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活断層・地震研究センターセミナーは研究者間の意見交換,議論を目的とした公開のセミナーです.一般の方でも聴講可能ですが,内容は専門家向けです.産総研では立ち入りに手続きが必要ですので,外部の方で聴講を希望される場合,予め問い合わせフォーム(右上のリンク)からご連絡ください(報道,行政機関の方は,所属もお知らせ下さい).折り返し,当日の入館手続きをご連絡させていただきます.

第132回 5月18日 (金) 13:30−15:30 場所:別棟大会議室
震源カタログの特徴

講演者:石川有三(地震地下水研究チーム)

震源データは,カタログとして一旦まとめられるとそこにある数値は盲目的に信用されてしまう傾向がみられる.しかし,実際の数値は,限られた数の観測データから誤差や誤りを含んだまま処理された結果であり,必ずしも正しいとは限らない.震源カタログの特徴は,それぞれのカタログによって異なっており,それぞれの特性を知った上で使わないと誤った解析をしてしまう.例えば,期間の長い気象庁震源カタログは,地震観測網の変遷の影響や処理手法の変更などの影響を受けている.いくつかの震源カタログの特徴を示し,用いる上での留意点などを解説する.


第131回 5月15日 (火) 13:30−15:30 場所:別棟大会議室
講演1 13:30−14:30

2004年インド洋津波堆積物の堆積学的特徴

講演者:松本 弾(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

 現世津波堆積物の堆積学的特徴は,地層から過去の津波堆積物を識別する際に重要である.そのため,タイの海岸低地とスリランカのラグーンにおいて2004年インド洋津波が形成した堆積物の調査を行った.その結果,津波堆積物の分布や層厚・粒度,内部構造などの特徴を示し,それらから遡上流の水理挙動や堆積過程を推定した.またシミュレーションを用いて堆積物の層厚・粒度と遡上流の水理量との関係について定量的な考察を行った.

講演2 14:30−15:30

沖積層から検出されたオフフォールトイベントの発生年代に基づく大地震の発生履歴の復元と古地震研究上の意義

講演者:丹羽雄一(東京大学大学院新領域創成科学研究科)

 大地震が発生すると,断層直上において断層がずれるだけでなく,断層から離れた地点では土地の隆起や沈降,液状化,堆積物重力流などが発生し得る.従って,古地震履歴をより正確に解明するで,断層変位だけでなく,断層から離れた地点で生じる現象,いわゆるオフフォールト古地震学的情報にも着目することが重要である.本発表では,濃尾平野の堆積物コアの解析から,地震沈降に着目して行ったオフフォールト古地震学的研究の成果を紹介する.


第130回 5月14日 (月) 13:30−15:30 場所:別棟大会議室
講演1 13:30−14:30

2010年El Mayor-Cucapah地震における高周波数地震波放射

講演者:内出崇彦(京都大学防災研究所)

 2010年4月4日にメキシコ北西部バハ・カリフォルニア州で発生したEl Mayor-Cucapah地震(M 7.2)を,低周波数側を断層すべりインバージョン法,高周波数側をバックプロジェクション法によって解析し,両者を時空間的に比較した.
その結果,高周波の地震波放射はすべり速度がピークになる場所・時間では見られず,その初めや端でよく見られた.
 高周波地震波は破壊伝播速度の変化によってよく放射されることを踏まえると,高速すべりの最中には破壊伝播速度は安定していることが推測される.

講演2 14:30−15:30

東北日本下のスラブ内地震の発生機構および北海道日高地域下の地震波速度構造

講演者:北 佐枝子(東北大学地震・噴火予知研究観測センター)

 スラブ内地震については,1.稠密地震観測網によるデータを用いた震源決定結果から見出した太平洋プレート内の二重深発地震面の上面中の上面地震帯の空間分布と成因について,2.太平洋スラブ内で応力場の中立面と過去のスラブ内大地震の破壊域との関係を発表する.北海道日高地域下の地震波速度構造については,推定した速度構造と,この地域での過去の内陸大地震の位置,地質・岩石学的特徴との関係について発表する.


