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先進パワーエレクトロニクス研究センター

ダイヤモンド材料チーム

研究チーム紹介

 ダイヤモンドは、高い絶縁破壊電界(10MV/cm)や、物質中最高の熱伝導率(20W/mK)を有するなど、次々世代のパワーエレクトロニクス材料として期待されています。関西センター(大阪府池田市)に拠点を置く当研究チームは、ダイヤモンドの実用化に必須となる単結晶ウェハ開発を軸としたダイヤモンド材料技術(結晶成長、加工、評価)の研究開発を行うとともに、 つくばセンターのダイヤモンドデバイスチームと協力しながら、ダイヤモンドの優れた材料物性を生かした耐環境素子やヒートシンク等の将来用途開拓を進めています。

コア技術

 ダイヤモンド材料チームは、これまでに以下のコア技術を開発し、単結晶では0.5インチ、単結晶接合型(モザイク)では2インチ大のウェハを実現しています。これら一連の技術[1]は、産総研技術移転ベンチャーとして発足した(株)イーディーピー(http://www.d-edp.jp/) により製造技術として実用化されています。

 1.高速バルク結晶成長技術
 
マイクロ波プラズマCVD法によるダイヤモンド合成において、微量窒素の添加とプラズマ集中により、毎時100μmを超える高速成長を実現し[2]、最長で17oの厚さのダイヤモンドを合成することに成功しています。

 2.ダイレクトウェハ化技術
 図1に示すように、イオン注入を利用して、種となるウェハ(種ウェハ)上に成長したダイヤモンドだけを分離する技術[3]です。種ウェハは僅かしか消耗しないため、プロセスを繰り返すことにより、1枚の種ウェハからウェハを大量製造することが可能です。本技術は、低欠陥基板の作製にも適用できます[4]。


N型結晶


N型結晶
図1 (上)ダイヤモンドウェハ化プロセスを利用したダイヤモンドウェハ作製工程 (下)ダイレクトウェハ化プロセスにより分離したウェハと種結晶

 3.接合(モザイク)ウェハ
 ダイレクトウェハ化により、同一の種結晶から作製した「コピー」ウェハは、オフ角が厳密に一致していることから、これらを成長により接合すると、マクロな欠陥のない接合境界を有する実質的に1枚とみなせる接合(モザイク)ウェハを作製できることを見出しました[5]。これにより、ウェハサイズを飛躍的に拡大することが可能になりました。

N型結晶
図2 接合型ダイヤモンド単結晶ウェハ(40×40mm2)

 4.低損失パワーダイオード
 250℃で高速動作・低損失のショットキーバリアダイオードを開発しました[6-8]。X線、γ線などが発生する厳しい放射線環境下でも破壊しない特徴があります。

N型結晶
図3 ダイヤモンドショットキーバリアダイオード

研究概要

 ダイヤモンド材料チームでは、上記コア技術をベースとして、以下の研究開発を行っています。

 1.ダイヤモンド単結晶ウェハ開発
 (1)バルク結晶成長技術開発
  インチ級の単結晶ウェハ実現を目指し、気相合成法によるバルク結晶成長技術を開発しています。
 (2)大面積合成技術の研究
  合成面積や成長速度改善を目指し、新規合成方式の検討などを行っています。
 (3)低抵抗化
  縦型パワーデバイスに必要となる低抵抗ウェハ実現に向け、熱フィラメントCVD法を用いた高濃度ドー ピング技術の研究を行っています。
 (4)ウェハ化加工技術
ダイヤモンドのウェハ化に必要となる、研摩やドライエッチングなどの結晶加工技術の研究を行っています。
 (5)結晶欠陥評価技術
ウェハの品質評価を目的として、放射光X線トポグラフ、複屈折、TEM、エッチピット評価など結晶欠陥評価に関する研究を行っています。

 2.ダイヤモンドの将来用途開拓
 (1)耐環境半導体素子
  デバイスの高温動作や高い放射線耐性などを生かした耐環境半導体素子の開発や、放射線検出器用 材料としてのダイヤモンドの研究を行っています。
(2)多結晶ダイヤモンドコーティング
  マイクロ波と熱フィラメントCVD法による多結晶ダイヤモンドコーティングが可能で、ダイヤモンドの優れ た物性(高熱伝導性、高硬度など)を生かしたアプリケーションの探索を行っています。

成果(プレスリリース等)

[1]茶谷原昭義、杢野由明、坪内信輝、山田英明「単結晶ダイヤモンド・ウェハの開発」Synthesiology, 3 (2010) 272-280
[2]「気相合成法による大型ダイヤモンド単結晶合成技術を開発」(2004年3月23日)
リンク:http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20040323/pr20040323.html
[3]「大型単結晶ダイヤモンド・ウェハ製造技術を開発」(2007年3月20日)
リンク:http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070320/pr20070320.html
[4]「ダイヤモンドウエハーの低欠陥コピー技術を実証」(2014年9月29日)
リンク:http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20140929/nr20140929.html
[5]「大型単結晶ダイヤモンドモザイクウエハーを作製」(2010年3月1日)
リンク:http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100301/pr20100301.html
[6]「高温で動作するパワーデバイス用の新しい素子を開発」(2009年1月8日)
リンク:http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090108/pr20090108.html
[7]「ダイヤモンドパワーデバイスの高速・高温動作を実証」(2010年9月8日)
リンク:http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100908/pr20100908.html
[8]「高速・低損失なダイヤモンドパワーデバイスの高温動作を実証」(2012年12月25日)
リンク:http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2012/nr20121225/nr20121225.html
[10]第45回(2018年秋季)応用物理学会講演奨励賞 受賞(2018年12月11日)
リンク:https://www.jsap.or.jp/young-scientist-presentation-award/recipients45
[11] 大曲主任研究員の論文が、米国応用物理学会速報誌(Applied Physics Letter)に採択され、Editor’s pickに選ばれました。Appl. Phys. Lett. 114, 082104 (2019)
リンク:https://aip.scitation.org/doi/10.1063/1.5085364
[12] 「世界初、ガスからクラックのない1立方センチ級単結晶ダイヤモンドの作製に成功」(2019年3月20日)
リンク:https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20190320/pr20190320.html
[13] 「ダイヤで究極の半導体 宇宙でも高性能」(2019年6月7日)日本経済新聞電子版:日本経済産業新聞に紹介記事が掲載されました。
リンク:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45765800W9A600C1X90000/




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