−環境動態モデリングの基礎−



  化学物質のヒトの健康や環境生態系へのリスクを評価し,適切に管理するには,環境への化学物質の排出源からヒトや環境生物に到達するまでの主要な化学物質の輸送・移動過程を確認することが重要です。 私が現在所属している化学物質リスク管理研究センターでも大気,河川,海域等のシミュレーション用モデルを公開しており,利用された方も多いと思いますが,一般にはヒトや環境生物に到達するまでに化学物質は複数の環境媒体(大気,土壌,水,生物等)間を移行し,様々な経路から暴露を生じます。このような媒体間の移行を考慮するにはマルチメディアモデルが有用で,MackayのFugacity Modelはシンプルですが,代表的なマルチメディアモデルです。しかし,モデルで考慮されている様々な媒体間の化学物質の移行過程について系統立てて解説したものは少ないのが現状です。
  このホームページでは,マルチメディアモデリングの基礎を成す環境媒体間の移行課程を中心に随時解説していきます。




   第1回:大気中における動態(1),大気浮遊粒子への吸着,Junge式の導出

  化学物質は大気中ではガスとして存在する他,大気中の浮遊粒子にも吸着されます。化学物質のガス態と浮遊粒子吸着態としての存在比率はJungeの式で推定されることが多いのですが,今回はこの式の理論的な導出について解説します。

数値に一ヶ所間違いがありましたので訂正しました(2005.11.10)。
(訂正箇所:図の2行上の文章の"100 Pa"を"0.01 Pa"に訂正)


   第2回:大気中における化学物質の動態(2) 大気浮遊粒子への吸着,粒子/空気分配係数


   第3回:大気中における化学物質の動態(3) 大気浮遊粒子への吸着,モデルの比較


   第4回:大気中における化学物質の動態(4), 大気中化学物質の沈着(その1)


   第5回以降:順次公開










ご意見・ご質問がありましたら,吉田(k-yoshida@aist.go.jp)までご連絡下さい。


このページは蒲生吉弘さん,手口直美さん,酒井めぐ美さんの協力で作成しています


化学物質リスク管理研究センター

独立行政法人 産業業技術総合研究所