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センター長 ご挨拶
2012年4月2日
活断層・地震研究センター長  岡村 行信

 大震災から1年あまり経過し,地震後の衝撃と混乱の状況から落ち着きを取り戻しつつありますが,一方で,震災からの復興や,新たな地震の想定など,課題も明確になってきました.3月31日には南海トラフの巨大地震モデルとその発生に伴う揺れと津波予測が内閣府から公表されました.南海トラフで発生する地震規模をマグニチュード9まで引き上げたことから,地震動も津波も今までにない規模になりました.従来は,過去の観測や記録に基づいて最大規模を想定していました.しかしながら,新たな南海トラフ巨大地震のモデルは地球物理学的な知見なども全て考慮して,発生する可能性が否定できない最大規模の地震を想定しています.東北地方大震災を受けて,地震及び津波想定の考え方を大きく変えた結果です.

 ここで,地質学をベースとした過去の地震研究の役割を改めて考え直す必要が出てきました.私たちは過去の地震の記録を見つけ,地震を再現するという研究を続けていました.その方針は今後も変わることがありませんが,今までに知られている地震規模以上の想定が公表されたことによって,私たちへの期待も当然変わってきます.今までは,私たちが従来の想定以上の地震が見出された場合でも,確実なデータが得られる地震規模を推定しており,それは決して最大規模の地震ではありませんでした.

 しかしながら,社会が巨大津波に対して大きな不安を感じている中で,過去に発生した津波規模の下限だけでなく上限を明らかにすることが,重要となってきました.地震規模の想定は過小であっても,過大であっても社会からの信頼を失うことになります.地震の想定が社会の信頼を失わないためにも,できるだけ信頼性の高い過去の地震に関する情報を提供する責任が,今まで以上に大きくなったこと認識し,今後の研究活動を進めていく所存です.


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