Outreach Activities in November
ILSIジャパン主催 リスクアナリシス・ワークショップ参加

11月15日東京で開催された、特定非営利活動法人日本国際生命科学協会(ILSIジャパン)主催、第1回リスクアナリシス・ワークショップにCRMより、リスク解析研究チームの小倉勇研究員およびリスク管理戦略研究チームの小野恭子研究員が参加し、それぞれコプラナーPCBとカドミウムのリスク研究について発表した。

ILSIジャパンは、ワシントンに本部を持つ国際生命科学協会(International Life Science Institute, ILSI)の日本支部である。ILSIは、1978年の設立以来、バランスの取れた科学の発展を通じ、人々の福祉の向上を目指す非営利の国際的な財団として活動している。その活動の目的は、学術界、行政機関および産業界の研究者を一堂に集めることによって栄養、食品安全、毒性学、リスクアセスメント、および環境に関する科学的な問題に対する理解を深めることにある。

今回のワークショップは、ILSIの研究財団のひとつであるリスクサイエンス研究所(Risk Science Institute, RSI)の事務局長Dr. Penelope Fenner-Crispを迎え、日本における食品安全のためのリスクアセスメント・トレーニングの必要性について検討することを目的に開催された。RSIは化学物質のリスクアセスメントの方法論や手法に関する研究を米国環境保護庁(EPA)やカナダ健康省と共同で推進すると共に、FAO、WHOなど国際機関とともに、リスクアセスメント・トレーニングのプログラムを世界的に展開してきている。

出席者の多くは、食品産業界を中心に行政機関を含め、食品や化学物質の安全性に関わる担当者であった。小倉研究員、小野研究員からは、発生源解析を中心としたコプラナーPCB、カドミウムの環境リスク評価研究について発表があったが、共に食品中に含まれる可能性のある汚染物質として、参加者には非常に興味のある講演内容であった。

ワークショップの最後のプログラムとして、講演者によるパネルディスカッションが行われたが、食品のリスクアセスメントを担当する独立した機関「食品安全委員会」が来年内閣府に新設されることを視野にいれ、今後、日本で必要となる専門家の育成について活発なディスカッションが展開された。

ILSIジャパンは、2003年以降、リスクアナリシス・トレーニング・プログラム展開することを目指しており、ILSIジャパンのトレーニング・プログラムに対するCRMの貢献が今後も期待されている。

プログラム

特定非営利活動法人 日本国際生命科学協会(ILSI Japan)

第1回 リスクアナリシス・ワークショップ
食の安全のためのリスクアセスメント
我が国におけるトレーニング・ニーズ

2002年11月15日
東京芸術劇場 5階 中会議室

ワークショップ・コーディネーター
ILSI Japanサイエンティフィック・アドバイザー
武居綾子


1. 開会挨拶 9:20〜9:30
特定非営利活動法人 日本国際生命科学協会 
理事長 木村修一

2. ILSI Framework for Global Food Risk Assessment Training 9:30〜10:30
ILSIリスクサイエンス研究所 
事務局長 Penelope A. Fenner-Crisp

3. ワークショップの目的について 10:30〜10:50
ワークショップ・コーディネーター 武居綾子

4. 日本における食品安全のためのリスクアセスメント ‐ 現状と課題 

1) 食の安全におけるリスクアナリシスの役割
国立医薬品食品衛生研究所 化学物質情報部 10:50〜11:20
      情報第一室長 関澤 純

2)新規毒性の検索 − 内分泌かく乱作用 11:20〜11:50
(財)残留農薬研究所 毒性第一部生殖毒性研究室
室長 青山博昭

昼  食 11:50〜13:00

4. 日本における食品安全のためのリスクアセスメント ‐ 現状と課題(続き) 

3)汚染物質のリスクアセスメント:カドミウム 13:00〜13:20
(独)産業技術総合研究所 化学物質リスク管理研究センター
   研究員 小野恭子

4)汚染物質のリスクアセスメント:コプラナーPCB 13:20〜13:40
(独)産業技術総合研究所 化学物質リスク管理研究センター
   研究員 小倉 勇

5)食品添加物のリスクアセスメント 13:40〜14:10
実践女子大学 教授 西島基弘

6) 食品における微生物学的リスクアセスメント 14:10〜14:40
東京都立衛生研究所 微生物部細菌第一研究科真菌室
       主任研究員 藤川 浩

7)食品産業界におけるリスクアセスメントへの課題 14:40〜15:10
  (財)日本冷凍食品検査協会
   検査事業本部 部長 新宮和裕

休  憩 15:10〜15:30

5. パネルディスカッション:トレーニング・ニーズ 15:30〜17:00

パネリスト: Penelope A. Fenner-Crisp、関澤 純、青山博昭、小野恭子、
小倉 勇、西島基弘、藤川 浩、新宮和裕、
峯孝則(ILSI Japan食品安全部会長)

コーディネーター: 武居綾子

6. 閉会                           17:00


化学物質リスク管理研究センター

独立行政法人 産業業技術総合研究所