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糖鎖解析を加速する超高感度で迅速なスキャナーの開発

 分子細胞マルチオミクス研究グループのBoottanun Patcharaporn産総研特別研究員、岡谷千晶主任研究員、久野敦研究グループ長らの研究グループは、(同)エムックの山田雅雄博士らと共同で、糖鎖プロファイリングのための超高感度で迅速なスキャナーを開発しました。

 産総研は、エバネッセント波励起蛍光検出法による糖鎖プロファイリングシステムを開発してきました[1]。今回、本システムをベースにした改良型アレイスキャナーを開発し、旧型より短時間で感度・精度・再現性に優れた分析を可能としました。改良型は10倍高感度な検出系を採用することで、旧型の4倍以上の感度を保持しつつ、トレードオフの関係にある10倍高速化にも成功しました。培養細胞3個、あるいはホルマリン固定パラフィン包埋組織標本の組織片(5 μm厚、0.1 mm2;体積で約60細胞相当)から糖鎖プロファイルを取得可能です。これにより、組織標本の微小領域に含まれる細胞集団間における糖鎖の違いを明らかにすることが可能となり、疾患に関連した糖鎖を創薬に利用する「糖鎖創薬」の加速化に貢献すると期待されます。

 本研究により共同開発したアレイスキャナーは、現在(同)エムックより市販されています[2]

新型エバネッセント波励起蛍光スキャナー(GSR2300)および旧型(GSR1200)による糖タンパク質(A、B)および組織標本(C)の糖鎖プロファイリング解析

糖鎖プロファイリング解析

共同研究企業

合同会社エムック

投稿論文

  • 論文タイトル:An improved evanescent fluorescence scanner suitable for high-resolution glycome mapping of formalin-fixed paraffin-embedded tissue sections
  • 著者:Patcharaporn Boottanun, Chiaki Nagai-Okatani, Misugi Nagai, Umbhorn Ungkulpasvich, Shinjiro Yamane, Masao Yamada, Atsushi Kuno.
  • 雑誌:Analytical and Bioanalytical Chemistry (2023年7月3日オンライン公開)

参考

  1. アレイ技術によって糖鎖の精密プロファイリングスキャナーを開発(産総研HP)
  2. 糖鎖プロファイラー GlycoStation Reader 2300(GSR2300)は、わずか3個の細胞からその糖鎖プロファイルを取得することが可能(合同会社エムックHP)

謝辞

本研究はAMED 糖鎖利用による革新的創薬技術開発事業(課題番号:JP20ae0101021h0005)の支援を受けました。

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