研究部門長 八瀬 清志

2000年のクリントン米国大統領の国家ナノテクノロジーイニシアティブ(NNI)の宣言から始まった「ナノテクノロジー」に関する世界的な研究競争は10年を経て、より現実的な実用化に向けた研究開発が進められるようになっています。つまり、不安定なトップデータから再現性に優れたプロセス技術が要請されるようになってきました。10-9メートル(10億分の1メートル)のサイズの光電子機能性分子およびナノ粒子、カーボンナノチューブなどのナノ材料や高分子、タンパク・酵素などのソフトな材料の個々の機能を活かし、現実的なインターフェースとして利用可能なマイクロ〜ミリメートルのメゾスコピック領域の大きさの集合体、すなわちナノシステムとしてのデバイスに活かしていくことが重要です。そのため、本ナノシステム研究部門においては、原子・分子レベルからメゾスコピック・サイズの構造・物性の制御からセンサー、メモリー、表示素子などの高機能・高性能かつ実用可能なデバイスを生み出す経路を個々のシーズ技術のシステムとしてとらえ、原子・分子集合体の機能を最大限に発揮させるため、計算・シミュレーションに基づき、より低消費電力、省エネルギーのプロセスを用いて実現できるよう原理的に解明していきます。
また、産総研における基礎と応用を結びつける本格研究の観点として、社会ニーズと個々の研究者のシーズを横断的に融合・連結する仕組みとしての「テクノロジーブリッジ」とも呼ぶべき橋渡しに重きを置いた研究開発を行います。
社会ニーズとしての材料・プロセスの革新はもとより、環境・エネルギー分野、情報通信・エレクトロニクス分野やライフサイエンス分野でのナノ材料・プロセスでのブレークスルーを担うべく、高いポテンシャルを有する研究者とまい進していきたいと考えています。そのためにも、産総研内外の研究機関、企業の方々との連携が重要なことは言うまでもありません。
基礎研究と製品化研究の間にあるといわれる「死の谷」にテクノロジーブリッジとしてのナノシステム研究部門が仲立ちをすることで、乗り越えていきたいと思っています。ここに新しい研究ユニットとしてのナノシステム研究部門の紹介をさせていただいています。皆さんからのコメント、ご意見を賜れば幸いです。
2010/4/1
- 住
所 : 〒305-8565 茨城県つくば市東1-1-1中央第5
- E-mail : k.yase[at]aist.go.jp
- URL : http://staff.aist.go.jp/k.yase/
- 着
任 : 平成22年4月1日
更新日:2010/04/01