第129回 5月11日 (金) 15:00−16:00 場所:別棟大会議室
新潟県南部地域における地震動・微動・GPS観測

講演者:吉見雅行(地震災害予測研究チーム)

 はじめにJNES請負による観測を紹介します.後半に微動アレイ探査結果を報告します.
 新潟南部の丘陵地帯を中心とする13地域(東西50km 南北15km程度の範囲)にて微動アレイ探査を行いS波速度構造を推定した.
アレイ半径は300,1000,3000 m程度の3つとし,それぞれ正三角形の頂点と重心からなる4点アレイとした.1地域あたり12測点にLE-3D/5sを同時展開し,10日間以上の微動記録を収録した.また最大半径のアレイでは広帯域地震計でも5日間以上の観測を実施した.
 長時間観測の利点を生かし,0.05 Hz程度の低周波数帯までコヒーレンスの取れるデータを用いて位相速度を求めた.幾つかの地点では0.1Hz未満の周波数帯域でも位相速度が求まった. 観測位相速度を既存地下構造モデル(JNES,2005;2008,産総研,関口・他,2009)の理論位相速度と比較した.モデル間のバラツキが大きいが,周波数0.2-0.3 Hz以上の帯域で観測値が理論値と整合するモデルも見受けられた.
 観測位相速度を基に,山中・石田(1995)の遺伝的アルゴリズム(GA)を用い1次元速度構造を探索した.探索対象とするS波速度構造は,産総研の速度構造モデル(関口・他,2009)で採用した層構造を参考に,S波速度0.4km/sから2.8km/sまでの堆積層およびグリーンタフ相当の13層と,S波速度3.3km/sの基盤岩,さらに下部地殻相当の3.8 km/sの層の合計15層からなるものとした.
推定された1次元S波速度構造の基盤深度は2km程度から8km程度である.観測網西側(柏崎平野付近)にて基盤深度が浅く,観測網中部(十日町盆地〜東山丘陵)で基盤が深く,観測網東部(六日町盆地)で浅いという地下構造の大局的な特徴は既存地下構造モデルと整合するものであった.

謝辞:これら一連の研究観測はJNESの請負研究によるものです.


第128回 5月9日 (水) 15:00−16:00 場所:別棟大会議室

Lost in Translation Approximating Geological Complexity in Idealized Models of Fault-Zone Processes

講演者:Alan Rempel (University of Oregon)

Our understanding of fault-zone processes has benefited from an impressive breadth of complementary research techniques that engage the efforts of field geologists, experimentalists, seismologists, geodesists and modelers. A challenge in synthesizing the results of these studies involves reconciling the motivations, viewpoints, and terminology of specialists in these different fields.
In an effort to elucidate the central operating mechanisms, mathematical models are commonly constructed that blend differing degrees of physical insight with extremely idealized treatments that neglect most of the complexities in natural geologic settings. In some cases, omissions are intentional, in others they are the product of ignorance. I discuss how my collaborators and I are attempting to account for geological complexity in simple models of fault-zone behavior, with a particular focus on understanding how frictional rheology and pore fluids influence both the maximum temperature rise during earthquakes, and the conditions necessary for slow-slip transients in a subduction melange.


第127回 4月27日 (金) 15:00−16:00 場所:別棟大会議室
砺波平野断層帯西部の活動履歴

講演者:丸山 正(活断層評価研究チーム)

法林寺断層と石動断層からなる砺波平野断層帯西部(富山県)の活動履歴調査を実施した.古地震の発生数と時期が十分解明されていない法林寺断層では,約5,600年前以降少なくとも2回のイベントを含む複数回の古地震活動を認定した.完新世の活動に関する情報が得られていなかった石動断層では,同断層のバックスラストにより縄文中期後半の土器片を包含する地層が変位していることを確認した.


第126回 4月20日 (金) 15:00−16:00 場所:別棟大会議室
東海地震予知について研究者としてなすべき事は何か?

講演者:小泉尚嗣(活断層・地震研究センター)

大規模地震対策特別措置法(1978年)に基づいて行われている東海地震予知事業に,産業技術総合研究所(旧地質調査所)は事業開始当初から参加し,地下水観測分野を担当して現在に至っている. 2003年の気象庁発表資料によって,「前兆滑り」シナリオに依存して地震予知情報を出すことが示される一方,前兆すべりが事前に検出できない場合は「地震は予知できない.」ことも明示されることとなった.したがって,理屈の上では,「前兆滑り」シナリオに基づく地下水等異常を迅速に検出することが,事業分担者(主に地震地下水研究チーム)の第一義的な責任ということになる.他方,地震発生過程において,「前兆滑り」シナリオが唯一のシナリオではないことが明らかである以上,「前兆滑り」シナリオのみに依存した研究業務を行うことは研究者として適切かという議論もあるだろう.
 本セミナーでは,東海地震発生可能性を事実上判定する機関である地震防災対策強化地域判定会の様子も紹介した上で,東海地震予知について研究者としてなすべき事を率直に議論したい.



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