太陽炉は太陽光を集光して高温を発生させる装置です。太陽炉が日本で初めて作られたのは名古屋工業技術試験所で1953年のことでした。この太陽炉は直達式(直接太陽光を集める方式)太陽炉で、アルミニウムの削りだし放物面鏡に加工したものを用い、最高到達温度は約2000℃でした。これを使用して、無機酸化物の溶融合成を行いました。当時、2000℃以上の高温を発生する装置はほとんどなく特に、溶融場での雰囲気制御や温度測定のできる装置はありませんでした。その後、さらに研究を重ね1956年には、3500℃以上の超高温を発生させることができる、光軸水平式ヘリオスタット型の太陽炉を完成させました。この太陽炉は、補助平面鏡で太陽を追尾し室内にある放物面鏡で集光する装置です。また、この太陽炉で2000℃以上の超高温を測定する為の太陽炉用高温輝度温度計の開発を行いました。さらに、この輝度温度計を用いて、金属酸化物の高温での状態図の研究を行ってきました。 特に、酸化アルミニウム・酸化ランタノイド系の状態図については、ほとんどすべての組合わせを網羅しています。これらの成果は米国セラミックス学会発行の“Phase Diagrams for Ceramist” ( セラミストのための相図 ) シリーズに載録されています。 |