。本田研に学生はほとんどいませんが、先生や職員の方々が温かく、わからないことがあると親切かつ丁寧に教えてくださるので、日々充実した生活を送ることが出来ています。さらに、研究設備が整っている事や、研究者同士のお話を間近で聞ける事など、魅力がたくさんあります。(R.S.)

本田研で印象に残ることとして、学生が主体的に研究を行うことを重視していること、異なる専門分野をもったメンバーが所属していること、限られた時間で研究成果を出す意識が高いことが挙げられます。これらの環境を活かし、主体的に行動すれば、学生が自ら設定した研究課題から成果をあげることも可能です。また、大学とは異なる環境で研究を行うことは非常に良い経験になると思います。少しでも興味があれば見学をおすすめします。(S.O.)

本田研究室には産総研の職業研究者の方もいらっしゃるので他の研究室とは違った雰囲気の中、学生生活を送ることができます。長い間研究に携わってきた方々の知見を身近に感じることができ、深く包括的な知識を身に着けることができます。私は全く違う分野から専攻を変えてこの研究室に入りましたが、研究室の方々は皆優しく、分からないことがあっても一から丁寧に根気強く教えて頂くことができるため、基礎から着実に学ぶことができています。(M.S.)

産総研は社会人の方が多いため、「研究者として働く」 ことを意識しながら研究活動を進めることが出来る点、研究所全体の目的として産業応用を目指しているため、究内容を社会に還元出来る点が大きな魅力です。 研究については、長年研究に携わっている研究員の方や博士課程の方が基礎からとても丁寧に教えて下さり、他分野の人でも知識や技術を積み上げることが可能です。皆さん優しく声を掛けて下さる本当に良い雰囲気の研究室です。(N.H.)

二年の在学期間を通して、専門的な知識・技術を身に付けた研究員の方々とのディスカッション等を通して、自然に様々な角度で研究内容を見返したり、新たな知識を幅広く取り入れることができるなど、充実した時間が過ごせていると感じております。また、研究者(博士学生)にとって至極当然であるとは思うのですが、改めて研究の目的、プロセス、結果についての思考能力を養っていくことができているのではないかと思います。(M.T.)

本田研では学生が主体的に研究テーマを設定します。テーマの設定は難しいステップですが、 本田研には様々な研究のバックグラウンドを持ったスタッフがおり、議論を重ね ることで良い研究テーマを設定できると思います。スタッフの方々はとても親切で、 様々なアドバイスを頂けるので研究をする上でとても助かっています。 研究所周辺はお店が揃っており、生活しやすいと思います。研究に集中しつつリフレッ シュもできる良い環境です。(S.O.)

大学とは少し異なり、産総研で多数の学生を見かけることはあまりありません。研究活動を仕事としている方々に囲まれて生活を送ることは、自分も何年後かに社会人になるにあたり、とても参考になります。研究活動については本田先生と定期的に話し合いを行い、アドバイスを頂きながら行っています。研究室の雰囲気は、皆さん明るく、よく笑い声が響いています。わからないことなども、丁寧に教えて頂いています。(S.Y.)

本田先生の研究室には様々な専攻分野の方々がいらっしゃるので、幅広く深い知識を身につけることができます。またプロの研究員の方々の実験スキルも実際に目の当たりにすることができ、そこから得られる貴重な経験は自分が実験をしていく上で大変重要なものになります。研究室の方々はみなさんとても親切なので、研究室に来て実験をする毎日がとても楽しいです。少しでも興味を持たれた方はぜひ一度見学にいらして下さい。(R.O.)

ホームページを見て、少しでも興味を持つ内容があれば、本田先生のところに訪問することをお勧めします。そうすることで、この研究室で研究していくイメージに具体性を持たせることができると思います。私自身としても今後に向けて、多くの知的好奇心を満たし、充実した研究生活を送れると考えられる環境であると感じている今日このごろです。(M.T.)

本田研は、つくば市にある産総研の中にあります。研究室への通学には産総研の連絡便(無料)が使えて非常に便利です。研究をしていて分からないことがあっても職員や先生方が丁寧に指導してくれます。また、研究室には様々な専門分野の方がいるので自分の知らない分野の知識や技術も身に付きます。さらに、飲み会やセミナーなどの行事もあり、たくさんのことが吸収できる楽しい研究室です。(S.Y.)

奨学支援

産総研の諸制度を活用して、就学時間外の研究補助アルバイトや学会参加のための旅費を受領することが可能です。これは、東大の他キャンパス研究室の配属者が利用しているTA、RA制度に代わる支援策として機能しています。また、以下に例示する各種の他組織の制度を活用することで、大学院生の就学と研究活動を支援する体制を整えています。
> 産総研の連携制度
> 産総研リサーチアシスタント制度
> 日本学術振興会特別研究員制度
> 日本学生支援機構
> 東京大学奨学制度
> 茨城県奨学資金

進路

大学院卒業後の進路はさまざまです。民間企業に就職する人、ポスドクや留学生として更なる研究に邁進する人、大学・政府系研究機関のポストを得て転進する人などなどです。産総研では、人材育成、研究者の流動化促進、キャリアパスの多様化に向けて、公募情報の収集・提示など様々な支援策を講じています。非正規職員向けの雇用セミナーも企業の人事担当者をお招きするなどして定期的に開催しています。また、産総研は、実に多くの外部研究者を受け入れていることもあり(ポスドク約650名、企業から約800名、大学から約2000名、海外から約850名)、さらには民間企業と共同研究等も盛んなことから、非公式な求人情報に触れる機会も少なくないでしょう。

本田研の先輩の卒業後の主な進路
> 製薬企業、大学病院、大学、公的研究機関、金融機関

もちろん、産総研の研究者として働くことも可能です。産総研への就職に関しては、以下を参照ください。また、毎年冬に行われる産総研就職セミナー・見学会への参加もお勧めします。
> 産総研で働く

つくばキャンパス

つくばキャンパスはどこ

つくばキャンバスの広さは約80万m2(東京ドームの約17倍)。ここで、およそ5000人の研究者が最先端の研究を日夜進めています。
> Googleマップでみる

キャンパス周辺

筑波研究学園都市は、約300に及ぶ研究機関・企業と約1万3千人の研究者を擁する世界有数の学術・研究都市です。首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線(TX)の開通により、街としての賑わいも増してきました。
> つくば市
> つくば国際会議場(エポカルつくば)
> つくば文化振興財団
> つくばクレオスクエア
> LALAガーデンつくば
> イオンモールつくば

交通

TXが開通し首都圏との時間距離は縮まりましたが、つくば域内の移動は自動車が中心です。世帯あたりの自動車保有台数は2台を超えるそうです。市内中心部においては片側2~3車線が確保されていますが、最近は渋滞が目立つようになりました。
> つくばエクスプレス
> 関東鉄道ウェブサイト
> つくバス

研究リンク

> 日本生物物理学会
> 日本蛋白質科学会
> The Biophysical Society (USA)
> The Protein Society (USA)
> 計算蛋白質科学研究会