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先進パワーエレクトロニクス研究センター

SiCパワーデバイスチーム
 SiCパワーデバイスチームでは、(1)超低損失SiCパワーデバイスの開発、(2)超低損失SiCパワーデバイス作製のための要素技術開発、(3)SiCパワーデバイスの信頼性評価、の三つのテーマで研究開発を進めています。

研究項目


関連する国家プロジェクト

  1. 「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」

     次世代自動車などのインバータ(電力変換装置)などに広く用いられるパワー半導体について、Si(シリコン)に比べ大幅な省エネを実現するSiC(シリコ ンカーバイド)の研究開発を実施します。具体的には、大口径・高品質のウエハを安定的に供給する技術、鉄道などの高電圧領域(1kV〜3kV)で使用するデバイスの開発を行います。この研究開発により、グリーン・イノベーションの取組を強化するとともに、世界をリードする成長産業の創出を目指します。SiCパワーデバイスチームでは、高電圧SiC-MOSFETの開発を担当しています。

  2. 最先端研究開発支援プログラム「低炭素社会創成へ向けた炭化珪素(SiC)革新パワーエレクトロニクスの研究開発」

     本研究開発プログラムでは、超高耐圧SiCパワー半導体の実用化により、電気エネルギーの有効利用、ひいては、環境負荷低減を実現することを目指す基盤技術の研究開発を行います。
    SiCパワーデバイスチームでは、超高電圧電力変換器の核となるSiC-IGBT及びSiC-PiNダイオード(何れも10kV超級)の開発を担当しています。


研究概要

IE-MOSFET(Implantation Epitaxial MOSFET)

 従来のSiC縦型パワーMOSFETは、MOSゲートを形成するSiO2/SiC界面におけるチャンネル移動度が低いため、オン抵抗が期待よりも遥かに高かった。この問題を解決するために開発したのがIEMOSFETである。従来構造とは異なりMOSゲート領域を形成するのに、イオン注入(Implantation)後にエピ膜堆積膜(Epitaxial growth)を行うことにより、チャネルの結晶性向上と低濃度化に成功した。更に(000-1)カーボン面で高移動度MOS形成技術を開発することにより、耐圧660Vで極めて低いオン抵抗1.8mΩcm2を達成した。現在、大容量化、高信頼性、量産技術開発など実用化に向けた技術開発中である。



図1 IEMOSFETの構造図


図2 IEMOSFETの電気特性

SiC-BGSIT(SiC Buried Gate Static Induction Transistor)

 SiC静電誘導型トランジスタ(SiC-SIT)は、MOSFETのような酸化膜/半導体界面が存在しないため、低オン抵抗と高信頼性を両立した理想的なパワースイッチング素子である。しかし、これまで電圧型インバータに一般的に用いられてきたノーマリオフ型の素子開発が困難であったため、その実用化が遅れてきた。当チームでは、産総研において新たに開発したプロセス技術を活用することにより、超低オン抵抗埋込ゲート型SiC-SIT(SiC-BGSIT)の開発に成功し、更に素子設計の最適化によりノーマリオフ特性を実現した。現状で、ノーマリオン型として1,200V, 35A (RonA =1.8mΩ・cm2)、ノーマリオフ型として1,000V, 35A (RonA = 1.8mΩ・cm2)のSiC-BGSITの試作に成功している。


図3 SiC-BGSITの構造図

図4 ノーマリーオフ型SiC-BGSITの静特性

SiC-PiNダイオード

 SiC-PiNダイオードは3kVを超える高電圧用途(配電系統、高速鉄道等)において、超低損失パワーダイオードとしての活用が期待されている。3kVを超えるような高耐圧素子を実現するためには、チップ端における耐圧構造を工夫する必要がある。産総研では、メサ構造とJTE(Junction Termination Extension)構造を組み合わせた耐圧構造を最適化することにより、7kVを超える耐圧を有するSiC-PiNダイオードの開発に成功した。産総研において開発した高耐圧SiC-PiNダイオードは、産学官共同研究において高電圧・大容量の電力変換器試作に活用されると共に、本素子構造を元に最先端研究開発支援プログラムにおいて超高耐圧(>10kV)SiC-PiNダイオード開発へ展開する計画である。


図5 SiC-PiNダイオードの構造

図6 高耐圧SiC-PiNダイオードの静特性

UMOSFET

 これまでのSiC-MOSFET開発でオン抵抗の低減に成功したが、競合するSiデバイスはトレンチゲート、IGBT、スーパージャンクションなど構造開発により理論限界を超えたオン抵抗低減が進んでいることから、SiCの実用化のためには、現在開発中のIEMOSFETに次ぐ、次世代MOSFETの開発を進めておく必要がある。トレンチゲートであるUMOSFETはプレーナーMOSFETに比べてセルピッチが縮小でき次世代構造として期待されているが、基板オフ角により、トレンチ面の方位により特性がばらつくこと、トレンチ底の酸化膜に高電界がかかるなどSiC特有の問題があった。現在、この問題を解決するため微傾斜基板を用いた六角セルUMOSFETを開発中である。




図7 UMOSFETの電気特性

Super Junction

 SiCの物性限界を超える更なるオン抵抗の低減を目指し、スーパージャンクション(Super Junction : SJ)構造を有するSiC-SJデバイスの開発を進めている(図8)。SJ構造とはpn接合が横方向に交互に配置されていることに大きな特徴があり、作製上の困難さからこれまでSiCを用いたSJ構造形成の試みはなかった。当センターではこれまで培った各種のプロセス技術(トレンチ形成技術(図9)、エピ成長技術、イオン注入技術ら)を駆使し、世界に先駆けSiCにおけるSJ構造の形成に挑戦している。


図8 SJ構造によるオン抵抗低減効果   



図9 深いトレンチ形成(t〜7um)

ゲート酸化膜形成プロセス

 高チャネル移動度、高信頼性を両立させた新規SiCゲート酸化膜形成法の開発を行っている。コールドウォール型の超高温酸化炉(株式会社アルバック、アルバック理工株式会社との共同開発)では1400℃以上という極めて高温での酸化膜形成および各種雰囲気中での熱処理が可能である(図10)。また、超高濃度オゾンガスを利用したSiC上への熱酸化膜形成法および表面クリーニング法の開発(株式会社明電舎との共同開発)を進めている。


図10 超高温コールドウォール酸化炉

MOS構造の信頼性評価

 MOSFETを基幹構造としたSiCパワーデバイスの実現に向けた高信頼性SiC MOS界面構造の開発を行っています.Siデバイスに比べて高温・高電界下での安定動作が要求されるSiCデバイスでは,Si MOS界面構造よりも高い信頼性を有するSiC MOS界面形成技術の確立が必要となります。我々はSiC MOS界面構造の高信頼性化技術の確立を目指し,SiC酸化膜形成プロセスの開発,SiC酸化膜の絶縁破壊メカニズムの解析,信頼性評価装置(図11)の開発等に取り組んでおります。



図11 SiC酸化膜信頼性評価装置





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